ゆうパック値上げへ

運転手不足で法人向け値上げへ踏み切る

宅配便業界3位の日本郵便が「ゆうパック」の法人向け運賃を今年度内にも値上げすることをほぼ決定した。輸送するトラックの運転手が不足し、人手確保のため人件費を引き上げたことが主な要因だ。値上げ幅は顧客により異なるが、平均で数%程度と見られる。
個人向けの料金は、もともと法人に比べれば高めのため、据え置く。

ゆうパックの法人向け運賃は輸送距離や個数をベースに顧客との交渉で決まる。一般的に言って、法人がゆうパック(縦、横、高さの合計が60センチ以内)を東京-大阪間で100個利用した場合は1個600円が基本運賃だ。
契約期間なども加味されて判断されるため、多少のブレはあるが、個人向け(810円)よりは割安になっている。

インターネット通販が市場を牽引していることにより、宅配便の利用は増えている。国土交通省によると、2013年度の宅配便の取扱数は前年度比約3%増の約36億個だという。だが、最近の人手不足でトラック運転手も足りず、日本郵便は人件費の引き上げで対応。2014年3月期の郵便事業の人件費(トラック運転手も含む)は、前期より263億円増えた。燃料費の上昇も値上げの要因としている。

ゆうパック値上げの前には、宅配便業界2位の佐川急便が2012年に、最大手のヤマト運輸が今年1月に法人向け運賃を値上げしており、値上げに踏み切りやすい環境も整っていた。

最優先すべきは、物流の安定

宅配便業者から見れば、採算割れするような仕事をいつまでも続けるわけにはいかない。たとえば2013年10月、ヤマト運輸の「クール宅急便」の温度管理の不備により一部の冷凍ものが溶けてしまったことがニュースとなったが、その裏には受託する荷物の容積が正確に把握できておらず、その結果、ピーク時に必要なインフラが整備できていない実態があった。
その後、ヤマト運輸は「全国一律○○円」という受託をやめて、サイズ別・地域別の料金を取る方式に変え、全体的に値上げしている。

今回のゆうパック値上げで、トップ3社はすべて値上げということになり、宅配便の値上げに頭を悩ましているEC業者・通販業者も多いだろう。しかし、配送事故が起きるようでは困る。これも時代の流れで仕方がない、と言うべきだろうか。