脱サラ&ネットショップでの独立を思いとどまらせるサービス誕生

甘くはないインターネットの世界での独立開業

おもしろ雑貨をテーマにしたインターネット通販を手掛ける合同会社ズィーマは、ネットショップでの開業・独立を目指す人を思いとどまらせるサービス「ストップネットショップ」を2014年8月19日から開始した。

これは、誰かが「ネットショップで食べていく」と言い出したとき、先行きに不安を感じる家族を対象にした説得代行サービスである。一般的には、夫が「会社を辞めて、ネットショップに人生を賭ける!」などと言い出したとき、奥さんから「止めてください」という依頼を受けて、独立を思いとどまらせることが多いだろう。

ネットショップの開業相談サービスは数多いが、なぜこのような「逆サービス」を始めたのか。合同会社ズィーマ代表社員・飯島勇介氏は「連日、多くのネットショップ開業相談の問い合わせを受けるが、その多くがインターネット上に氾濫するサクセスストーリーに踊らされ、甘い見通しでスタートする。しかし、無計画に脱サラ・ネットショップを開業すると事業に失敗し、家族を巻き込んで不幸になってしまう」と語る。

実は飯島氏自身も2012年7月に開業してたいへんな苦労をしたので、自身の経験を元に説得を行うという。合同会社ズィーマ本社(東京都文京区)での実施を基本とし、2時間あたり10,000円(税込み)。遠隔地の場合は別途料金が発生しする。直接会わず、メールのやりとりのみの相談も可能だ。

気軽に始められる「自己実現」に潜む罠

独立というのは、会社員なら一度は抱く夢である。しかし、従来、独立への意欲を持つ人の中で実際に独立する人はせいぜい100人中2〜3人だといわれてきた。残りの97人はふんぎりがつかず、「いつか独立したいなあ」で終わってしまうのだ。
この状況を変えたのが、インターネットだ。ネットショップはもちろん、アフィリエイト、ドロップショッピング、ヤフオクやアマゾンでの背取りでの成功事例は多い。ネットはリアルの店舗を開設するのに比べれば、リスクは非常に低いため、多くの人がチャレンジするようになった。

夢を追うこと自体は悪いことではない。「自己実現」もいいだろう。
しかし、成功者ほどその難しさを知っているのが、インターネットの世界である。
ウェブサイトは年々増えて、過当競争となっている。その一方、グーグルの進化によって単純なSEOは効果がなくなり、希望する検索キーワードでの上位表示は難しくなった。業者に頼んで一時的に上位表示させることに成功しても、短期間で転落し、二度と検索圏内にもどって来ない例も数多い。

リアルの店舗の場合、人通りがある場所に出店すればある程度の集客は見込めるが、インターネットの世界では検索結果の3ページ目以下は存在しないに等しく、当然、収益もない。1ページ目に表示できても、ウェブサイトのつくりが稚拙であると、購入には至らない。

また、同じ商品を複数のショップが販売していれば、消費者は気軽に値段を比べて、一番安いところから買う。
結果として、成功するのは一部のショップに限られる。

合同会社ズィーマの「ストップネットショップ」にどの程度のニーズがあるかは不透明だが、思いとどまってもらうことで、人生を棒に振らずに済む人が出る可能性はありそうだ。