中国アリババ4━6月期は46%の大幅増収、モバイル事業好調が寄与

アリババ業績好調、株式公開へ

 アメリカで株式の新規公開(IPO)を予定している中国の電子商取引大手アリババが、2014年4~6月期の決算を公開した。売上高は前年同期比46%増の157億7100万元(約2665億円)、純利益は前年同期比約2.8倍の124億3800万元(約2102億円)だった。

 アリババは、B to Bを行う阿里巴巴(アリババ)、ネットオークションの淘宝網(タオバオ)、ショッピングモールの天猫(Tmall)を柱とし、中国の電子商取引の8割を占める。阿里巴巴(アリババ)のようなビジネススタイルは日本ではなじみが薄いが、淘宝網はヤフオクに、天猫は楽天市場やヤフーショッピングモールに似ている。

 今回、事業は国内の堅調な売り上げを追い風に46%の大幅増収となったが、とくにモバイル事業が好調だった。同事業の売上高は総取扱高の約3分の1を占め、1─3月の27.4%を上回った。
 普通株主に帰属する純利益は3倍近く増え、19億9000万ドル(1株当たり0.84ドル)。総売上高は25億4000万ドル。中国国内の商業小売事業の売上高は約46%増加し、20億4000万ドルとなった。

孫正義氏と親交、アリババの馬雲(ジャック・マー)会長

 IT業界の成功者にはマイクロソフトのビル・ゲイツやアップルのスティーブ・ジョブズ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグのようなコンピュータの専門家から成り上がるタイプと、ソフトバンクの孫正義氏や楽天の三木谷浩史氏といった事業家タイプがあるが、アリババの馬雲(ジャック・マー)会長は後者である。元は英語教師だったというから驚く。

 馬雲氏は、1995年、「ビール、中国」で検索してみたそが、検索結果はゼロ。中国語への翻訳サービスサイトを友人の手を借りて作ってみたところ、数時間の内に世界中から情報を求めるメールが送られてきたという。これが数年後、アリババを立ち上げるきっかけとなった。

 事業家としては、孫正義氏と親交があり、昨年、ヤフーが「eコマース革命と銘打ってヤフーショッピングの無料化に踏み切った陰には、馬雲氏の姿があった。中国へ相談に飛んだ孫正義氏に、「勝負にならないほど引き離されているときは、ルールそのものを変えるんだ」とアドバイスをしたという。

 実はソフトバンクはアリババの株式の約34.1%を保有する大株主だ(6月30日時点)。アリババが上場すれば、ソフトバンクには4兆円近くの含み益がもたらされることになる。

 中国市場開拓は始まったばかりだ。アリババはまだまだ大きく成長し、巨大な富を稼ぎ出すだろう。