先端技術でECでも職人の技術を体感。時代は「気軽にオーダーメイド」の方向へ
ECにおいても「オーダーメイド」が流行している。オーダーメイドと聞くとどうしても制作が面倒だということを思ってしまいがちだが、画面上でスムーズにオーダーできたり、技術を駆使して3Dプリンタなどを使用して採寸を簡単に誤差なく行うことができるようになってきている。今日は、立ち上がったばかりのオーダーメイドサービスを2つご紹介したいと思う。
高級オーダーメイドスーツ「Scabal made to measure」
まずひとつめは伊藤忠商事の子会社であるスキャバルジャパン株式会社(本社:大阪市中央区)が立ち上げたECサイト「Scabal made to measure(スキャバル・メイド・トゥ・メジャー)」だ。
スキャバルジャパンは、日本市場における「スキャバル」ブランドの総発売元として紳士服地を中心に展開しており、近年ではパターンオーダー事業にも注力してきた。
このたび展開を開始する「Scabal made to measure」を介したオーダーメイドスーツ事業では、長年取引関係にある一流テーラーと提携することで、スキャバルジャパンならではの高品質な「採寸」サービスを提供してくれる。
また「生地」については、「スキャバル」ブランドの高級服地を500種類以上取り揃えるほか、オンライン上でスーツの仕様が選べる機能や、「生地見本だけでは製品がイメージしにくい」というオーダースーツの課題を解決するため、生地を選択することで製品イメージを確認できる機能を搭載するなど、ECサイトのUXの向上にも取り組んでいる。
一度店舗に採寸しに行かなければならないので、全てがオンラインで成立するというわけではないが、一度採寸をすれば2着目以降はオンラインのみでオーダーすることが可能になる。店舗は東京・大阪・名古屋・広島・福岡と大都市に存在している。上質と利便性を兼ね備えたサービスと言えるだろう。
3Dスキャナで採寸するオーダーメイドシューズ『Eoluna』
ふたつめは株式会社ミリメーターの新ブランド『Eoluna』だ。2017年1月から東京・市ヶ谷で最新の3Dテクノロジーを駆使して一人ひとりの足にフィットするオリジナルシューズを作るフルオーダー女性靴のサービスを提供している。12月18日からクラウドファンディングサイト「Makuake」にて『Eoluna』の先行販売プロジェクトを開始している。
こちらも一度採寸には行かなければならない。しかし、紙とメジャーを使い2次元のデータで行っていた従来の足型どりとは一線を画し、Eolunaでは3Dスキャナで代用する。正確無比な足のカタチを、わずか数分で3Dデータ化してくれるのだ。
クラウドファンディングのリターンによっては東京だけでなく、関西出張サービスで大阪まで来てくれるようなので、このチャンスはしっかりとチェックしておきたい。
「愛着の湧く商品」を気軽に楽しめる時代へ
インターネット上で商品を購入する場合、避けて通れない問題が存在する。「思っていた色と違う」、「サイズが微妙に合わない」など、使用感に関しては実際に店舗で確認する場合に比べ、どうしても相違が生まれやすい。
最近この手の話題をさらったのは「ZOZOSUIT」だろう。しかしまだ、「体のサイズに合った商品をレコメンドしてくれる」という段階にあり、そこからのオーダーメイドサービスを展開するにはまだ少し時間がかかるかもしれない。
今回ご紹介した2つのショップは世界に1つだけのアイテムを作ることができるという魅力を持っている。その場で買う商品よりも時間や手間をかけている分、愛着もひとしおだ。昔に比べ、遥かに手軽で簡単にオーダーメイドの素晴らしさを体験できるようになった。
これはインターネットで商品を購入する大きな要因となり得るだろう。ECへのハードルを下げてくれるこうした取り組みには、業界として賞賛を贈りたい。