【CBRE】大型マルチテナント型物流施設の市場動向を発表。進む拠点の集中化
CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)の2017年第4四半期(Q4)の大型マルチテナント型物流施設(LMT- Large Multi-Tenant Logistics Properties)の市場動向を発表した。
2017年Q4の首都圏LMT市場の空室率が4.9%に低下した。空室率が5%を下回るのは2015年Q3以来9四半期ぶりだという。竣工1年以上の空室率は1.4%に低下し、2015年Q4の1.2%に次ぐ低い水準だった。空室率は、首都圏の4エリア全てで低下。特に国道16号エリアの空室率は同エリアの過去最低値だ。
首都圏では、2018年Q1に202,000坪の新規供給が予定されている。これは、2015年~2017年の四半期ベースでみた平均新規供給74,000坪の約2.7倍に相当し、四半期ベースで過去最大の水準。新規供給は2018年Q1がピークとなる見込みだが、その後も高水準の供給が続く。そのため空室率は2018年Q1には上昇に転じ、2018年は年間を通して7~8%程度で推移すると予想されている。
特徴が顕著に表れた近畿・中部圏の現状
近畿圏のLMT市場では、空室率は前期に一旦低下したものの、再び上昇して今期は19.6%となった。日本最大級の物流施設が空室を残して竣工したことが主因となっている。既竣工物件のうち、大阪府内陸部では順調にリーシングが進展する一方で、湾岸部では空室の消化はなかなか進んでいないという現状がある。
中部圏のLMT市場では、空室率は前期の14.2%から今期は5.4%に急速に低下。リーシングは想定を超えるペースで進んでいる。2017年の新規竣工LMT計8棟のうち7棟が、竣工から1年以内に満床になり、好調に推移している。
ワンストップ物流で加速するECのスピード
EC物流に適した物流拠点として、LMTの動向は注目を集めている。こういったシステムの活用が昨今の速配を可能にしている。衣料品のモデル撮影から、ECサイトへの掲載、出荷、返品対応、さらにはコールセンターによる顧客対応や、在庫一元化システム等のシステム構築・開発までを一拠点で行うことができるメリットは大きい。
目まぐるしいスピードで世の中が変化していくこの時代に則した拠点のあり方ではないかと感じる。ワンストップ物流が主流になればECのスピードは更に加速するだろう。
上記の通りLMTの供給は高水準で続く見込みで、多くの企業が入居を検討している状態だ。倉庫や事務所の移転は企業が大きく変われるチャンスだ。ゼロベースでいろいろなものを見直す良い機会として検討してみるのも良いかもしれない。