ヤフー決算発表!ショッピング事業取扱高は1804億円で過去最高

石郷“145”マナブ

 ヤフー株式会社(以下、ヤフー)は、「2017年度第3四半期決算説明会」を開催した。それによれば、コマース事業においては順調な伸びを示している。具体的には、第3四半期のショッピング事業取扱高は1804億円で過去最高を更新、前年同四半期比で言えば、28%増だという。具体的な施策で目立ったところでは「いい買い物の日」があり、取扱高が前年同四半期比46%増と好評だった。

 一番大きいのは、ヤフーショッピングでの購入者の数が増えたという部分。eコマース新戦略発表時(2013年第3四半期)と比較すると2倍超に拡大しているという。下の写真を見てみると、赤い部分の新規の顧客が増えており、しかもそれも既存顧客に変わっているそうで全体として良いサイクルが生まれているということがわかる。

 また、Yahooショッピングでの売り上げに大きく貢献しているのは、Yahoo!プレミアム会員。プレミアム会員による取り扱い高比率は実に75%にまで拡大しており、ヤフーのIDをもつ人たちにとってECが大きなメリットになりつつあると言っていいだろう。

 さらにプレミアム会員の特典をソフトバンクユーザーが得られるようにしたことで、ソフトバンク会員によるショッピングの利用も増加し、1年間で4倍超にも拡大した。グループのメリットを最大化し、ショッピングのしやすい環境を作り出して結果を出している。ヤフーとしては、このソフトバンク会員の中でショッピングを利用しているのは3割程度だということを考えると、伸び代があるとした。こうして流通が伸びた後で、ストアの事業者が儲かり、それにより広告への投資の機会が増え、広告売上高は前年同四半期比で32%増となっているのだ。

 さらに、上記にある通りヤフーの成長の要にはプレミアム会員の施策がある。プレミアム会員のメリットはポイントにあって、当然ながら利用者が増加することで使われるポイントが増える。これによって、ヤフーが負担するポイント費用が増えることになるが、今度は利用者の増加がストア事業主に広告を出させる要因となる。そうするとストア事業者の広告出稿の機会が増えて、ヤフーの広告収益は拡大していくことで、負担となるはずのポイント分を上手に補完することができるのだ。

 席上、宮坂社長も話していたが、eコマース革命により、売るための摩擦をゼロにしようと出店料を0円にする取り組みを行ったが、当初の目論見通り、商品数が増えて、お客様が増加した。その中で継続的に買ってもらえるようにと、確実なヤフーファンとも言える「プレミアム会員」への施策を強化し、ポイントで還元しつつも、その力を背景に広告につなげるなど、ヤフーとしての戦略が奏功していることがわかる。

 ただ、宮坂社長も話す通り、これらがまだeコマースで得られた情報をeコマースでしか恩恵が得られない状況になっているので、ヤフーが様々なメディアを持ち、さまざな形でお客様の情報を握れる環境にあるのだから、それらを相互に活かせる形にしていくことで、それがさらに最大化するだろう。
 
 確かにニュースにはじまり位置情報や購入情報などを一つのIDで管理できるというメリットを生かせれば、お客様側のヤフーアカウントを使うメリットが出てきて、そのアカウント自体がアクティブなものとなるし、かつ多様性を持った使い方ができるようになる。これこそがヤフーのやりたいことであり、ある意味、楽天とは顧客情報の生かされかたが違うように見えた。

 宮坂社長がデータ・ドリブンカンパニーになるべく川邊さんに新社長を譲り、ヤフーが大きく変わろうとしている。そして、その変わるヤフーのど真ん中には間違い無く、ECがいる。ECはその意味で強化されるだろうし、活用の仕方次第ではEC事業者もその躍進の波に乗ることができるだろう。

 ただ、ECの役目が変わっているのは事実で、また一方で、EC事業者も、変わりゆくモールとどう向き合っていくのかを考えることは極めて重要だと言えよう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

石郷“145”マナブ の執筆記事