ヤマト運輸がセールスドライバーを正社員化へ

ECのミカタ編集部

ヤマトホールディングス株式会社傘下のヤマト運輸株式会社(本社:東京都中央区・代表取締役社長 長尾 裕、以下「ヤマト運輸」)は、2018年5月より、新たにフルタイムのセールスドライバーとして入社する社員のすべてを正社員として採用することを決定した。また同社は、有期労働契約の社員が、法定の5年を待たずに無期労働契約に転換できる制度を導入することもあわせて決定している。

人手不足に対応し、かつ社員が納得して働けるように

労働人口の減少などにより物流業界全体で人手不足が拡大し社会問題化する中、優秀な人材を継続的に採用することが重要となっている。こうした中、ヤマト運輸では、「働き方改革」を経営の中心に据え、「社員が安心して働ける健全な労働環境の構築」を進め、社員が人事制度に納得感を持ち、より意欲を醸成できる制度の必要性について認識していた。

同社では、これらの課題に対応し、継続的な人材確保に繋げていくため、今回の決定に至ったのだ。またセールスドライバーの新規採用に留まらず、在籍中のセールスドライバーを含むフルタイムの有期労働契約の社員(以下「契約社員」)約5,000人についても、本人が希望すれば正社員を選択できるよう人事制度を改定する。

5月以降の新規セールスドライバーは正社員採用

5月以降の新規セールスドライバーは正社員採用

同社はこれまで、正社員への登用を前提に契約社員としてフルタイムのセールスドライバーを採用してきた。社内に「チャレンジ制度」を設け、自主的・自発的な行動や、他の社員を取り纏めることができる等の選考要件を見極めた上で、おおむね入社後2年程度で正社員へ登用してきたが、より積極的に採用活動を行い、社員が安心して働ける環境を整備していくため、2018年5月16日以降に入社するセールドライバーについては、正社員として採用する。

また、新規採用時の正社員採用を受け、現在在籍しているフルタイムの契約社員のセールスドライバー約3,000名のうち、社員本人が希望する場合、2018年5月16日付けで正社員に登用する。

さらに、セールスドライバー以外の事務や作業を担当するフルタイムの契約社員のうち、社内で一定の基準を満たした約2,000名についても、社員本人が希望する場合、2018年5月16日付けで正社員に登用する方針だ。

勤続3年などの条件で無期労働契約に転換へ

ヤマト運輸では、有期労働契約社員の無期労働契約への転換も進める。2013年4月1日の改正労働契約法の施行に基づき、「無期転換ルール」が規定され、2018年4月より、同一の会社で5年を超えて勤務する有期契約労働者が、期間の定めのない労働契約を申し込んだ場合、無期労働契約に転換できるようになる。

近年、労働人口の減少などにより労働需給が逼迫し、新たな人材の採用や社員の定着など人材確保が重要な課題となる中、同社は、2017年2月に「働き方改革室」を設置し、働き方改革を経営の中心に据え、社員が安心して働ける職場環境の整備などに取り組んできた。

今回、改正労働契約法を上回る基準を定め、勤続3年を超えるフルタイムの有期労働契約の社員および、社内の「ステップアップ制度(個人のスキルや仕事に対する姿勢などを評価し、成長に応じてステップアップする制度)」において一定の基準に達したパートタイムの有期労働契約の社員が、法定の5年を待たずに無期労働契約に転換できる制度を導入し、社員がより安心して働ける労働環境を整備していくとしている。

「物流戦争」とも呼ばれる熾烈な競争が続き、かつ深刻な人手不足にも見舞われている物流業界。その余波は、物流が生命線ともいえるECにも影を落としてきた。しかし業界のリーディング企業であるヤマト運輸が抜本的な人事制度改革を公表したことは、その垂れこめる雲に隙間を開け、陽光をもたらす希望とも言えるだろう。その陽光がはたしてどこまで雲を押しのけるか、今後の動向をぜひ注視したい。


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