宅配便の取扱個数は約40億個。数字で読み解くEC業界

ECのミカタ編集部

再配達

すでに限界に近付きつつある宅配便の取扱個数

国土交通省によれば、平成28年度の国内の宅配便の取扱個数は40億1,900万個となり、その数はますます増加する傾向にあります。宅配便取扱量の増加要因の一つに、ECの隆盛があることは間違いのないところです。日本における小売業のEC化率は、ここ数年で上昇傾向にあるとはいっても、まだやっと5%を超える程度で、この率がさらに高まっていけば、宅配便取扱量もさらに増加することは明らかです。

日本における宅配便については、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の大手3社によって、その9割程度が扱われていますが、各社ともすでに許容量の限界に達しているともいわれ、今後ますます増加する荷物量に対応するためには、人員の増強や、女性の活用、受取方法の多様化など、多面的な対策が必要な局面を迎えているというのが実情です。

配送会社は、各社各様の課題を抱えている

平成28年度においては、ヤマト運輸の取扱量が18億6,700万個超で市場シェアは約47%と、ほぼ半分を取り扱っています。続く佐川急便が12億1,800万個超で市場シェアが約31%。そして、日本郵便は6億3,200万個超で、市場シェア16%となっています。

2020年代には、60億個に達するのではないかと予測する専門家もいる中で、大手3社は、各社各様の課題を抱えており、今後増えるであろう荷物量にどのように対応すべきか、苦慮しているというのが実情です。

ヤマト運輸は、現状の体制では、約18億個という荷物量を扱うのがほぼ限界で、今後増えるだろう荷物量に対応するためにはドライバーを増員するなどの対策も既に発表されています。

しかし、ヤマト運輸に限ったことではないのですが、海外他業種と比べてもドライバーの賃金水準が低いといわれている状況では、新規採用は決して簡単ではありません。賃金水準を上げて、人員を確保しよう思えば、配送料の値上げという方法を採らざるを得ませんが、値上げにしてもおのずと限界はあります。人員増が難しいとなれば、配送を効率化することが必要となり、例えば宅配ロッカーの新設や、コンビニ受取などの拡大といった対応も必要になります。

人員増による対応が難しいのは佐川急便も同様です。また、佐川急便の場合は、いわゆる個配(個人宅への配達〈BtoC〉)よりも、ビジネスロジスティクス(BtoB)に力を入れる傾向にあり、ECの隆盛によって増加する個配の増分をどれほど吸収できるかは未知数といえます。

日本郵便においては、ヤマト運輸や佐川急便ほど多くの宅配便を仕分ける拠点が整備されていないために、集荷と送り出しに時間がかかりすぎるという点と施設の老朽化の課題を抱えています。

配送コストがアップする傾向の中で、ECショップが採るべき施策

こうした状況の中で、配送料の値上げは避けられない事態になっており、それはそのままECショップの負担増にもつながります。配送料の値上げそのものはECショップにはどうすることもできませんが、ひとつ施策があるとすれば、配送サイズの見直しによる梱包の適正化ということが挙げられます。商品梱包を工夫することでサイズを下げ、配送料の抑制につなげることが、当面取りうる施策になるでしょう。

「再配達問題」がなければ、2020年の60億個にも対応できる

8億個は再配達となっている荷物の量です。

どんなに高速の通信網が整備されようと、物理的な形をもつ商品などは、物流という方法で、物理的なモノを移動させなければなりません。

ECにおいても、注文は通信システムで瞬時にやりとりすることができても、お客様が購入した商品を届けるためには、現物としての商品を移動させざるを得ないわけです。

すでに取り上げた通り、2016年の荷物量は40億個に達しています。

それだけを見ても大変な状況だといえるのに、物流には、さらに深刻な問題があります。

それが「再配達問題」です。

国土交通省の発表によれば、年間の全荷物個数のうち、約2割が再配達になっているとのことです。

2016年の荷物量40億個に、この割合を当てはめて考えると、約8億個の荷物が再配達になっているということになります。さらにいえば、この20%という数字は荷物量をベースにした統計上の数字であり、実際の再配達が、1回では配達しきれず、2回、3回と再配達を繰り返していることを加味すれば、配達員の感覚としては、もっと大きな労力の負荷になっていることに注目する必要があります。実際に配達員(宅配のドライバーなど)の体感では、全配達量の約35%が再配達という無駄な労力に費やされているという報告もあります。逆の見方をすれば、この再配達がなければ、配達員の体感としては、現状の労力の65%程度の働きで、荷物の配達がやり切れるということを意味しています。

2020年には、荷物量が現在(2016年度)の約1,5倍の60億個になると推測されていますが、再配達がゼロになれば、現状の体制でも十分に配達を完遂することが可能だということになります。再配達の損害規模というのは、労働力ベースでは約9万人の労力が無駄になっていることを意味し、金額に換算して、約2,600億円の損失となります。

このように見てくると、再配達問題がいかに物流における喫緊の課題であるかが理解できると思います。

この問題については、国土交通省もその重い腰を上げ、2014年から検討会を立ち上げるなど、一定の取組みに着手はしているものの、必ずしも十分な効果は表れていません。

<2018年版 EC業界大図鑑>より抜粋

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