ダイエー、60年の歴史に幕/イオンに統合へ
■改革へ「待ったなし」のダイエー
総合スーパー「ダイエー」の店舗名が消えることになった。「よい品をどんどん安く」をモットーにした価格破壊路線が支持されて消費者に親しまれたダイエーの名は、約60年の歴史を閉じることになる。
イオンは24日、ダイエーを2015年1月に完全子会社にすると正式発表。18年度を目処に総合スーパー「ダイエー」の店舗名を廃止し、イオングループの新ブランドに集約する方針だ。
子会社化しても社名や店名はもとのままで行くことは少なくない。それなのになぜ認知度の高い「ダイエー」の名をなくすのか?
それについて、イオンの岡田元也社長は「ダイエーの新たな成長戦略は待ったなしで、確実に、迅速に実現するには完全子会社化の必要があった」とした上で、需要の奪い合いが激化する状況が予測される中、「多くのブランドに分かれていることは徹底的に不利になる」と理由を説明した。
おそらくダイエーには「経営不振から抜け出せない店」「今ひとつ垢抜けない店」というマイナスのイメージがあるので、これを払拭したいのかと推測される。
また、これまでイオンとダイエーで別々につくっていたチラシ作製・印刷などの販促ツールを一元化することによるコスト削減も大きいのだろう。
■ブランド統合の相乗効果は100億円!?
イオンの岡田元也社長は記者会見で、「競争激化の背景にあるのは、Eコマース」という認識を示した。
Eコマースは年々伸びており、リアルの販売を主な事業とする流通各社はいかにこれに対抗するか、あるいはオムニチャネルのような概念を持って事業に取り入れるか、対策に苦心している。
イオンにとっても、Eコマースの活用はまだ手探りの段階なのだろう。
それでもダイエーを完全子会社化することで再建のスピードをアップさせ、ダイエーをイオンのブランドのもとに再生させれば、もともとの基盤が大きいだけに、グループの「戦力」となっていく可能性は高い。
ダイエーは、今後、店舗の約9割が立地する首都圏や関西で「食品」に特化した新しい業態への転換を目指す。
北海道と九州地区のダイエー店舗は、イオン子会社のスーパーに運営を移す。その上で、全国の店舗を「イオン」ブランドに改める。
これらの再建計画により、18年度までに100億円以上の相乗効果を上げることを目指すという。
Eコマースと正面から勝負するのか、オムニチャネルのように融合をはかるのか、あるいはその両面を追求するのか、それは今後明らかになってくるだろう。