イスラム教徒向けハラール食品サイトを三越伊勢丹が開設

■イスラム教の戒律に沿ったハラール食品

三越伊勢丹は9月24日、イスラム教の戒律に沿った食品を扱う「ハラール・フードセレクション」を開設した。大手百貨店がハラール認証を取得したハラール専門サイトを開設するのは初めてと見られる。

イスラム教徒は豚肉を食べないことは、日本でも割と知られている。しかし、実際にイスラム教徒が食べ物を口にするためには、羊や鶏であってもイスラム法に則って処理をしたものであることが必須だ。

日本人から見れば、何とも面倒な戒律だが、日本に暮らすイスラム教徒や日本を旅するイスラム教徒にとっては大問題だ。イスラム教徒は各地にあるハラール食品店でまとめ買いをして、日々の料理に使っている。

今回、三越伊勢丹が用意したのは、ステーキ用黒毛和牛や手羽先などの精肉、また、加工肉、レトルト食品など計26点。日本イスラム文化センターがハラール認証したものだ。

■イスラム教徒の日本在住者や旅行者に便利なサイト

日本政府は、成長戦略の中で外国人就労者の拡大を掲げており、また、2020年の東京オリンピックまでに訪日外国人の数や、日本で学ぶ外国人の数を2倍にするという目標を掲げている。

イスラム教徒は日本ではマイノリティだが、世界では人口の4分の1を占める。当然、今後は日本にもイスラム教徒は増えてくるだろう。
三越伊勢丹のサイトは、イスラム教徒にとって便利なものであるだけでなく、イスラム圏からの観光客の受け入れ態勢を整えるためにも役立つ。

実際には、たとえハラール認証を取得した食品であっても、豚肉を調理したことがある鍋やフライパン、包丁などを使って調理したものは食べられないので、すべてにわたって完璧に対応する体制を整えるのは簡単ではないが、素材をインターネットで購入できるようになった意味は大きい。
包丁や皿などは100円ショップでも買えるので、多少のイスラム教徒のお客くらいなら対応できる。

「ハラール・フードセレクション」については、可能であれば、英語、インドネシア語、アラビア語などで表記されれば、日本在住のイスラム教徒のためにはさらに便利になると思う。しかし、翻訳サイトなどを使って買い物はできないことはない。いずれ日本語を読み書きできるイスラム教徒から、ほかのイスラム教徒へ口コミで伝わると思われる。
そうなれば、ある程度まとまった収益にもなっていく。

三越伊勢丹は、今年末の伊勢丹のお歳暮で、ハラール認証取得商品を取り扱うなど、展開拡充を進めるという。これは外国から来たイスラム教徒と結婚した人などに食品を贈るのによいだろう。