CCCのキタムラ買収の真意は?新たな経済圏の構築を目指す「コンテンツの掛け合わせと拡大」
CKホールディングス株式会社は、株式会社キタムラの普通株式を公開買付けによって取得することを決定したと発表した。キタムラの全株式を取得する予定で、キタムラは上場廃止(東証2部)になる見通し。
CCCがキタムラを買収すると発表し、大きな話題を呼んでいる。今回のTOBはCCCの100%子会社である「CKホールディングス」を通じて5月16日から6月26日まで行い、1株当たり1230円で買い付ける。買収総額は最大で180億円。
両社はすでに2013年8月9日に資本業務提携契約を締結し、複合商業施設T-SITEへのキタムラの出店などで連携している。今回の買収の意味はどこにあるのだろうか。
2017年5月15日にはキタムラからCCCに対して株式所有割合増加を依頼しており、現在CCCはキタムラの株式29.71%を保有する筆頭株主だ。キタムラの2018年3月期連結決算は、売上高が前期比10.2%減の1268億円。最終損益は17億円の黒字と、19億円の赤字だった前期から黒字に転換している。
キタムラの事業領域であるデジタルカメラ、スマートフォン、写真プリント業界はそれぞれ縮小していて、今後も厳しい事業環境が続く見通しだ。そうした中で資本・経営の一体化を進めることで提携を強化し、新たな収益源の開発などを進めていくとしている。
今後はCCCがTUSTAYA運営などで培った店舗開発ノウハウなどを活用し、新しいビジネスモデルの開発や、リアル店舗に加えネットも活用する「オムニチャネル化を目指していく」としていて、CCCの顧客基盤へのアプローチも可能になり、収益向上も見込めるとした。
「CCCの狙いは何だろうか」と考えてみる
下向きの業界の中で戦うキタムラを、CCCがどういった戦略を立て、手持ちの駒をどう活かしていくのかに注目が集まっている。一方で、CCCはTSUTAYAや蔦屋書店、家電など多くのコンテンツを展開しているのだが、見方によっては、それを通して「いかに消費者の情報を集めるか」に主眼を置いているようにも思える。
その為には、いかにコンテンツを増やして大きな拠点を作り、そこを起点に消費者に有効な提案をできるかに事業の力点を見据えているのではないだろうか。それを有効に進めていくための手段の一つがオムニチャネル化だと見ているのだ。今後CCCが巨大な経済圏を築いていくために「キタムラは必要なコンテンツである」と考えるならば今回の買収は大いに有り得る話だ。
コンテンツ同士の「掛け合わせと拡大」がマーケットにどう影響し、それを通じて、どういったデータが収集できて、それをどう活用するのか。CCCの今後の動きに注目しておかなければならないだろう。