住友商事、マレーシアのネット通販を国土全域に拡大
安全で評価の高い日本製品を東南アジアで販売
住友商事は10月からマレーシアのインターネット通販サービスを同国全域に広げる。現地の物流事業者と提携し、首都圏だけだった配送エリアを全国に拡大して、現地で需要の高い日本の食料品や日用品の販売を伸ばす狙いだ。
マレーシアは一人当たりGDPが1万ドルを超え、力強い経済成長が続いている。また、インターネット普及率は60パーセントに達し、eコマース市場の更なる拡大が期待される。
住友商事は住商eコマースマレーシアを通じて、2013年12月よりクアラルンプールを中心に生活用品全般を扱うeコマースサービスを開始し、順次提供エリアを拡大してきたが、ついにマレーシア全域に拡大する運びとなった。
今春サービスを開始したマレーシアの通販サイト「ソウカイ・ドット・マイ」は、クアラルンプールなど首都圏を対象に展開していたが、このほど複数の運送会社と連携することを決めた。
「ソウカイ・ドット・マイ」はマレーシアで宅配便サービスを提供しているヤマト運輸と連携し、日時指定や代金引換などにも対応する。日本と同様に短期間で配送できるという。
通販サイトも大幅に刷新。商品点数も、これまで3倍強の7000品目に増やしていく。
現地では日本製品が安全安心や品質の高さで評価され、人気が高まっている。住友商事では、スナック菓子やチョコレートなどの食料品や紙おむつといった日用品を充実させる方針だ。
ネット通販を経済成長が続くアジアへ拡大する方針
マレーシアはアジアの中でも、日本ととくに相性のよい国だ。1981年にマレーシアの第4代首相に就任したマハティールは非常な親日家で、西洋を手本としてきた視線を転換し、日本の集団主義や勤労倫理を学ぶ「ルック・イースト政策」を掲げて、産業振興に邁進した。
それから30年経った今では、日本企業とマレーシア企業の間には、さまざまなパイプが構築されている
住友商事もマレーシアでは火力発電所の建設やテレビ番組の制作に関わったり、肥料会社を買収したり、関係は深い。
ネット通販事業に関しては、マレーシアのほか、中国、インドネシア、ベトナムでも展開しており、現在、商品は各国に近いメーカーの拠点から個別に調達しているが、今後はベトナムに拠点を置く日本メーカーが生産した商品をインドネシアやマレーシアに供給するといったことで調達・物流コストを削減する予定だという。
2020年にはネット通販の世界売上高を、現在の5倍となる1000億円に引き上げる計画だ。
ネット通販は、日本国内だけでなく、海外でも大きな成長が見込まれている。成長著しいアジアの高・中間所得者層に向けた質の高いEコマースサービスを提供することで、さらに躍進が期待される。