次のEC大国候補?インドでEC経由のスマホ販売シェアが38%に伸長【カウンターポイント調べ】
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research 以下「カウンターポイント」)は、2018年第1四半期に、インドのスマートフォン販売チャネル全体の中で、オンライン販売のシェアが38%を記録したとの最新の市場調査結果を公表した(オンライン限定販売の製品投入や、同年第1四半期の後半における強力なプロモーションによる効果も含む)。
カウンターポイント社は、TMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社だ。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んだ経験を持つ。
ネット・ECの普及で後れをとっているインド
その同社のリサーチアナリストKarn Chauhan氏は、今回の調査に際して次のように述べている。
「2018年第1四半期に、インドにおけるスマートフォンのオンライン販売が、オフラインよりも成長を遂げており、オフラインセグメントにおけるスマートフォン出荷台数は前年比3%減少したことに対し、オンラインセグメントでは前年比4%の伸びを示しています。その原因は、Eコマースサイトで販売される機種が増加ことと、積極的な販売キャンペーンが行われたことにあります。加えて、スマートフォンメーカーは、単一セールスチャネルに依存せず、マルチチャネル戦略の採用を開始している為、ここ数四半期にわたって競争が激しくなっていることも原因の一つとして考えられるのではないかと思います」
また、この競争環境について、Counterpoint社のアソシエイトディレクターTarun Pathak氏は次のように述べている。
「未だに、インドはインターネットやオンラインショップを使用できる消費者の割合が最低レベルの水準にあります。しかし、4Gデータ使用量が増え、都市部の外でもユーザーがインターネットを通じて買い物をするようになった昨今、状況は急速に変わりつつあります。FlipkartとAmazonは、初めてオンラインで買い物をするユーザーに照準を合わせ、ここ数四半期にオペレーションの規模を拡大してきています。特にこれらEコマースプラットフォームにとって価値の大きいスマートフォンセグメントを重点に置いています」
インドのスマホ販売は、オンラインセグメントで伸び
同社は、キーマンのコメントや調査結果にあるように、インドにおけるスマートフォンのオンライン販売セグメントは、全体のスマートフォン市場では伸びがないにも関わらず、前年比4%の伸びを示し、XiaomiやHuawei(Honor)がオンライン限定モデルを投入したことがオンライン出荷の伸びに貢献していると分析する。
Flipkart(インド企業)は、スマートフォンのオンライン市場で支配的なポジションにあり、54%のシェアを誇っている。それに対して、第2位Amazonは30%、第3位Mi.comの14%と続いている。30機種近いオンライン限定モデルが2018年第1四半期に投入された。こうしたモデルは、フルスクリーンのディスプレイ、大容量バッテリー、それに顔認証などのAI機能を、それぞれ新製品販売開始時の差別化する点として挙げているとしている。
また、Xiaomiはオンライン販売では2018年第1四半期に57%とトップシェアを誇り、Samsung(14%)、Huawei(Honor)(8%)が続き、エントリーレベルとプレミアム機とがオンラインのスマホ市場で最も早く伸びている。エントリーレベル市場はXiaomi、またプレミアム機市場はOnePlusが、それぞれ牽引していると見る。
さらに、トップ5機種の総出荷台数で、オンラインチャネル経由のスマートフォン出荷分の約半分を占有しており、トップ5機種の中で、Huawei Honor 9 LiteのみがXiaomiの独走態勢に善戦しているのがわかるとしている。
眠れる獅子に変化か
すでに人口が13億人を超え、専門家によっては2024年にも中国の人口を追い抜くとの分析もあるインド。ネットとモバイル、そしてECの高度化の面では、中国とは対照的に後れをとっていたのも事実だ。インドは大手ECモールよりも街中の小規模個人商店がいまだにユーザーからの厚い支持を得ていることでも知られる。
一方で、今回の調査にあるように、スマートフォンのオンラインでの販売が伸長してきており、FTTHなど有線ネットインフラ整備の後れを補う形で今後、モバイルがインドでのネット普及のカギとなる可能性がある。こうしたモバイルの普及は、途上国や新興国のネット普及そのものを促進する上での常套手段ともなっているが、それがEC経由でもたらされることには意味があるだろう。
ネットとECでいまだ眠れる獅子とも言えるインドだが、こうした胎動をもとに今後大いに市場が動き出す可能性もある。それにつけても、新興国を中心としたスマホ端末市場での中国勢の存在感の大きさをここでも見せつけられた形だ。ここで日本のデバイスメーカーの名前が無いことが、今の世界でのデバイスメーカー分野の現状を物語っていることにもなるだろう。