電通が“今”の生活者とメディアとの関係を可視化する調査を実施【電通調べ】

株式会社電通(本社:東京都港区、社長:山本 敏博)のシンクタンク「電通メディアイノベーションラボ」は、株式会社ビデオリサーチ(以下、「VR社」)との共同で、時間帯ごとの接触メディア・接触場所・行動状況など生活者のメディア視・聴・読習慣を可視化し、30のメディアライフスタイル(=メディア接触習慣)に分類した調査結果を公表した。

斬新な手法「ソーシャル・シークエンス分析」を活用

電通によれば、今回の調査は、VR社が提供する生活・メディア行動調査データ(=MCR/ex、東京50キロ圏に住む12~69歳の男女4,971名が対象)を「ソーシャル・シークエンス分析」と呼ばれる統計解析手法で行われた。

「MCR/ex」とは、VR社が1997年から毎年行っている生活者行動の総合的なデータベースで、特定の1週間の基本的な生活行動とメディア接触行動について、日記形式、15分単位で記録したデータが時間軸に沿って収録されている。今回用いたのは2017年度の東京50キロ圏に住む12~69歳の男女4,971名のサンプル。2014年以降は、全国主要7都市圏で調査が実施されている。

また「ソーシャル・シークエンス分析」とは、出来事や状態の変化など順序のあるデータを分析する統計解析手法の一つで、1980年代に遺伝子配列の解析のための手法として開発された後、90年代に欧米で社会調査データ分析への応用が広がり、主に各国の青年が学業期から就業を経て家族形成に至るライフコースなど長期間にわたる調査データの分析に適用されてきた。2010年代には諸外国で応用技法やソフトウェア環境が整備されてきたが、現在に至るまで日本での分析実施例はほとんど知られておらず、特にメディア接触行動データでの適用事例は世界的に見ても未開拓であると考えられるとしている。

7つの「族」と30の「メディアライフスタイル」

7つの「族」と30の「メディアライフスタイル」

生活者のメディア視・聴・読習慣を30の「メディアライフスタイル」に類型化

自宅内・外での各種メディア・機器接触行動を672時点(7曜日×24時間×15分刻み)で分析したところ、メディアへの「平均接触時間」や「頻度」で表す従来の手法を超え、「生活時間の流れ」の中でそれらを把握することができた。この複数のサンプルを表として可視化し、まず7つの「族」に分類した。

①テレビ中心族(17.7%)
②メディア以外中心族(16.1%)
③月~金外出族(29.1%)
④早寝早起き族(11.2%)
⑤深夜メディア族(15.7%)
⑥外泊・徹夜族(5.3%)
⑦リズム不規則族(4.8%)

同社では、この7つの「族」をさらに統計分類し、30に及ぶ「メディアライフスタイル」を抽出した。

7つの「族」は、生活自体のリズムの違いにより、日中の在宅率が高いグループ(①・②)、日中の外出率が高いグループ(③・④・⑤)、生活が不規則なグループ(⑥・⑦)の3大グループに分けることができる。①~⑤の5つの「族」(全体の89.9%)は規則的な生活を送っていますが、基本的な在宅率や平日と土日の外出率の高低などにより、メディア接触のタイミングは大きく異なっている。

また、メディア接触のタイミングが同じでも、テレビ中心の接触なのか、それともPCやモバイルやその他のメディアなのかなどにより、スタイルが異なる。30スタイルのうち最も構成比が大きかったのは③の「月~金外出族」に含まれる「夜中心テレビ視聴型」で、その構成比は12.7%(n=632)だった。

「夜中心テレビ視聴型」のメディアライフスタイルの例

「夜中心テレビ視聴型」のメディアライフスタイルの例

図表2は、生活者が月曜の朝5時から24時間、15分おきに、自宅内・外のどちらで何をしているのかを把握し、積み上げて100%で表したもので、30スタイルのうち最も構成比が大きい「夜中心テレビ視聴型」のメディアライフスタイルに該当する生活者の例とのことだ。

朝の起床後、すぐにテレビをオンにして、メディア接触以外の作業を行っています。また、昼12時頃には宅外でのモバイル利用行動を、夜19時頃からは、宅内での"テレビの専念視聴"や"ながら視聴"をしていることになる。

同じく、1週間(月曜~日曜)の行動では、図表3にあるように、月曜から金曜までは規則的なメディア視・聴・読の行動を繰り返している。土日は日中の在宅率が高まり、宅内で1日を通じてテレビを視聴している。

“少数派“の「月~金の外出時ラジオ聴取型」のスタイルは?

“少数派“の「月~金の外出時ラジオ聴取型」のスタイルは?

一方、少数派の例として、「③月~金外出族」の「月~金の外出時ラジオ聴取型」スタイル(構成比0.7% n=35)を見ると、図表4にあるように、宅外の黄色で示されたメディア行動のほとんどは、ラジオの"ながら聴取"だった。また、図表2では見えなかった緑色の領域は、"ラジオの専念聴取"とのことだ。30スタイルまで細分化することによって、少数ながら際立った特徴を持つスタイルも把握することができたとしている。

また、図表5にあるように、「⑤深夜メディア族」の「土日在宅・23時以降ピーク型」スタイル(構成比4.3% n=216)の該当者は、月曜~金曜にかけて日中はほとんど外出しているため、宅外でのモバイル利用が盛んであることが分かる。さらに帰宅が遅いこともありメディア接触のピークが夜の23時にまで及んでいる。同社によれば、その反動からか、土日の在宅率が高く、特に多くの人がテレビのタイムシフト視聴(赤)での「まとめ見」やモバイルの利用をしている様子が分かると述べている。つまり、多忙な仕事生活を送るテレビ好きのタイプであることがうかがえることになる。

今までに例の無い「メディア行動」に関する調査

今回の調査では、“今”の個人がどのメディアに、どの程度の密度で接しているかの可視化に重点が置かれたようだ。宅外行動でのモバイル利用率が高くなっていると共に、現在でもテレビの視聴の度合いが比較的高いことも読み取れる。

また、メディア離れ型がテレビ中心型に匹敵する割合で存在することも興味深い。同様に自宅内においても、特に夜の時間帯にモバイルを利用している割合が高くなっていることも注目に値するだろう。

同社では、「ソーシャル・シークエンス分析を使って672時点規模のメディア行動の分析を実施した例は見当たらなかった」としており、メディア行動に関して画期的なデータとなっていることを示唆している。前述したように、今回は、まず調査とその結果の可視化に重点が置かれており、今後、プロジェクトから見えてきた7グループ30スタイルの特徴的なメディアライフスタイルについても掘り下げた分析がなされる見込みで、メディアに向き合ってきた電通が行う内容の取りまとめだけに、今後の情報発信をぜひ心待ちにしたい。

 ECノウハウ