サイト内検索とは?~ECサイトに欠かせない、訪問客を逃がさないための接客術~

ECサイトにおける「サイト内検索」は、ショップに訪れた人が欲しい商品を探す際にその手助けを行うものである。手薄になっていると、「ショップページ内にあるはずの商品を訪問者が見つけることが出来ない」といった状況を引き起こし、離脱率の増加や機会損失を生む危険性がある。ここではECサイトの「接客の質」を左右する重要なポイントとなる「サイト内検索」について見ていきたい。

「サイト内検索」とは何か

ECにおけるサイト内検索は、買い物カゴボタンの工夫や、決済ページ内でのステップ画像表示と同様、「サイト内の接客」という重要な役割を担っている。

実店舗に置き換えた場合、サイト内検索は、探している商品を訪ねた際の、ショップ店員の「案内」にあたる。

ツールによっては、探していた商品の案内だけでなく、同じ型番の最新モデルや相性の良い商品を勧めてくれるものも存在し、まさしく、ECにおける接客の質を左右する重要な部分である。

サイト内検索を導入すると変わる「接客の質」

それでは、サイト内検索機能をECに導入した場合、どのような変化があるか見ていきたい。

サイト内検索を導入した際の大きなメリットは、「商品が見つけやすくなる」という点である。一見、当たり前の事のように思えるが、これが出来ていなければ、せっかく商品を探すことに多くの時間を費やしてくれたのに、その訪問客が多く離脱するという事態を招いてしまう可能性がある。

欲しい商品が決まっている段階の訪問者が、サイトまでたどり着いたにも関わらず、なかなか商品が見つからなかったために、そこでの購入を断念し離脱してしまうというケースは多い。実店舗で考えれば、お目当ての商品の所在を訪ねるため店員を探すが、店員不在で全く案内を受けられず、自力で商品を探すことを手間に感じた訪問客が帰っていくイメージだ。

逆にそこで、スムーズな案内を受け、すぐに欲しかった商品が案内されれば、何も案内が無く自分で探さなければならなかった場合と比べ、CV率(購入率)が高くなるのは、自然なことである。

ECサイトは対面での接客をすることがない。だからこそ、お店を訪れてくれたお客様に対し「商品が見つけやすい」といった環境をきちんと準備しておくことが大切だ。ECサイトではこういった1つ1つの「当たり前」がお客様の評価に繋がり、そのショップの将来を左右する。

サイト内検索の種類

一口に「サイト内検索」と言っても、サイト内検索の方法は複数ある。
ここでは、中でも代表的な方法を3つ紹介したい。

①キーワード検索

1つ目は、検索窓で商品名などを検索してもらい表示する「キーワード検索」
サイト内に検索窓があるので、そこに商品の名前や型番などを入力すれば、商品が表示される。

商品表示までのプロセスがシンプルだが、ツールによっては検索結果がゼロになり、機会損失をつくり出してしまう危険性がある。勿論、ひらがなとカタカナや大文字小文字の違いを認識し、検索をサポートしてくれる検索ツールもある。


②ドリルダウン

2つ目は、性別やカテゴリー、色や価格で商品を絞り込んでいく「ドリルダウン」
ファッション・アパレルなどのECサイトでよく使われている。アパレルで例えるなら、まず、商品に関連する項目が全て表示されるので、その中から「トップス」「スカート」「ワンピース」「スーツ/ネクタイ」など、探している商品に当てはまる項目を選択し、表示される商品を絞って検索する方法だ。
 
カテゴリー項目を作る際、あまりにも細かく分けすぎてしまうと、訪問客がドリルダウンした際、思っていたカテゴリーとは違うカテゴリーに分類されていたので見つからなかった。という事態を引き起こす可能性もあるので注意する必要がある。


③ファセットカウント

3つ目は、条件を選んでいき、その条件にヒットする商品の件数を表示する「ファセットカウント」
取り扱う商品やサービスの件数が多いものと相性が良い。アパレルやスポーツ用品などのECサイトでよく見かける方法だ。

ファセットカウントを表示することで、無駄なドリルダウンを防ぐことが出来る。絞り込みの途中で、探しているカテゴリのヒット件数が「0件」と表示されていれば、それ以上の検索は行わないで済むのである。

もしも、当てはまる商品が無いのに、訪問客がファセットカウント無しのドリルダウンで検索してしまったら、色々な条件を選択し続け、最後に表示された結果が「0件」という、まさに骨折り損の状態になる。

取り扱う商品の数が多いショップは、「接客」の観点から見てもこの機能の導入を一度検討してみることをお勧めする。

このように、商品を案内する方法は複数あるが、どの方法で商品まで誘導すべきかは、取り使う商品のジャンルや数によって異なる。自社の商材の特徴を踏まえた上で、どのツールを導入すべきか考える必要があると言える。

今後より高まる「サイト内検索」の必要性

サイト内検索というと、必須で導入すべきものというイメージが強くない方もいるかもしれない。しかし、年々スマートフォン利用者の割合が増加するECにおいて、サイト内検索を導入するかしないかは、今後、ECサイトにより大きな影響を与えるものになる。

サイト訪問客にとって、スマートフォンの小さな画面の中で、カテゴリの項目をスクロールして地道に商品を探すのはとても骨の折れる作業である。そこを充実したサイト内検索でスマートに商品案内をできる否かは、「接客の質」の差を生み、売上げだけでなく、リピーターやファンづくりにも影響するものであるからだ。

実店舗では勿論のこと、お客様と直接顔を合わせることの無いECにおいては、より一層重要となる「接客」の仕方。その接客の「案内」という大切な部分を担う「サイト内検索」を充実させ、その質を高めることは、より競争の激しくなるEC業界を生き抜くための大きな支えとなるはずである。