ワコールがオムニチャネル化を加速!デジタルの力でよりパーソナライズされたサービスを実現へ

ECのミカタ編集部

株式会社ワコール(本社:京都府京都市、代表取締役社長:伊東知康、以下「ワコール」)は、2019年春より、ユーザーがワコールのインナーウェアをより手軽に体験でき、自分にあった商品をより手軽に見つけることができる、デジタル技術を活用した多様なサービスの提供を開始することを公表した。

店舗における「お客様サービス」の一層の充実を図る

今回、ワコールが公表したデジタル技術を応用した新サービスは次のようなものになるようだ。現在、開発中の具体的なサービスは、①ワコール独自の計測技術を応用し、バストサイズを正確に計測する「3D ボディスキャナー」、②インナーウェアの商品知識や販売員の接客スキルを学んだ「接客 AI」、③消費者とワコールのインタラクティブなつながりをつくる「パーソナライズアプリ」だ。

ワコールの強みである販売員によるカウンセリングサービスについても、これらのデジタル技術の活用とともに進化させ、店舗における「お客様サービス」の一層の充実を図るという。また、これらのすべてのデジタルツールを導入し、個々のお客様がご自身の望まれる環境や方法で、最適なインナーウェアと出会うことを可能にする「次世代型インナーウェアショップ」を 2019 年春にオープンする予定で、当該店舗において、各デジタルツールの検証をおこない精度を高めたのち、直営店や百貨店等へ、同様のサービスを展開する予定となっている。

独自の「オムニチャネル戦略」を推進

ワコールでは新たな施策を通して競争優位性の強化と、より一層の事業効率向上を実現する計画だ。その具体的な内容は次のようになっている。

◆1.ワコール独自のオムニチャネル戦略について

ワコールは、多様化する消費者の購買行動に柔軟かつ迅速に対応するために店舗におけるユーザー向けサービスをデジタル技術で革新させて店舗と EC の連携を図ることで、一人ひとりのユーザーと「より深く、広く、長く」つながる環境をつくりあげる独自の「オムニチャネル戦略」を推進している。

従来、販売チャネルやアイテムで分断していた顧客・在庫・商品データを全社一括で管理することにより、ワコール独自のパーソナライズされた「お客様サービス」の提供を実現する。店舗と EC の連携については、卸先である一部百貨店の ECチャネルとワコールの在庫情報の共有化をすでにスタートしている。また、ECサイトを持たない下着専門店とワコールの EC サイトの連携についても順次開始していく予定だ。

◆2.現在開発中のデジタルツールについて

ユーザーがワコールのインナーウェアをより気軽に体験でき、自身にあった商品をより手軽に見つけることができるサービスの提供開始に向けて、現在、開発を進めているデジタルツールは下記のとおりだ。各デジタルツールは、ユーザーに新たなサービスを届けるだけでなく、女性のからだとこころにまつわる膨大なデータの蓄積を可能にするという。その貴重なデータを解析・利活用することにより、新たな商品・サービスの開発へつなげていくとしている。

同社資料より(以下、同様)

◆3.ワコール版オムニチャネルを支えるデータベースについて

オムニチャネル戦略の基盤となるデータベースの構築作業は完了し、顧客データや在庫データの全社一元化の取り組みをすでに開始しているそうだ。

◆4.店舗におけるサービスの充実について

「お客様サービス」の向上を目的として、接客業務を支援する新たなタブレットを試験運用している。導入店舗では、接客以外に費やす業務時間が短縮するなど販売員の業務効率面で効果が表れており、本年度中に本格的な運用を開始する計画だ。

さらに進化したワコールへ

傘下にメインとなる「ワコール」や低価格のサブブランドである「ウイング」などの各ブランドを有し、絶大な知名度を誇る老舗ワコール。近年ではピーチ・ジョンをはじめ矢継ぎ早に複数の下着関連企業を完全子会社化するなど、その勢いは留まるところを知らない。

画像はイメージ(同社資料より)

そのワコールがECのみならず独自の基盤を活用したデジタル化をさらに推進することによって、オムニチャネル化を加速させることとなった。百貨店を含むリアル店舗で、データを活用してそれぞれの顧客に合ったパーソナライズされた接客を目指すとしており、厚みのある販売チャネルを有する同社ならではの施策が繰り出されることになる。

まさにオムニチャネル化の王道とも言える施策だが、こうした抜本的な基盤整備は少なからぬリソースを必要とするだけに、大手企業だからこそできるとも言えるだろう。こうした施策を通して、ワコールは、さらに自社のアドバンテージと市場での地位をさらに確固たるものとしていくことは間違いない。その新しいワコールを目にすることができる未来はすぐそこまで来ている。

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