京東集団(JD.com)がドローンによる史上初の生鮮配送を開始!上海ガニが空を飛ぶ!

ECのミカタ編集部

陽澄湖産の上海蟹を運ぶドローンと上海蟹に括り付けられたQRコード(同社資料より)。

 中国・小売業No.1の大手EC&小売インフラカンパニー京東集団(ジンドンしゅうだん)(代表:劉強東 本社:中華人民共和北京市 NASDAQ:JD)は、最高級上海蟹の産地である陽澄湖の漁解禁に伴い、史上初となる自社ドローンによる上海蟹の配送を2018年9月より開始したことを公表した。

 京東集団は、ECの面から中国市場を力強く牽引するECサイト「京東商城(ジンドンしょうじょう)」(JD.com)」を運営している。

「ボーダーレスリテール」構築の一環

 京東集団は「ボーダーレスリテール」を提唱しそれを現在、推進している。「ボーダーレスリテール」とは、オンラインとオフライン(実店舗)、物流機能まで融合させたビジネスの総称だ。

 消費者にいつでも・どこでも、オン・オフラインの境界線すらも越え、快適に消費できる環境を提供する世界だ。京東はこの「ボーダーレスリテール」を、小売業のあるべき姿と考え、そこに近づくためのサービスを提供している。

 京東劉CEOはこの「ボーダーレスリテール」ついて、「シーンは無限、貨物に国境は無く、人と企業の間にも壁はない」と述べている。今回のドローンによる上海蟹の空輸も、同社が推し進めるその「ボーダーレスリテール」構築の一環であるとみられる。

ドローン活用に積極的/10キロメートルを飛行時間3分で配送

 すでに京東は、2015年12月よりドローン開発に着手、2017年よりドローンによる物流配送を開始している。京東はドローン配送を開始して以来、特殊な農産品を配達する飛行ルートの設定、辺境地域での農産品輸送や貧困扶助など、多くの実績を残している。

 今回の上海蟹の配達では、陽澄湖の湖畔から付近の京東の配送ステーションまでのルートを、最大飛行半径10キロメートル、最大積載量10キログラムのドローンを使用し、飛行時間3分で配送するというのだから驚きだ。
 
 9月~10月が旬である上海蟹の物流始点の配送効率を上げることで、消費者へより新鮮な状態で提供することが可能になるとしている

トレーサビリティにも注力

トレーサビリティにも注力同社サービスサイトより。

 京東の生鮮食品事業である京東生鮮は京東物流と連携しており、中国全土190都市で当日中の配達を行っている。また、京東の所有する北京・上海・広州3地区の協同倉庫を使うことで、同地区では注文から最短4時間以内で配達が可能となっている。

 配達スピードだけでなく、消費者に安心・安全を届けるため、約50種の蟹ブランドにブロックチェーントレーサビリティとドッキング技術を導入した。消費者は、商品パッケージに貼られたQRコードをスキャンすると、蟹の産地、成長環境、品質検査結果、捕獲日などの情報を確認することができる。

 京東は、今後についても中国国内における小売業者・物流網で支配的な地位を活かし、積極的なイノベーションを継続させながら、「ボーダーレスリテール」の実現に向けて技術発展を目指していく方針であり、EC先進国である中国での同社の地位を高めて行くことになるだろう。そしてそれは、日本のECの未来を先取りするものとも言えるのかも知れない。


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