オムニチャネル市場は76兆円規模に、野村総研が2024年までのICT市場を展望【野村総研調べ】

ECのミカタ編集部

株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:此本 臣吾、以下「野村総研」) は、2024年度までのICT(情報通信技術)とメディアに関連する主要5市場(デバイス/ ネットワーク/コンテンツ配信/プラットフォーム/xTech)を取り上げ、国内市場 および一部の国際市場における動向分析と市場規模の予測を行い、その内容を公開した。以下そのポイントとなる部分を抜粋して紹介する。

デバイス市場

※全て予測値
出所:NRI(以下、同様)

デジタル技術で企業経営やビジネスモデルの変革を図ろうとする「デジタルトランスフォーメーション(DX)」への注目が高まり、デバイス(端末機器)市場においても、今後更なる発展が期待される。

コンピューティングパワーの拡大、大量のデジタルデータの創出、シェアリングエコノミーなどビジネスモデルの変革に伴い、AIを用いた「データ駆動型のアプローチ※2」によって産業間の融合が進むと同時に、これを実現するデバイスへのニーズがますます高まりつつある。

携帯電話は2015年度から年間20億台以上販売されているなか、人口普及率は全世界で100%を超えており、携帯電話網はモバイル決済などの形で人々の生活に溶け込むとともに、日々大量のデータを生み出す巨大インフラと化している。

スマートフォンはAI機能が搭載されることにより、ますますデータ創出インフラとしての位置づけが高まってくるだろう。また、スマートスピーカーの普及に伴いヒューマンインタフェースの変革が進むとともに、様々なデバイスを通じて得られたデータの獲得を巡る競争が激化すると予想される。

デバイスへのAI搭載が進み、データへのアクセシビリティ(アクセスのしやすさ)が競争力のひとつとなるなか、デバイス市場は、①データの創出、②そのデータをAIに読ませることによるアプリケーションの利便性向上、③デバイス市場の更なる拡大、と言うポジティブサイクルに入っていくと考えられる。

ネットワーク市場

一般世帯向けの固定ブロードバンド回線の加入件数は、2018年度末の3,669万件から、2024年度末には3,870万件に増加する。これまで大手携帯電話事業者(MNO)による光ファイバー回線とスマートフォンとのセット販売が市場の拡大要因となってきたが、スマートフォンへの買い替え需要の一服及びスマートフォンの買い替えサイクルの長期化などにより、今後は微増傾向が続く。

携帯電話・PHSの契約回線数は、タブレット端末やIoT機器など通信モジュールが組み込まれた機器の増加や、多様なMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)の登場などにより、2018年度末の1億7,377万回線から、2024年度には1億8,468万回線に増加する。

格安スマホ(MVNO及びMNOのサブブランド)の契約回線数は、今後、段階制データプランや、分離プランを提供するMNOメインブランドとの料金面での格差が縮小することにより、契約回線数の伸びはゆるやかなものとなる見込みである。

コンテンツ配信市場

ゲーム市場は、消費者が有料で利用する意向が拡大しており、ソーシャルゲームが市場全体を牽引することで、市場全体は2024年度に1兆5,456億円規模に達すると予測される。ゲームプレイが観られる動画コンテンツの盛り上がりなど、これまでとは異なるゲーム情報との接点ができたことにより、ゲーム業界に新たなユーザー層が生まれている。

動画配信市場は、月額固定料金で豊富な映像コンテンツを視聴できるサービスの利用が拡大することにより、2018年度の1,986億円から、2024年度には2,300億円を超えると予測される。今後は、オリジナルコンテンツの制作強化と、放送のインターネット同時配信などにより市場構造が変化し、最終的には、放送、動画配信、コンテンツ制作の市場が一体化していくと見込まれる。

プラットフォーム市場

企業による情報システム投資の中心であった「コーポレートIT」向けの投資に加えて、ビジネスの価値向上を目指した「ビジネスIT」への投資が市場拡大を牽引する。特にビジネスITの分野においては、多様なB2B(事業者向け)プラットフォームの登場や、社会インフラとICTが融合したスマートシティなど、企業の枠を超えて、データ連携やシステム間連携が進んでいる。

本市場を牽引するのは、主にクラウドサービスとIoTである。前者は、2018年度の約2.9兆円から2024年度には約5兆円へ、後者は2018年度の約4.3兆円から2024年には7.5兆円を超える規模へと、それぞれ大きく成長する見込みである。

xTech市場

xTech市場は、クラウドやIoT、AIなどのデジタル技術を活用し、さまざまな分野・業界で新しいサービスを展開したり、業界構造そのものを変革したりする動きから出てくる新市場を指す。その範囲は幅広いが、「ITナビゲーター2019年版」は、FinTech(金融)、RetailTech(小売)、AdTech(広告)、AutoServiceTech(自動車関連サービス)、EdTech(教育)、HealthTech(ヘルスケア)、SporTech(スポーツ)、AgriTech(農業)・AquaTech(漁業)の分野について動向分析と市場予測を行っている。

例えばAutoServiceTech市場は、「所有から利用へ」というライフスタイルの変化に沿って成長する。法人型カーシェア市場は、個人顧客にとどまらず法人顧客も取り込み、都市部から地方部へと展開しながら、2018年度の3.3万台から2024年度には8.9万台に達すると予測される。また、需要は存在するものの、国内では収益事業としてサービスを提供することが違法となっているライドシェアについては、2019年度に規制が撤廃されたと仮定すると、2024年度に12.7万台の市場規模になると推計される。

xTech市場の中で最も先行している市場の1つであるFinTechは、次々と出現しているFinTech企業、およびそれらの企業と既存金融機関との連携により、新しいサービスやビジネスモデルが興っている。

今回新たに予測した、個人向けのスコアレンディングと、法人向けのトランザクションレンディングの融資実行額を合わせたスマートレンディング市場は、2018年度の約580億円から2024年度の約4,700億円にまで成長する。また、AIなどを活用して自動的に投資運用を行うロボアドバイザー市場(当該サービスの運用総額)は、2018年度の約2,700億円から2024年度の約1兆7,000億円まで成長すると予測される。

オムニチャネル

野村総研によれば、オムニチャネルコマース市場について「インターネット経由がリアル店舗かを問わず、一般消費者向け商品・サービスを、インターネット上の除法に接触したうえで購入・資料する市場」と定義している。

同市場はB2C市場を内包し、ホテルの予約のように実際の決済はリアル店舗で行われ、ネット上だけでは完結しない予約型の商品・サービスの市場も含む。同社によれば、オムニチャネル・コマース市場は76兆1000億円に拡大すると予想している。

ターニングポイントである「2024年」

野村総研によれば、2024年は、「2024年問題」が注目されており、日本の人口動態で、歴史上初めて50歳以上の人口が5割を超える年と予測されているとしている。また、通信業界においては、PSTN (Public Switched Telephone Network:公衆交換電話網)がIP(Internet Protocol)網に一斉に切り替えられる年でもある。

世界中のどの国も経験したことのないスピードで少子高齢化が進む日本では、進化するICTを活用しつつ、どのように生産性向上と働き方改革を推進して、豊かな社会を維持していくかが大きな課題となっていると指摘する。

いかなる企業においても、2020年頃に実用化が見込まれる5G(第5世代移動通信システム)、急速に進化するAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ロボットなどのデジタル技術を活用して、持続的に成長可能なビジネスモデルを再構築できるかどうかが問われているとする。

こうした劇的な変化が起こる2024年を見すえ、ECビジネスを展開する事業者は、市場動向を把握した上で自社の強みを理解して差別化を行い、そのアドバンテージをいかに消費者に訴求していくかが問われることにもなりそうだ。

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