アパレルECサイト[.st]を運営するアダストリアが平成31年2月期第3四半期決算内容を公表 国内事業と海外およびWeb事業で明暗

ECのミカタ編集部

幅広いアパレルブランドを展開し、ECサイト[.st](ドットエスティ)を運営する株式会社アダストリアは、平成31年2月期第3四半期短信についての資料をまとめ、その内容を公表した。

経常利益(連結)は17.7%減益で着地

同社資料より(以降、同様)。

同社資料によれば、当該第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高が1,623億45百万円(前年同期比0.6%減)、営業利益が57億円(前年同期比15.4%減)、経常利益が58億32百万円(前年同期比17.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が30億81百万円(前年同期比52.2%減)となった。

売上高については、海外売上高が前年同期比11.6%の増収となったが、国内売上高が前年同期比1.4%の減収となった結果、連結売上高は前年同期比0.6%の微減となった。

海外売上高は、前期に実施した米国Velvet,LLCの連結子会社化に伴う売上の寄与があった一方、香港と中国事業のリストラを進めた影響で同地域の売上が減少したとしている。

また、国内売上高は、「ニコアンド」以外のブランドで4から月にかけて夏物商品の売れ行きが不芳であったものの、6月に夏物セールを前倒して実施したことに加え、秋冬商戦において基幹ブランドの「グローバルワーク」「ローリーズファーム」が復調したことが奏功した結果、累計売上高は前年同期とほぼ同水準にまで回復している。

アダストリア単体

アダストリア単体では、損益計算書と関連資料によれば、当第1四半期より、バンヤードストーム、バビロンの2ブランドを、アダストリア単体から国内子会社であるエレメントルール社に移管した。また、8月より、ページボーイ、ミスティウーマン、ラボラトリーワークの3ブランドを子会社からアダストリア単体に移管した。

これらの移管に伴う影響を除くと、3ヶ月間の売上高前年同期比は103.7%、9ヶ月累計では99.5%となる。店舗数について、単体第3四半期末の店舗数は1,303店となり、前年同期末比14店舗減少した。

連結貸借対照表

連結貸借対照表によれば、2018年11月末のネットキャッシュは58億円であり、上半期の減益や有利子負債の増加などにより、前年同期末比で29億円減少した。棚卸資産は前年同期末比102.3%の水準だった。固定資産は、物流センターの拡張及びシステムの稼働などに伴い増加した一方のれんの減少や投資有価証券の売却により、前年同期末比で22億円減少した。純資産は522億円、純資産比率は52.8%となった。

国内ブランド事業

国内ブランド事業のニコアンドについては、ブランドの魅力を発信するイベントや、コラボレーションを積極的に実施した。代表的なものだと、10月に品川シーズンテラスにて、ニコアンドがプロデュースする音楽フェスを開催した。そこでは、音楽ライブだけでなく、チャリティーストアや、アクティビティ、ワークショップなどニコアンドが提案する衣・食・住に加え、遊び・健康・音楽など9つのテーマに沿って様々な催しを用意。2日間で述べ2000人以上が、ブランドの世界観を楽しんだ。

また、11collaborations(イレブン・コラボレーションズ)として、他業種やアーティスト、自治体等の11の団体と連携したコラボアイテムの販売も好評だったとしている。Jリーグ25周年を記念したオリジナルのコラボTシャツは、J1、J2のクラブチーム毎に異なるデザインで、ブランドのファンだけでなく、サッカーファンの間でも大きな話題となった。

同様にブランドのグローバルワークでは、秋冬商戦よりプロダクトプロモーションの強化に取り組んだ。ブランドとしてそのシーズンの主力商品である「パワーアイテム」を明確にし、生産から、MD計画、店頭展開方法、WEBストアでの販売タイミング、雑誌やカタログを利用した広告宣伝まで、徹底して一貫した訴求体制を整えることで、計画的に売上を積み上げることができたとしている。

また、上期から全国に増員配置をしたブランドSVによる、店頭情報の早期共有が効果を発揮し、QR生産でのトレンド対応を強化するなど、早期アクションの実現につながっている。

ローリーズファームでは、ブランド設立から25年を越え、ファンの年齢層が変化してきたことに合わせて、30代の女性が買い易い商品構成へと、MDの整理を着実に進行している。また、価格・在庫を適正にコントロールするOTB管理の基本を改めて見直し、無駄な値下げ販売を抑制できたことで、客単価が改善した。

Web事業

Web事業は、第3四半期までの累計国内EC売上高は285億円で、前年同期比114.6%となった。国内売上高に占める比率は18.6%、そのうち約半分の9.3%が自社ECサイト[.st](ドットエスティ)による売上だ[.st] の会員数は830万人を突破し、前期末比130万人増と引き続き増加を続けている

同業に関しては、第3四半期は、自社EC[.st]と、実店舗の連動性を向上させる取り組みで一定の成果が見られた。先行予約を積極的に実施し、売筋商品やカラーサイズ別の人気傾向などを早期に把握。ブランドへ情報を還元することで、実店舗も含めたブランド全体の在庫コントロールへ活かしているとしている。

また、これまでECサイトでは、商品入荷後に撮影や計測など詳細情報掲載の作業を行っていた為、販売開始まで、実店舗と数日のタイムラグがあったが、作業工程を見直し、実店舗とECの販売開始時期を統一することで、ECと実店舗の間での相互送客を強化している。

これらの取り組みにより、予約販売やプロパー販売での売上構成が上昇し、セールに依存しない売上作りの一助となった。この他、会員向けサービスの拡充も着実に進行している。9月に導入したNTTドコモ社のdポイントは、dポイントと連携している会員様の客単価が高水準で推移している。今後、更に利用者を拡大することで、ドコモ社と連携したマーケティング施策を検討したい考えとのことだ。

さらに11月には、アプリ上でのユーザーの画面遷移や購入傾向などのデータを元に、利便性を上げるUIへと、アプリをリニューアルした。今後も会員メリットの拡充を進め、優良会員を育成するとともにポイントを貯め易く、使い易い施策を実施することで、さらなる会員稼働率向上を目指すとしている。

好調な海外事業とWeb事業

連結業績予想などの将来予測情報に関する説明については、平成30年4月4日に公表いたしました通期の連結業績予想を変更していないとしている。

前述にもあるように、海外事業が好調である一方、国内では夏物商品の販売で値下げ販売の影響が尾を引いたこともあり、売上総利益率では前年同期比でマイナス1.2ポイント減となるなど、全体としてやや苦戦とも言える内容となった。

一方で[.st]を抱えるWeb事業も引き続き好調で、会員数も830万人に達し、国内EC売上高も前年同期比114.6%を叩きだしている。今度同社がリアル店舗とECへの経営資源をいかに配分していくかを含め、その動向に注目したい。

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