ECの未来は明るい?次世代物流システム・ サービス市場の近未来を予測する調査が実施される【富士経済調べ】

ECのミカタ編集部

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済( 東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 清口 正夫、以下「富士経済」)は、 ECの拡大によりニーズが高まる一方、現場における人手不足をはじめとした様々な課題を抱えながら、それらの課題解決を目指しロボティクス、IoT、AIなどをキーワードに進化する物流システム・ 物流サービスの市場について調査し、その結果を「次世代物流ビジネス・システムの実態と将来展望2018」にまとめた。

次世代の物流システム・サービス市場はどうなるか?

次世代物流システム市場は、年率で10%以上の拡大が当面続くとみられるとしている。ロボティクス・オートメーションでは、 多品種少量生産に対応する生産システムが実現できるAGV・アーム付AGVや、 AIとロボットを組み合わせた次世代物流ロボットシステムが、大きく伸びるとみられる。ロジスティクスファシリティでは、自動搬送・仕分けシステムや立体自動倉庫システムなどが通販市場の拡大を受けた堅調な伸びが予想される。

IoT関連では、規模はまだ小さいものの、 物流向けIoTプラットフォームが物流管理業務の平準化や作業効率化のニーズ増加に対応して、 今後の伸びが期待される。 AI を利用した物流システムでは、 物流向け音声認識エンジンやAI画像認識活用物流システムなどが実証実験から本格導入へと移行することにより伸びるとみられる。

次世代物流サービス市場は、現状、低温物流サービスが2017年時点で90%以上を占めている。 このサービスは国内では成熟しつつあるが、 今後も海外ではアジアを中心に伸びが予想される。

一方、現時点の市場規模は小さいものの、 トラックシェアリングや倉庫シェアリングなど、オンライン上でマッチングする新しいサービスの伸びが期待される。 トラックシェアリングは、 ドライバー不足が深刻化する中で、スタートアップ企業を中心にサービス展開が始まっている。 倉庫シェアリングは、季節変動商品の保管などで、小ロットや短期間で物流施設を利用したいニーズを捉え、 今後の需要増加が予想される。

宅配ボックスは普及するか?

宅配ボックスは電子制御式製品と機械式製品に分類される。戸建住宅向けは、 住宅建築時に取り付けられる貫通式と建築後に玄関先に設置される後付式がある。現状で普及率は低いものの、ECの拡大による配送件数の増加や人手不足による再配達問題の解決策として、今後普及が本格化するとみられるとしている。

戸建住宅の購入は一般消費者が中心であり、簡易な低価格帯製品が好まれるため参入障壁が比較的低く、多くの企業が参入している。生産数量の増加に伴い価格低下が進み、普及を後押しするとみられる。

今後も再配達の一部廃止や有料化、配送業者が配送物を玄関先などに置く「置き配(指定場所配達サービス)」などのサービス改定に伴い、市場拡大が予想される。 将来的には、機能面を重視するニーズを受け、IoTに対応する電子制御式も普及が期待される。

集合住宅向けは、分譲マンションや賃貸アパート向けの宅配ボックス、駅や商業施設に設置される宅配ロッカーを対象とする。 分譲マンション向けや公共スペース設置型は電子制御式が多く、賃貸アパート向けは機械式が中心である。

分譲マンション向けは、デベロッパーの主導により設置が標準化されており、 普及が進んでいる。今後、既存の分譲マンションでは、リノベーションなどを契機として、新規の導入や入れ替えがさらに進むとみられる。また、水など重量物の宅配ニーズを受けて、共有フロアだけでなく、各世帯専用宅配ボックスの設置が進んでいる。 賃貸アパート向けは、分譲マンションと比べると 普及の初期段階であるが、配送サービスの改定を背景に伸びている。

さらなる普及のためには低価格化が求められ、事業者によっては部材改良や生産地検討などにより、低価格製品の投入を進めている。公共スペース向け宅配ロッカーは、再配達問題を解決するシステムとして注目されているものの、日本国内では自宅で荷物を受け取る習慣が根強いため、実際の設置はまだ少ない。

ドローンや物流向けIoTの未来は?

物流ドローンは、少量輸送に適した手段であり、配送業界の人手不足や、過疎地域で深刻化する高齢化を背景とした買い物難民問題の解決策の一つとして注目されている。

2018年3月に国土交通省と経済産業省が発表した「無人航空機の目視外飛行に関する要件」により、従来の航空法で定められていたドローン飛行レベル3の承認基準が部分的に緩和されるなど、市場の本格化に向けて法整備が進んでいる。当面は実証実験や試験運用を経て、ドローン飛行レベル3に当たる、山間部や離島などの特定の地域における輸送サービスの展開が進むとみられる。都市など有人地帯上でのドローン運用は2020年以降の本格化が期待される。

課題としては、トラックと比較して可搬重量が軽いドローンを活用する場合には膨大な数が必要であることや、150メートル以上の高さの空域や空港などの周辺、人口密集地の上空のドローン飛行には許可が必要であることなどから、今後の普及には課題解決への取り組みが求められる。

物流現場の情報とWMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)、ERP(統合基幹業務システム)などのシステムを収集・統合・分析し、人の配置や作業員の能率向上、流通在庫の最適化、車両管理や配車ルートの効率化といった物流業務の改善を行うためのプラットフォーム・ ソフトウェアを対象とする。

2017年はPoC(実証実験)、PoV(価値実験)が中心で、 医薬品卸やスーパーマーケットの倉庫作業業務や配送業務の最適化、効率化などでの活用がみられた。2018年に入り 、倉庫作業の効率化などを目的としたサービス提供が本格的に開始されている。物流現場における人手不足や作業効率の改善に向けて、今後は需要の増加が期待される。

従来は特定の管理責任者に偏っていた倉庫作業や配車業務にかかわるノウハウの平準化、また少ない作業者でも高い作業効率が実現できることなどが期待されており、2025年の市場は2017年比4 .5倍の27億円が予測される。

最新技術とソリューションが新市場を生み出す

調査結果にあるように、2025年市場予測(2017 年比)としては、次世代物流システム・サービス市場 3兆8 ,743 億円(89 .1 %増)。宅配ボックスの国内市場 220 億円(2 .0倍)で、「置き配」サービスなどの普及により戸建住宅・集合住宅向けともに大きく伸びると予想されている。

また物流向けドローンの国内市場は25億円(12 .5倍)で、当初は山間部や離島などの特定の地域でドローン活用の輸送サービスの運用が進み需要増加を見込む。

物流現場の人手不足の深刻化など、社会の大動脈である物流の課題解決のためロボティクス、IoT、AI技術を活用し、人依存から自動化、省人化を実現する次世代物流ビジネスへの取り組みが進んでおり、製造、販売が一体となり、物流における最適なサプライチェーンの構築による新たな価値を生み出し、それに伴い市場は拡大を続けるとしている。

日本国内では、人口の減に伴う生産労働人口の減衰が現実のものとなり、景気の拡大もあって、すでに大都市部を中心に人手不足が顕著になっている。これはEC市場を支える物流の現場ではより深刻で、官民あげた取り組みがなされているところだ。

こうした課題を前にしつつ、今回の調査では、最新技術やソリューションによって、むしろ新たな市場として拡大していくことが示唆されており、その意味で、まさに危機こそチャンスであるということにもなるだろう。日本市場、そしてECの未来は明るいとも言えそうだ。


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