「いかにキャッシュレスを浸透させるか」についての調査が実施される【JCAA調べ】
日本クレジットカード協会(略称:JCCA、会長:井上 治夫 三菱UFJニコス株式会社 代表取締役社長)は、アクセンチュア株式会社、マネーツリー株式会社の協力のもと、消費者が、キャッシュレス決済を「使えるのに、使わないのはなぜか」に着目した調査を実施。諸外国の取組み事例も参考に、わが国におけるキャッシュレスの推進策の考察を取りまとめ、その内容を公表した。
調査概要
◆【一般消費者向けアンケート】
[対象者数]
1,305名
[対象者]
都市部在住の日本人、かつ給与所得者又はその配偶者)
[期間・調査方法]
2018年8月8日~8月10日(WEB調査)
◆【家計簿アプリ利用者向けアンケート】
[対象者数]
9,052名
[対象者]
家計簿アプリMoneytree利用の日本人、かつ給与所得者又はその配偶者
[期間・調査方法]
2018年8月30日~9月10日(WEB調査)
現金かキャッシュレスかは店の「雰囲気」が重要?
調査結果の大きな要点としては以下の通りだ。お店で「使えるのに、キャッシュレス決済を使わない」理由として、「現金決済の方が、時間がかからない」ケースがあり、「決済時の手間や店舗側の対応・雰囲気に左右されて現金決済を選んでいるから」となった。消費者の約6割が「お得さ」からキャッシュレス決済を利用し始め、約8割が「便利さ」により利用が習慣化している様子がうかがえるとしている。
キャッシュレス経験者は使えるお店優先で買い物か
一方、キャッシュレス決済を使う人は、「使える店」を選んでいるともとれる結果となっている。一般消費者の約4割、家計簿アプリ利用者の約6割が、日常生活に密着した消費シーン(スーパー・飲食店等)でキャッシュレス決済非対応の店を避ける傾向がみられたようだ。
またキャッシュレス決済の利用率が50%未満の「ライトユーザー層」と未利用だがきっかけがあれば利用したいとする「キャッシュレス関心層」の合計で全体の約6割になった一方、「無関心層」は全体の1割に満たなかった。
ライト層ヘビー層の双方への施策が重要
同協会では調査結果から、わが国におけるキャッシュレス化のさらなる進展には、主に「ライトユーザー層」と「キャッシュレス関心層」に向けて、効率的・効果的な推進施策を導入していくことが重要で、具体的には、日常の生活シーンを対象に①サインレス・PIN(暗証番号)レス、②コンタクトレス(非接触IC)環境の整備による決済の“簡便化・時短化”など利便性を向上させ、キャッシュレス決済利用の習慣化を目指すことが求められると続けている。
さらに「キャッシュレス関心層」には、特典の付与等で「お得さ」をきっかけとしてキャッシュレス利用を喚起し「ライトユーザー層」への移行を、将来的には利便性の体感による「ヘビーユーザー層」へのシフトを促進することが求められると述べている。
また同協会は今後、安全安心な決済インフラ整備の推進に加え、今回の調査で得た知見・考察を深め、政府が掲げるキャッシュレス社会の実現に向けた効果的な施策の実施につなげていく方針であることも明らかにしている。
EC市場においてはキャッシュレス決済が基本となるが、オムニチャネル化をはじめとしたリアル店舗との連携で考えても、さらなるキャッシュレス化の推進は望まれるところだろう。
キャッシュレス決済サービスを提供する各社からも、大々的なキャンペーンが相次いで打ち出されるなど、にわかに賑わいを見せているが、エコシステム間の競争という側面もさることながら、利用者にとって、いかに利便性とベネフィットを提供できるかが、より一層のキャッシュレス決済の浸透には必要とも言えそうだ。