宅配ボックスで8割以上の利用者がストレス軽減【ナスタ調べ】

ECのミカタ編集部

株式会社ナスタ( 本社:東京都港区、代表取締役社長:笹川順平 以下、ナスタ)は、福岡市が主催する「実証実験フルサポート事業」に参画し、福岡市の戸建住宅、1000世帯を対象に宅配ボックス「スマポ」を提供。受け取り方の変化が宅配ストレスに与える影響とその効果を検証した。

消費者の困りごとを可視化

宅配ボックスを利用した再配達率の測定は、これまでいくつもの企業が行っておりましたが、ナスタでは業界として初めて「宅配ストレス」に着目し、宅配ボックスの設置前後で荷物の受け取りストレスの変化を測定。ストレスを数値化することで、消費者の本当の困りごとを可視化した調査の結果を公表したとしている。

なお宅配ストレスを数値化する測定方法は、日本産業ストレス学会前理事長 夏目誠医学博士が監修し、「宅配=ストレス」という事実を実証したとのことだ。

【実証実験の概要】

宅配ボックスを活用した社会課題の解決を目的とし、1000世帯のモニターへ宅配ボックスを無償提供。約3ヶ月間、利用してもらい設置前後の2回アンケート調査を実施した。

[宅配ボックス利用期間]
2018年11月初旬~2019年1月下旬までの約3ヶ月間

[アンケート実施]
宅配ボックス設置前( 1回目)2018年10月25日~10月31日(有効回答数:n = 977)

宅配ボックス設置後( 2回目)2019年1月21日~1月27日(有効回答数:n = 821 )

有効なストレス測定方法として、ストレス評価の権威である日本産業ストレス学会 前理事長の夏目誠医学博士監修のもと、【ライフイベント法】(あるひとつの項目を50点とし、それの基準に0~100点の範囲で自己評価により点数化、 対象者の項目ごとの平均点を求めてライフイベント得点としたもの)を用いて宅配ストレスを数値化した。

【夏目誠医学博士プロフィール】

1946年愛知生まれ。精神科専門医、大阪樟蔭女子大学名誉教授、日本産業ストレス学会前理事長。1971年、奈良県立医科大学卒業。大阪府こころの健康総合センター部長などを経て、現在、5 社で精神科医・産業医を務める。著書に『勤続疲労に克つ』( ソフトバンク新書)『中高年に効く!メンタル防衛術』( 文春新書)など。

8割以上の利用者が「ストレス軽減」

8割以上の利用者が「ストレス軽減」

宅配ボックスを設置し、82.3%の人がストレスが減ったと回答。(『減った』は、「とても減った」「減った」の合計)宅配ボックスを利用して宅配ストレスが減少したことが実証された。特に、頻繁に荷物を受け取っていたユーザーほどストレスが減っていた。

時間や行動が制限されなくなった

時間や行動が制限されなくなった

宅配ストレス度1位:荷物が指定日に受け取れなかった 6 9. 6 %減、宅配ストレス度2位:荷物がいつ届くかわからず困った 7 2 . 4%減、宅配ストレス度3位:ピンポンの音で寝かしつけた子供を起こされた 47. 9 % 減という結果になった。

宅配ボックス設置前、8 3. 5 % の人が「楽しみにしていた荷物や、どうしても受け取りたかった荷物が、指定した日に受け取れなかった」経験があると答えていたが、宅配ボックス設置後は、その経験があった人が13 . 6 %に激減。

約8割の人がまったく経験しなかった、またはほとんど経験しなかったと回答した。宅配ボックスのおかげで、対面で荷物を受取らなければいけないことから解放され、時間や行動が制限されなくなったことが証明されたとしている。その他、ストレス4 位~8 位の項目すべてにおいて、同様の結果が見られた。

若い世代ほど「宅配ボックスは必要」

若い世代ほど「宅配ボックスは必要」

宅配ボックスは、91.4%の人が必要と回答(『必要』は、「絶対に必要」「必要」の合計)。ストレスの減少とともに、その便利さを体験した多くのユーザー様から、今後も使い続けたい、両親や友人にも宅配ボックスを勧めたいという声もあった。

すべての世代で9 割以上が宅配ボックスは必要と回答し、年齢別では、20~29歳が「絶対に必要」と回答した人が6割以上おり、若い世代ほど必要性が高かった。

宅配ボックスがストレスを軽減したことは明らか

◆【宅配ストレスの結果をみて:日本産業ストレス学会前理事長夏目誠医学博士よりコメント】

「精神科医・産業医である私はこの35年間、労働者のストレス、学生のストレス、時には芸能人のストレスなど、多くのストレスと向き合い、研究してきましたが、『宅配ストレス』という分野は大きな気づきでした。

『モノを買う』ということは、消費者すべてにおいて当てはまる行為です。現代では、その手段がインターネットや通販を利用し、店に直接買いに行かなくても、商品を届けてくれるようになりました。便利になったはずが、荷物を受け取るということが不便なままで、そこにストレスが発生していたのです。

今回の調査結果をみて、宅配ボックスというひとつのソリューションが、消費者の抱えるストレスを軽減したことは明らかであり、大変有意義な結果が出たと感じています。特に、宅配ボックス設置前後のストレス得点差上位3つが、-15点以上下がっていたことは、予想以上の効果と言えます。

また現代ストレスとの比較も面白いですね。宅配ストレスは現代のストレスの中でも大きな影響を与えており、それが今回は自宅にある宅配ボックスひとつで解決できる可能性が高いという実証がなされたと思います」

◆【福岡市実証実験フルサポート事業担当者:福岡市総務企画局企画調整部企画課長 藤本 和史氏よりコメント】

「今回、再配達の社会課題が深刻化している現状を踏まえ、平成30年8月に本プロジェクトを採択し、モニター募集の広報協力や宅配ボックス設置に向けた関係者への協力依頼などの支援をさせていただきました。

本実証実験で得られた成果や課題を今後の製品開発等に活かし、さらなる市民の利便性向上を図ることで、再配達削減を含む物流課題の根本的解決に繋がることを期待しています」

画期的な実験結果となった

画期的な実験結果となった

今回の実証実験では、業界として初めて「宅配ストレス」の数値化が実施された。商品を注文してから手元に荷物が届くまで、何が最もストレスなのか、利用者が本当に困っていることは何なのか、それを可視化( 得点化)することで、あらためて宅配ボックスの普及が宅配ストレスを軽減し、社会課題の解決につながったのかを知る必要があったとしている。

そのために信憑性、妥当性のあるデータ結果が得られるよう、これまでにない規模でのアンケート調査を実施し、多くのモニターから意見・感想を聞いた。良かった点だけでなく、「荷物を入れてもらえなかった」「鍵を閉めてくれなかった」など、悪かった点についても聞いており、届いたコメントはスマポWebサイトの「実証実験結果レポート特設ページ」にて公開している。

このように宅配の受け取りに関するストレスを科学的に定量化し、なおかつ宅配ボックスがそのストレスを軽減していることを科学的に実証した点で、今回の実験は画期的と言えるだろう。今後もECのラストワンマイルである宅配と、その受け取りの課題を解決するために、宅配ボックスの普及とさらなるソリューションに期待したいところだ。

 


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事