楽天と京東集団が連携し無人配送ソリューション構築へ向けて始動

ECのミカタ編集部

楽天株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史、
以下「楽天」)と中国市場を牽引するECサイト「京東商城(JD.com)」を運営する京東集団(本社:中華人民共和国 北京市、代表:劉強東、以下「京東」)は本日、楽天が日本国内で構築する無人配送ソリューションに、京東のドローンと地上配送ロボット(Unmanned Ground Vehicle、以下「UGV」)を導入することに合意した。

ラストワンマイルの課題解決に向けて

楽天は、2016年にドローン配送ソリューションを提供するサービス「楽天ドローン」を開始し、企業や自治体と連携した実証実験や試験的なサービス提供を通じて実績を重ねている。2018年には、ドローンとUGVを組み合わせた配送実験を初めて実施し、日本の物流分野におけるラストワンマイルの課題解決に向けて始動した。

楽天の常務執行役員である安藤公二氏は、次のように述べている。

「中国国内で最先端の自社配送網を保有し、ドローンとUGVを用いた配送においても実績やノウハウのある京東と連携できることを大変嬉しく思います。京東のドローンとUGVを弊社が構築する無人配送ソリューションに導入することで今後、日本の物流分野におけるイノベーションを加速させ、多くの方に利便性を感じていただけるような社会の構築に貢献していきたいと考えています」

40万分以上の配達飛行を実施

一方の京東は、2015年よりドローン開発に着手し、2016年に江蘇省、陝西省およびその他の省の中国農村部で世界初の商用ドローン配送を開始し、これまでに40万分以上の配達飛行をしている。2019年1月にはインドネシアで同国初となる政府承認ドローン試験飛行の成功を発表し、インドネシアおよび東南アジアでの商用ドローン基盤を構築した。

また、2017年に発表した宅配用のUGVは、複数の大学構内に導入され、現在一部の都市でも運行している。2018年11月には中国長沙市、フフホト市に中国初の「無人配送車スマート配送ステーション」を設立し、ラストワンマイル物流を大きく変えてきた。

京東の副総裁で「X事業部」総裁である、肖軍(ショウジュン)氏は、次のように述べている。

「ドローンとUGVは従来の配送コストを削減し、運送時間を短縮することも可能にします。ドローンは山地や離島配送、緊急救助などの分野で日本での応用も大いに期待されます。京東は独自のドローンとUGVを活用した無人配送技術を積極的に研究し、世界中の人々に新しいショッピング体験を提供したいと思います」

導入予定の機体の概要

導入予定の機体の概要

◆【ドローン】
[サイズ]
幅 160 cm × 高さ 60 cm

[最大積載量]
5kg

[最長飛行距離]
16km 

[最大飛行時間]
40分

◆【UGV】
[サイズ]
縦171.5 cm × 幅75 cm × 高さ160cm ※高さは上部センサー含む

[最大積載量]
50kg

[最大走行時速]
15km/h ※速度制限は可能

無人配送サービス提供に向けて連携を進める

楽天と京東は今後、楽天が展開する、日本国内における無人配送ソリューションの早期構築およびサービス実用化を目指し、より便利で革新的な社会の実現に向けて協力していく方針だ。

また両社は、今回の合意に基づき、楽天が持つドローン配送の運用ノウハウおよび専用ショッピングアプリなどのITソリューションと、中国国内で多くの実績がある京東のドローンとUGVを組み合わせることで、使用用途や場面に応じた楽天の無人配送サービス提供に向けて連携を進めて行くとしている。

ECの生命線とも言える物流のラストワンマイル。EC市場の発展にあわせて、物流量が増加する一方であり、宅配業界などその現場は、ひっ迫した状況が続いている。そうした中、ECプラットフォーム各社が独自での物流網を構築する動きがあるが、中国ECを牽引する京東集団は、早くからその点で実績を重ねて来た。

楽天も中央官庁と連携し、日本の山間部などでのドローン運用の実証実験に乗り出していたが、今回ついにその日中のECトップクラス企業が手を組んだことになる。ラストワンマイルの課題解決のためにも、今後のより本格的な無人配送システム構築に期待がかかるところだ。

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