【続報】ヤフーの2019年 Yahoo!ショッピングの全てを知る小澤氏戦略を語る
ヤフー株式会社(以下、ヤフー)は「ベストストアアワード2018」を開催し、その中で常務執行役員 コマースカンパニー長 コマースカンパニー ショッピング統括本部長 小澤隆生さんより、気になるYahoo!ショッピングの2019年の展望について話す「戦略共有会」を実施した。
彼は冒頭、こう切り出した。「Yahoo!がものを買う場所として認知されている。eコマース取扱高は2兆円超え、Yahoo!ショッピングを切り出しても取扱高も123%増の勢いで伸びている」と。言うまでもなく、その成長ぶりに今までの数値も、そして、未来にも自信を見せている。
事実、昨年のデータにも目を向けてみよう。Yahoo!ショッピングにおいて、その購入コンバージョンレートは前年比120%増、注文回数も前年比130%となっており、クーポン経由の取扱高も前年比166%増だ。勢いのある店舗が牽引している状況は依然として変わらず、今回受賞している店舗に関していえば、取扱高が前年比132%。月商1億円を超えたストアの数も増加し前年比134%増だと言う。
5のつく日なども成功し、売上のヤマが生まれて店が伸びる
また小澤さんを筆頭にヤフーで、まだYahoo!ショッピングに慣れないお店に対して編み出した売上のヤマを作るための「5のつく日」、「ゾロ目の日クーポン」なども全体の成長に大きく寄与している。5のつく日キャンペーンも前年比取扱高121%増、ゾロ目の日は前年比118%増となっていて、また、独身の日に合わせて実施される「いい買い物の日」も前年比131%となって、大きな買い物の盛り上がりをヤフーが作り出している格好だ。
ヤフーの持つ様々なコンテンツを結集して、買い物につなげていて、Yahoo!JAPANのトップページは、見ている人にマッチした商品を表示する仕様に。トップページの5分の一ほどのスペースがYahoo!ショッピングとなっており、Yahoo!ブラウザでYahoo!ショッピングを見る人は一日1.6億PVにも及んでいるそうだ。
更に、同じグループのソフトバンクからの連携に関しても注力し、その勢いは携帯利用者数の多さゆえ、いまだ衰える気配はない。ソフトバンクから会員の注文者数と取扱高はいずれも昨年比1.7倍。実際に、ソフトバンク会員のうちYahoo!ショッピングを利用する人は45%にも登っているという。
UI、UXも進化させる
そして、2019年の戦略としては、まずUI、UXの向上を挙げた。表示速度を120%アップさせた他、商品配送方法によって、お届け希望日を設定可能にするなど配送方式を変更。定期購入機能を追加し、セール価格で販売する期間を設定した価格予約機能を用意して、店頭受け取りも行えるようにしていくと言う。
良いお店を優遇する施策とPayPay旋風をフックに成長
話は施策面にも及び、かつてはソフトバンク等、今存在するお客様に施策を打っていたが、新たなユーザーも引き込むべくPayPayの積極活用をあげた。PayPayのユーザーは既に400万人を超えていて、小澤氏曰く「PayPayで買い、Yahoo!ショッピングに入ってくるという流れを生み出していく」としており、「もともと決済ツールなのだから、そのままPayPayで買った人は当然の様にYahoo!ショッピングに入ってくる」と胸を張った。
そして、良いお店の基準を設定し、良いお店を上位表示をしていくとした。その良いお店の基準は出荷の早さ、出荷遅延率、ストア都合のキャンセル率などで、自然と多くのお店が良いお店に合わせていく様に仕向けていけば、Yahoo!ショッピング全体の顧客満足度につながるとした。
強みを生かし、成長を続け、中小規模の店舗にチャンスを与える施策で、自らの成長を促すヤフーの動きは非常に興味深い。
仕掛けに裏付けがあるヤフーの戦略
最後に、個人的見解ではあるが、PayPayもいわゆる先行する楽天ペイなどとは少しユーザーが違いそうに思っており、そのヒントは銀行からのチャージにあると僕は睨んでいる。楽天ペイは恐らくクレジットカードからの決済が多いものと思われ、それに対してPayPayは銀行からのチャージをした人を優遇しているから、当然ながらそういった層が集まることとなる。
クレカを持たない世代は前払いとなるし、そうでなければ後払いなので、その違いは世代や属性にも影響するので、同じスマホ決済でもユーザーは違って来るはずだと思うのだ。そして、クレカを使わなければ、その分、手数料が浮くために、Yahoo!ショッピング内の施策も多様性に満ちてくる様に思う。
更に、EC決済の多くがクレジットカードであることから、電子マネーの蓄積から顧客の創出という意味で、全く新しいユーザーの獲得になると思っている。考えてみれば考えてみるほど、用意周到なのではないかという気がしており、仕掛けに何かしらの裏付けがあるヤフーだけに、これからの取り組みについては、これからの展望を先読みしながら、どう結びつくのかを考え、期待をしたいところだ。