メルカリはコミュニケーションツールに。シニアユーザーはなぜメルカリを利用するのか

ECのミカタ編集部

株式会社メルカリは、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科前野隆司教授監修の下、全国のフリマアプリ利用者・非利用者1,648名を対象に「60代以上のフリマアプリ利用実態」に関する意識調査を実施した。ここではその内容についてポイントを絞って見ていく。

メルカリによれば、これまでのフリマアプリは20~30代の利用を中心として市場が拡大してきた。一方、近年の「メルカリ」においては、60代以上の利用者が増加しており「生前整理」や「終活」のキーワードで出品される商品が過去1年間で約2.5倍(2018年1~12月実績/2017年同時期比較)に急増しているという。

そこで、メルカリでは2018年12月に「60代以上限定のメルカリ座談会」を開催し、60代以上の「メルカリ」利用者の声を直接聞いたところ、フリマアプリ利用に対する意識として、「不要品の整理」「お金を得る」という利用目的以外に、フリマアプリを通じたやりとりに「楽しみ」や「やりがい」を見出しているという声が多数あったそうだ。

このような背景を受け、60代以上の方がフリマアプリを利用する目的、フリマアプリ利用前後の意識変化など今後の可能性を明らかにすべく、調査を実施したとのことだ。

調査概要

[調査時期]
2019年2月16日(土)

[調査方法]
インターネット調査

[調査対象]
全国、1,648名
・60歳~、男女824名 (フリマアプリ利用者412名、フリマアプリ非利用者412名)
・20~29歳、男女824名 (フリマアプリ利用者412名、フリマアプリ非利用者412名)

フリマアプリを使うシニア層の実態は?

60代以上のフリマアプリ利用者・非利用者の平均資産額を集計したところ、利用者の平均資産額は約2500万円、非利用者は約2100万円となり、利用者の方が資産額が多かった。

※60代以上のアンケート回答者に対して、現在の資産(現在保有している金融資産、不動産、貯蓄等)状況を聴取。利用者、非利用者別の資産合計額から平均資産額を算出。

また 60代以上のフリマアプリ利用者の50.0%が「歳を重ねても働き続けたい」と回答。一方で非利用者は38.8%にとどまる結果となり、利用者は非利用者と比較し、就労意欲が高いことがうかがえる。

さらに60代以上のフリマアプリ利用者は非利用者と比較して、「人とのつながりを持つため」に働く意向が強く、非利用者と最も大きい約1割の意識差だった。

フリマアプリを使うシニアは意欲的?

次に60代以上のフリマアプリ利用者の65.5%が「今後、チャレンジしたいことがある」と回答。一方で非利用者は47.6%にとどまる結果となり、利用者の方がチャレンジ意識の高いことがうかがえる結果となった。

チャレンジしたい内容について、フリマアプリ利用者は非利用者と比較して「これまで経験がない社会貢献活動」(7.7%差)、「運動・スポーツ」(6.6%差)、「これまで培った技術経験を生かした社会貢献活動」(5.7%差)に対して意欲的であることが推察される。

「幸福度」はどのくらい?

60代以上のフリマアプリ利用者の75.5%が自らを「幸せ」だと評価。一方で非利用者は69.2%となり、60代以上の利用者は非利用者と比較して幸福度が高い結果となった。

また60代以上がフリマアプリの利用を始める目的1位は「不要品の処分」79.6%、2位「欲しいものをお得に購入」51.7%、3位「お金を得る」35.0%。20代の場合、1位「お金を得る」71.6%、2位「不要品の処分」67.7%、3位「欲しいものをお得に購入」38.8%。60代以上と20代の間で「お金を得る」利用目的には約2倍の意識差がある結果となった。

リユースECがもたらす「人とのつながり」

今回の調査に際し調査監修を担当した慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授 前野 隆司氏からは次のようなコメントが出されている。

[プロフィール]
1984年東京工業大学卒業、1986年同大学修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て現在慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授。慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼務。博士(工学)。著書に、『幸福学×経営学』(2018年)、『幸せのメカニズム』(2014年)、『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房,2004年)など多数。日本機械学会賞(論文)(1999年)、日本ロボット学会論文賞(2003年)、日本バーチャルリアリティー学会論文賞(2007年)などを受賞。専門は、システムデザイン・マネジメント学、幸福学、イノベーション教育など。

[コメント]
「非常に興味深い結果が出ていると思います。60代以上のフリマアプリ利用は『お金』のためではなく『つながり』のためであるという傾向が明らかになっているのみならず、フリマアプリを利用するシニアは利用しないシニアよりもリッチで幸せであり、働く意欲が高く、チャレンジしたいことがあるという結果となっています。ただし、この調査からは因果は断定できないことには注意していただきたいと思います。フリマアプリ利用が原因なのか結果なのかは、この度の調査からはわからないということです。

つまり、フリマアプリを利用した結果としてリッチで幸せになったのか、リッチで幸せな人がフリマアプリを使っていたということなのかはわかりません。リッチで幸せな人は、モノ・心ともに余裕があるので、その結果としてフリマアプリを利用したと推測することもできます。

ただし、フリマアプリ利用の結果として繋がりが増えた、売買を通してのコミュニケーションが楽しかった、といった回答結果も見られることから、フリマアプリを利用した結果として多様なつながりが増えてリッチで幸せになった人がいるかもしれない、という可能性は否定できません。

私のグループが行った幸福学の研究結果によると、友人の数は幸福度に相関しますが、友人の多様性は、友人の数以上に幸福度と相関します。つまり、多様な人と触れ合う人は幸せなのです。私がアメリカに住んでいた頃、車や家具の個人売買が盛んでした。そして、個人と接することは文化理解につながりました。フリマアプリに限らず、様々な活動が、人々の多様なつながりと幸せに寄与することを願ってやみません」

またメルカリによれば「フリマアプリを利用して、あなた自身に起こった変化」についての自由回答では、60代以上の利用者から以下のような回答があったという。

「日本中の購入者・出品者等、他者とのコミュニケーションを取れることに喜びを感じるようになった」(72歳女性)

「メルカリの利用で、すごく頭を使うので、認知症予防になる」(71歳女性)

「いろいろな方との交流を通じて、いろいろな情報などを収集できて、ネットサーフィンがより楽しくなり、ネットビジネスに関心が高まってきた」(69歳男性)

「出品した商品のお得意様ができたり、同じ趣味の方との会話ができたり、日本中の美味しい物がお安く買えたり本当に楽しいです。浪費癖がつきますが、暫くおやすみしたりしながら、マイペースでできる。日用品・化粧品などもお安く買っています」(64歳女性)

「生きがいができたように思うし、人と人とのつながりの大切さも実感するようになった」(62歳男性)

同社では、これらのことから、60代以上のフリマアプリ利用者は、一般的なフリマアプリの利用目的「お金を得る」や「不要品の処分」以外に、「社会とのつながり」をつくるツールとしての価値を見出していることがわかったとしている。

拡大を続けるリユースEC市場だが、メルカリの今回の調査結果にもある通り、シニア層にも着実にその利用は進んでおり、かつその理由も社会とのつながりの要素が大きいという側面が浮き彫りとなった。こうした利用者視点の深堀ができるのは、メルカリならではであると言えるだろうし、端にモノの売買だけではない、「人とのつながり」を持てる点についてもECが本来持つ強みを具現化しているとも言うことが出来そうだ。


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