2023年には8,600億円市場へ サブスク市場はさらに発展する見込み
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のサブスクリプション(定額)・サービス市場を調査し主要カテゴリーの市場動向や参入企業動向、将来展望などを明らかにした。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。
サブスク市場成長の裏にはECの発展が
矢野経済研究所はサブスクリプション市場の概況について、次のように分析している。2018年度のサブスクリプション(定額)サービス国内市場規模(8市場計)はエンドユーザー(消費者)支払額ベースで、5,627億3,600万円であった。
サブスクリプション(subscription)は元来、新聞などの定期購読を意味する英語であるが、サブスクリプション・サービスとは会員制・定額制サービスにおける「定期的に利用料等を徴収する販売方式」を意味する。
同社ではサブスクリプション・サービス普及の背景には、ECサイトが流通チャネルの一つとして成長するなか、顧客(ユーザー)の購入履歴が利活用されるようになったことがあるとしている。
サブスクは多様化する個人需要をターゲットに
そうしたことがECサイト利用時のレコメンド(推奨)機能など、顧客情報や閲覧・購入履歴等を利用することで、顧客の潜在需要を顕在化させ、定期購入などの消費を促すといった施策を提供する事業者が増えたことがサービス普及の一因ともなっているようだ。
また消費者のモノの所有から利用へと消費行動が変化するなかで、シェアリングサービスの普及もあるものとみる。こうしたなかで、定額でモノやサービスを利用できるサブスクリプション・サービスへの需要の高まりもあるものと続ける。
そもそもサブスクリプション・サービスは有料会員制を基盤とするビジネスモデルである。会員の顧客情報を利活用することで、マス(大衆)需要ではなく、多様化する個人需要をターゲットとする販促活動を可能にしている。なかでもファッションや音楽分野では、より個人ユーザーが理想とするサービスの提供など、様々な取り組みが進んでいる。
2023年には8,623億円市場に
同社ではサブスクリプション市場の将来展望についても言及している。2023年度のサブスクリプション(定額)サービス国内市場規模(8市場計)はエンドユーザー(消費者)支払額ベースで8,623億5,000万円を予測。
国内は少子高齢化の進展などから、多くの市場において成長率が鈍化してきており、当該市場分野においては新規需要や販路の開拓が課題となっている。なかでもサブスクリプション・サービスを先行していたアパレル分野は所有からサービス利用へといった消費者動向を踏まえ、主要企業においてはこうした需要の開拓に成功している。
同社ではまた自社製品やサービスをサブスクリプション・サービスに活用しようとする企業の追随する動きもみられるとしている。こうした動きはアパレル分野以外でも想定されることから、今後もサブスクリプション・サービス市場は好調に推移するものと分析している。
国内でもいよいよ浸透してきているサブスクリプション・サービス。その背景にはEC市場の発展があるようだ。そして両者の親和性の高さも、今回の同社の調査から浮き彫りとなっている。今後についてもサブスクリプション市場はさらに発展することが見込まれており、EC事業者としても大きな商機が眠る市場とも言えそうだ。