楽天、2019年第1四半期決算発表 楽天経済圏の拡大と物流強化で今は守りの時

石郷“145”マナブ

 楽天株式会社(以下、楽天)は先ほど、2019年第1四半期決算説明会を開催した。まず2019年第1四半期の業績ハイライトは下記の通り。売上収益は前年同期比15.9%増、グローバル流通総額は前年同期比22.5%となった。国内EC流通総額は前年同期比13.3%増となった。Nona-Gaap 営業利益は前年同期比270%となった。

気になる国内EC流通総額だが・・・

 国内EC流通総額は8750億円で、前年同期比で見ると13.3%増で、国内EC四半期業績推移で見ると、売上収益に関しては1085億2800万円で14.7%増加、営業利益は137億9900万円で17.5%減少となった。この減少に関してのその内訳を見ていると、楽天市場や楽天トラベル、楽天GORAなどマーケットプレイスビジネスが成長したものの、ラクマ、楽天ビック、楽天西友ネットスーパーなどへの投資、物流関連にかけた投資や費用だとしている。

 これを見るに、ラクマ、楽天ビック、楽天西友ネットスーパーなどへの投資でも分かる通り、楽天としては楽天経済圏を確立させて、そこで回遊させて、そこで収益を高めていくと思われ、また楽天市場単体で見れば、「楽天エクスプレス」「楽天スーパーロジスティクス」などに関して積極的に投資している。

 思うに、物流環境を盤石にさせて、配送の質を統一化、向上を図ることで、それでお客様の利便性がアップし、楽天市場の利用回数を増加させる動きをさせつつ、そのお客様に対しては、この経済圏内におけるポイントの支給をしやすい環境を作り出すことで、より新規が入りやすく、また既存の掘り起こしを進めていく考えのようだ。

楽天のメンバーシップバリューが、Q1/19では4.7兆円と増加

楽天のメンバーシップバリューが、Q1/19では4.7兆円と増加

 なお、楽天経済圏に関して、お客様が複数のコンテンツをクロスユースさせてライフタイムバリューを高めていくその価値をメンバーシップバリューと称しているが、Q1/19では4.7兆円となり、前年同期比5.5%増加となっており、順調な様子。
 
 さらに今後の展望としては、地域戦略のメンバーシップを強化していくとしており、オフラインの場面でも積極的に、これらの経済圏のメリットが生まれるように仕向けていく。地域でしっかりそうしたことでのメリットなどを含めて伝える力を強化し、認知を上げていく。そのための地方自治体ごとの連携を進めているというわけだ。

 具体的には、各地方自治体ごと、カスタマイズされたもので、楽天サービスを包括的に提供していくとした。聞く限りにおいては、楽天経済圏をこれまで以上に地方に広げ、幅を広げていくとともにお客様の利便性を物流を中心に向上させて、楽天市場の店舗のメリットを提供していこうということのようだ。KDDIとの連携も含め、これまで以上にそれぞれの経済圏での争いが激化しそうに思う。

 ある意味、楽天が創業時代から全国の店舗に、ECの息吹を入れてきたことからすれば、各地方自治体との連携で楽天サービスを提供することで地方創生させ、また楽天の地方を含めた出店店舗にそのメリットが帰ってくるというのは彼ららしい地域の創生策かも知れない。まだ日が当たらぬ地方に光が当たる。また、新たに参入するモバイルを通しても、その地域にどう貢献できるのか、そこの視点から楽天らしさを歩んで欲しいとも思うのだ。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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