国内BtoC-EC市場は約18兆円へ 経産省が発表
経済産業省は、「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」を実施し、日本の電子商取引市場の実態及び日米中3か国間の越境電子商取引の市場動向について調査し取りまとめ、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。
調査概要「電子商取引に関する市場調査について」
同調査は、同省が電子商取引市場動向や利用者実態を調査したものであり、平成10年度から毎年実施し、今回で21回目となる。
日本国内のBtoC-EC、BtoB-EC、CtoC-ECの市場規模に加え、越境ECの消費者向け市場動向(日本、米国及び中国相互間)について、調査を実施している。
なお同調査におけるEC化率とは、全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合を指す。EC化率の算出対象は、BtoC-ECにおいては物販系分野とし、BtoB-ECにおいては業種分類上「その他」以外とされた業種としている。
BtoC-ECの市場規模は18兆円に成長
同省によれば、平成30年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、18.0兆円(前年16.5兆円、前年比8.96%増)に拡大している。また、平成30年の日本国内のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は344.2兆円(前年318.2兆円、前年比8.1%増)に拡大した。
さらにEC化率※1は、BtoC-ECで6.22%(前年比0.43ポイント増)、BtoB-ECで30.2%(前年比0.8ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展している。
ECは物販とサービスが成長市場
またBtoC-EC市場規模を分野別にみると、 対前年伸び率は物販系分野が8.12%(前年度:7.45%)、サービス系分野が11.59%(前年度:11.3%)となっており、これらの分野が成長市場であることがうかがえる。
リユースECは登場からわずか6年で巨大市場へ
近年、ECチャネルの一つとして個人間EC(CtoC-EC)が急速に拡大していることを踏まえ、平成28年から同省ではCtoC-EC市場規模推計を実施している。
CtoC-ECの類型の一つであるフリマアプリの市場規模は6,392億円(前年4,835億円、前年比32.2%増)に急増しており、フリマアプリが初めて登場した2012年から僅か6年で巨大市場が形成されたことになる。
米国からの購入は1兆7千億円規模へ
平成30年において、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加した。特に、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は1兆5,345億円(前年比18.2%増)、米国事業者からの越境EC購入額は1兆7,278億円(前年比18.5%増)であり、中国消費者による越境EC購入額の拡大が目立っている。
ECは引き続き成長軌道にある
調査結果にあるように、BtoC-ECの市場は18兆円規模に成長しており、ECは物販とサービスが成長市場となっている。またリユースECは登場からわずか6年で巨大市場へ急伸し、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加した。
まさにEC市場が国内外でも持続的に拡大している現状が明らかとなった形だ。世界市場は適温経済の先行き不透明感を指摘する専門家の声も大きいが、こうした数値を見る限り、ECは既存の取引や国境という枠を乗り越え、さらなる成長軌道にあると言えそうだ。