越境マーケティングのトレンドExpressが日本郵政キャピタルをリード投資家とした資金調達を実施 累計調達額は12.8億円となりさらなる世界展開に布石
中国を中心とする消費者ビッグデータをベースにクロスボーダー・マーケティング及び越境EC事業を行う株式会社トレンドExpress(東京都千代田区、代表取締役社長 濱野智成、以下:トレンドExpress)は、日本郵政キャピタルをリード投資家としたシリーズBラウンドの資金調達を実施することを公表した。
日本郵政グループとの連携で事業拡大を企図
同ラウンドでは日本郵政キャピタルの他、既存投資家である米系VCのDNX Venturesをはじめとした複数の投資家が資本参画するという。同社では今回の調達資金によって、より一層の事業成長につなげるべく、消費者ビッグデータをベースとした新規プロダクトの開発や人員強化、越境EC事業の加速、M&A等を推進して行き、さらには国内随一のリソースを保有する日本郵政グループとの事業連携を図り、事業拡大へとつなげて行くとしている。
資金調達の背景は次の通りだ。人口縮小社会に突入する日本企業は、外需を取り込むべく、より一層のグローバル展開が求められる。今回の資金調達により、近年急成長しているインバウンド消費市場や越境EC市場を日本企業が有効に取り込むこと、さらには直接海外に販路を拡大するサポート強化へとつなげることになる。
さらにトレンドExpressは「人と世界をつなぐ~データの可能性を追求し、グローバルビジネスに成功を~」をミッションに、この30年で世界での活躍が少なくなった日本企業が世界で勝つための支援を行うべく、事例の乏しい海外市場向け事業支援の先駆者として、市場拡大と業界牽引を図っていくことを表明している。
高成長が見込めるアジア諸国への進出を目指す
トレンドExpressは、2015年11月の設立以来、中国のSNSなどのクチコミビッグデータから抽出した消費者インサイト(潜在ニーズ)に基づく分析サービスやプロモーションサービスを通じて、ナショナルブランドを中心とした日本企業約300社の中国進出や中国でのマーケティング活動を支援してきた。
また2018年から、日本商品の"爆買いブーム”の火付け役と言われる日本在住中国人ソーシャルバイヤーをプラットフォーム化した越境ECサービス「越境EC X(クロス)」を立ち上げ、成長著しい約1兆6千億円の日本-中国間の越境EC市場に参入している。さらに、本年7月からは中国内陸部の小売企業と事業提携し、OMO(Online merged offline)市場へ参入。日本企業の中国事業支援のリーディングカンパニーとして、事業展開の幅を拡張している。
その上で同社は、国際機関OECD(経済協力開発機構)の発表するデータによれば、今後の世界に占める中間所得層の消費シェアは欧米からアジアにシフトしていき、中国やインドを中心とした“アジアの時代”に突入すると予想する。
同じ東アジアに位置し、世界で最も人口の多い巨大国である中国の消費を取り込むことは、日本企業にとって命題でありながら成功事例は多くない。トレンドExpressは、中国の消費者ビッグデータを有効に活用して、日本企業の中国事業展開を成功させることを皮切りに、高成長が見込める他のアジア諸国への進出支援事業にも参入を検討していく方針だという。
日本企業のグローバル展開は必至
今回の資金調達に際して各キーパーソンからは次のようなコメントが出されている。
前川 雅彦氏 日本郵政キャピタル株式会社 常務取締役 最高投資責任者
「トレンドExpress社は、今後日本が人口縮小の課題にさらされる中、中国を中心とするグローバルに日本企業が進出する際に欠かせない存在になることを使命に、業界トップの実績で事業成長しております。その成長性と日本郵政グループとの事業連携によるさらなる事業成長に期待して、投資決定を行いました。トレンドExpressの経営陣及び既存株主や新規で参画される投資家の皆さんと共に、トレンドExpressの企業価値の最大化を支援して参ります。」
倉林 陽氏 DNX Ventures Managing Director
「トレンドExpress社の強みであるビッグデータ分析技術を核とした中国市場向けマーケティングサービス事業は、Series A投資を実行した2年前から急拡大を続けています。今回のSeries Bで調達した資金を活用し、既存事業の更なる成長と、新規サービスのリリースを実現し、業界のリーダーとしての地位を確固たるものにして頂きたいと思います。」
濱野 智成氏 トレンドExpress 代表取締役社長
「このたびは、新たに強力な投資家の方々を迎え入れ、さらなる事業成長に向けた資金調達を行うに至りました。日本の人口縮小に伴う課題は、想像を超えるインパクトを与えると予測しており、外需を取り込むための日本企業のグローバル展開は必至の状況だと考えています。まだまだ成功モデルが少ない海外向けのマーケティングやコマース市場を切り拓き、業界のリーディングカンパニーとして日本企業が世界で勝てるための貢献に引き続き全力を尽くして参ります。」
新時代の日本市場全体の課題を前に、中国を中心にビッグデータを元にしたクロスボーダー・マーケティングで実績を積み重ねてきた同社は、アジアという有望なフィールドを前に今回の提携を通して新たなマイルストーンをその道筋に刻んで行くことになりそうだ。