低品質なコンテンツ上の広告は逆効果 IASがコンテンツの品質が広告認知に与える影響に関する調査レポートを公表
Integral Ad Science(本社:米国ニューヨーク、CEO:リサ・アッツシュナイダー / 日本オフィス:東京都千代田区、マネージングダイレクター:藤中太郎、以下 IAS)はWeb広告が表示されるコンテンツ環境が広告やブランドの認知に与える影響に関する調査レポートを公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。
調査概要
[調査名]
The Ripple Effect:波紋効果~コンテンツの品質が消費者の広告認知に与える影響に関する調査レポート
[調査期間]
2019年8月(詳細な日程は対象国によって異なる)
[対象者]
対象国の一般的な人口サンプルに基づき抽出した以下の対象者
[対象国]
アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、インドネシア、シンガポール
[対象者の属性]
年齢(18-24歳/25-34歳/35-44歳/45-54歳/55-64歳/65歳以上)
性別(男性/女性)
[サンプル数]
各国50名~
[調査方法]
オンラインアンケート調査
低品質なコンテンツ上の広告は逆効果
調査結果の概要は次の通りだ。
◆デジタル広告が表示されるコンテンツ品質がブランドに対するパーセプションに大きく影響
Web広告が高品質なコンテンツ環境で表示された場合と、低品質な環境で表示された場合では、ブランドに対するエンゲージメント意向に20ポイントの差があることが分かった。自分に関連のある広告が表示されることと、高品質なコンテンツで表示されることは、消費者にとって同じくらい重要であることがうかがえる。
◆低品質なコンテンツ環境に広告が表示されることはブランドパーセプションに非常にネガティブな影響がある
低品質なコンテンツに表示された広告を鬱陶しく感じると回答した消費者はおよそ9割に上った。それだけでなく、34%が好感度が下がる、65%がそのブランドの使用を取り止める可能性があると回答している。ネガティブな影響はけして小さくはないようだ。
◆消費者は広告がどこに表示されるかを管理する責任は広告主にあると考えている
デジタルマーケティングに携わる人なら、複雑な経路をたどって瞬時にリアルタイムで配信されているWeb広告がどんなコンテンツ環境に配信されるかを完全にコントロールすることが非常に難しいことを理解しているだろう。しかし消費者の考えはとてもシンプルなようだ。約7割の消費者が、広告がどんなコンテンツ環境に表示されるかを管理するのは、広告主の責任だと考えている。
まとめ
同社では調査結果を受けて次のように述べている。
「2019年7月に発表した『脳科学から見るブランド認知~広告閲覧環境にけるハロー効果とブランド好感度への影響に関する調査レポート~』では、スマートフォンでデジタル広告を含むコンテンツを閲覧した被験者の脳波等を測定することにより、広告が表示されるコンテンツ環境がブランドパーセプションを左右する鍵を握っていることが改めて浮き彫りになりました。
今回の調査では、コンテンツ環境の品質が表示される広告のブランドに対し、ポジティブな影響だけでなく非常にネガティブ影響力を持つことが分かりました。好感度が下がるだけでなく、そのブランドの使用を取り止めるといった消費者の行動にまで影響するという結果は、デジタルマーケティングに関わる全ての人にとって無視することのできないものです。ブランド棄損のリスクを回避するだけの『ブランドセーフティ』から、ブランドと消費者にマッチした環境でメッセージを届ける『ブランド適合性』へのシフトが求められます」
ECビジネスを成功に導く上でもデジタル広告の有効な活用は重要な要素を占める。一方で今回のレポートにあるように、その広告が表示される環境によっては、エンゲージメントやコンバージョンを向上させるどころか、むしろ大きな逆効果にもなり得ることが明らかとなった。同社も述べているように、これからは広告施策における「ブランド適合性」が注目されることにもなりそうだ。