顧客体験(CX)成功のカギとは?ガートナージャパンがCXの最新トレンドを明らかにするレポートを公表

ECのミカタ編集部

ガートナージャパン株式会社 (本社:東京都港区、以下「ガートナー」) は、国内においてカスタマー・エクスペリエンス (CX) に取り組んでいる企業についての調査を実施し、その結果を発表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

同社によればデジタルの普及と競争の激化により、多くの企業では新たな差別化要素を見いだすことが求められており、これに対処するための有望な選択肢として、CXおよびその管理手法であるカスタマー・エクスペリエンス管理 (CEM) への関心が高まっているという。それをふまえて、国内においてカスタマー・エクスペリエンス (CX) に取り組んでいる企業についての調査が実施された。

◆調査手法
同調査は、全国の従業員数20人以上の日本国内企業のITマネージャーを対象に2019年11月に実施された。図1の設問に対する有効回答企業数は426社、図2については207社だった。

「CXプロジェクトが進行中/稼働済み」は6.6%

図1

顧客関連テクノロジーやCXへの取り組み方法に関してガートナーに寄せられる問い合わせは、年々増加しているという。その上でガートナーが国内のユーザー企業に現在のCXの取り組み状況について尋ねたところ、「CXプロジェクトが進行中/稼働済み」と回答した企業の割合は、全体のわずか6.6%にすぎず、「検討中」を含めても、取り組んでいる企業の割合は全体の2割に満たない (17.4%) 結果となった。

一方、「CXを知らない/分からない」と回答した企業の割合は27.9%、「自社には必要ない」という企業も18.3%存在し、「必要だが未検討/(検討に入ったが) 進捗が遅い」と回答した企業36.4%も加えると、全体の8割以上 (82.6%) がCXに取り組んでいない結果となった。規模別に見ると、従業員数2,000人以上の企業では、取り組んでいる企業の割合は35.9%あり、全体の17.4%と比べて2倍だった。それでも、6割以上が取り組んでいないことになる。国内においてはCXの取り組みが依然として進んでいない現状が浮き彫りになったとしている。

遅れる日本企業のデジタル化

図2

日本企業は世界の企業と比べて新たな取り組みに遅れがちだ。世界のCIOを対象に実施した2020年のCIOアジェンダ・サーベイにおいても、日本企業は世界と比べてデジタル化の取り組みにおいて後れを取っているとの結果が出ている。

ガートナーは、2017年以降、国内のCXの取り組み状況について調査を実施していますが、「CXプロジェクトが進行中/稼働済み」と回答した企業の割合は5.4% (2017年)、4.2% (2018年)、6.6% (2019年) であり、あまり増えていないことが見て取れた。

権限のあるリーダーの存在が成功の鍵

今回の調査に際してアナリストでシニアディレクターの川辺謙介氏は次のように述べている。

「今回の調査結果には、企業がCX施策を積極的に推進できていない実態が反映されているとみています。CXがもたらすインパクトは、一般的には業種特性や競合状況に依存するのですが、今回は企業規模に着目したことで、大規模な企業ほどCXへの関心が高く、実際に取り組んでいる企業の割合も高いことが判明しました。しかし同時に、必要であることを認識しながらも取り組んでいない、あるいは取り組んでいたとしても進捗していないと回答した企業が多いことも明らかになりました。大規模な企業ほど組織構成が複雑で、多彩な商品/サービスを提供することが多いわけですが、そうであればなおのこと、テクノロジを活用して、全社にわたるCXガバナンスを強化し、各顧客接点における業務効率化や自動化を推進する必要があります。企業のCIOおよびアプリケーション・リーダーは、CXがもたらすビジネス・インパクトを念頭におき、適切なテクノロジの選定やベスト・プラクティスの提案などを通じてCX施策に貢献していくことが求められています。
(中略)
CX施策は社内の多くの部署を巻き込み、さまざまな顧客接点を改良するなど、多岐にわたるものです。また、顧客や競合の状況に応じて臨機応変な意思決定が求められるため、部門の垣根を越えてリーダーシップを発揮できる、権限のあるリーダーの存在が成功の鍵となります。今回の調査結果から分かるのは、日本企業においては営業担当役員がCXリーダーとして最適と考えられているケースが多いということです。しかし一方で、リーダーが不在、あるいは役員ではないといったケースも多くあり、そのような場合、CX施策が成功するか否かに大きな不安が残ると言えるでしょう」

同社はまた次のように述べている。

「CX自体は、企業が実装し運用すべきアプリケーションやその元となるテクノロジを指しているわけではなく、企業が顧客に何らかの働き掛けを行った結果、顧客が得る認識や関連する感情を通じて得られるビジネス上の付加価値を指します。よって、すべてのCXプロジェクトにテクノロジが必要とされているわけではないものの、ビジネスの差別化につながる顧客中心的なCX施策を推進するに当たって、デジタル・テクノロジの必要性が年々高まっている点は見逃せません。ガートナーでは、2022年までに、あらゆるCXプロジェクトの3分の2がITを活用すると予測しています。そのため、CIOとCXリーダー (CXを担当する役員) の関係はますます重要になっていくと考えられます」

EC市場においても言うまでもなくCXはビジネス成功に向けた重要な要素だ。CXに大きな予算や人的リソースをかけられる企業は絞られるだろうが、CX施策を遂行する場合、その成否は権限を持ったリーダーの存在という人的・組織的要素と的確なデジタル化が大きなカギとなってきそうだ。


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