自社ECの最新トレンドこれからを勝ち抜く自社EC戦略

ECのミカタ編集部

EC運営をする際に多くの企業はアマゾンや楽天市場のようなECモールへの出店と、自社独自のECサイトを作成します。その理由はそれぞれに強み・弱みがあり、両方をしっかり回すことで相互作用が生まれるからです。そのため、モール依存は危険といわれることもあります。また自社ECサイトを有効活用し、急成長を遂げるD2Cブランドも昨今大きな話題を集めています。自社ECに注力することがなぜ重要なのか、そのポイントを解説します。

自社ECサイトを注力する時代になる

ECで商品を販売するにあたり、方法は主に2つに分かれます。

1つはアマゾンや楽天、ヤフーなどが運営するECモールに出品・出店をすることです。集客力が既にあるプラットフォームのため、消費者からの知名度も抜群に高いです。本来リーチできない層にもアプローチできたりと、集客力の面で非常に大きな優位性があると言えます。多くの人がネットショップを始める時に選択するのもモールサービスです。その一方で、モールが決めている様々な制限に従う必要や、一定の手数料を支払う必要などがあります。

もう1つの方法が、自社のECサイトを作成し、運営することです。モールで我慢しなくてはいけないルールなどがなく、柔軟な運営・理想とするデザイン制作などが可能です。また利益率もモール販売に比べると改善されるケースが多いです。しかし、集客面ではモールには大きく劣ります。

そのため、EC運営においては特殊な例を除いて、モール・自社EC両方をうまく回し、互いの欠点を補完する必要があります。ここでは自社ECを運営するにあたり、メリットや、そもそもどのようなサービスを使えるのか、などを解説していきます。

自社ECのメリット運用しないともったいない理由

自社ECを活用すべき大きな理由の1つとして、利益率が挙げられます。モールで商品が売れるとその度に売上手数料が発生します。そのため、売れば売るほどコストも発生していることになるのです。しかし自社ECであれば手数料などは発生しないため、同じ商品が売れるなら自社ECで売れるのが理想なのです。

ECに限らず、小売においては売上も大事ですがそれ以上に重要なのは利益です。モール依存の店舗の中には売上が高いものの、利益率が悪いケースも少なくありません。そのため自社ECをうまく運用することは経営目線で見ても非常に重要です。

また自由度が高いことも理由の一つに挙げられるでしょう。ECモールで商品を販売する場合には、写真や送料、SNSなど様々なルールがあります。そのため、やりたい施策をやれない、急なルール変更に従わなければいけないなど、モールに対して柔軟な対応が求められます。そのため、モールだと写真加工に強みを持っている店舗では不利になってしまったり、訴求したいメッセージが届きにくいといった、自社が持っている本来のポテンシャルを活かしきれないという課題も発生します。

一方、自社ECであれば写真やメッセージ、サイトコンセプトなどが比較的自由に構築できるため、商品訴求やブランドの世界観を作りやすいのです。この後にも説明をしますが、D2Cブランドがモールよりも自社ECを中心とした商品展開を行なっているのは、上記の理由が大きく要因として挙げられます。

自社ECに注力すべき3つめの理由は、会員情報の取得です。モールでは自社商品を買ってくれた顧客の個人情報が取得できません。そのため、リピート客を醸成することが難しいのです。

例えば、メルマガなど追客の施策には限りがあります。追加で配信する場合は有料で配信枠を買う形になりますので、いくら反応が良くともその分費用が発生し、コストパフォーマンスは落ちます。その他にも、CRM・レコメンド・DMなど個人情報が取得できないことによって行えない施策が多々発生してしまうのです。

自社ECでは、個人情報の取得は会員登録の導線作りをしておけば難しいことではありません。しかし、実際に個人情報を活用したリピート施策は簡単ではありません。メルマガ配信をするだけであればモールより楽に行えるかもしれませんが、応用となるレコメンド施策やCRM戦略はデータ数ももちろん、質も非常に重要になります。データが多ければ多いほどより精密な施策が打てますが、中途半端な情報では費用ばかりかかってしまい、有効な施策になりにくいです。

このような時は新規集客の施策と、個人情報を活用したリピート向けの施策のバランスを調整してみるといいでしょう。

モールより多い選択肢自社規模に応じた構築が可能

自社ECを構築する際に、様々なECサイト構築システムを利用することになります。その種類は簡単EC、オープンソース、SaaS、パッケージ、定期通販専門など多種多様です。そのため自社との相性のいいドンピシャのシステムを導入すると、急激な成長をする企業も珍しくありません。

しかし、逆に数が多い分、相性のいいカートシステムがどこかわからず、なんとなく選定したシステムに後悔するといったケースも非常に多いのも事実です。自社の商材、行いたい戦略、自社をどこまで成長させていきたいと考えているのか、など様々な要素から最適な1社を見つけ出すのは簡単ではありません。

そこに労力を割かずに数百万〜数千万円を無駄にしてしまった企業もいるのです。簡単な図版を作成しましたが、選定される際はシステムを比較し、後悔ないよう商談を重ねることを心がけてください。

ECモールでは実現が難しい形態も自社サイトであれば実現が可能になる

先ほど、自社ECは自由度が高いことがメリットと記しましたが、それは外注や施策のみに留まらず、そもそもサービス提供方法から自由に構築できることが非常に大きな特徴になります。

例えば、サブスクリプションと言われる形態は月額制で毎月サービスを提供します。わかりやすいのがNetflixやアマゾンのプライム・ビデオなどに代表される動画配信サービスです。このビジネスモデルでは安定したビジネス展開を行えます。ECでもサブスクリプション形態をとる事業者は増えています。一度の契約で継続的な売上が見込めること、アップセルしやすいことなど、事業としての強みが多いことが人気の理由と言えるでしょう。

しかし、課題としてはECモールでの展開ができないことです。アマゾン、楽天、ヤフーはサブスクリプション形態を整えていません。そのため、事業者は自分でサブスクリプション展開できる自社サイトを構築する必要があります。他にもユニークなサイト構築をしているECサイトは数多くあります。

例えば、パーソナライズヘアケアブランドとして急成長しているMEDULLA。サブスクリプションモデルでの展開を行なっていますがそれ以上に特徴的なのが、サイトで髪のオンライン診断を行なっていることです。顧客が髪に関する質問を9つ答えた後、そこから導き出された最適な成分を配合したオリジナルシャンプーを購入することができる仕組みを構築しています。このような凝った施策はモールではできません。

自社ECの強みを、存分に活かした施策と言えます。他にもアクセサリーのチェーンや金具、石を自身の好みの通りにカスタマイズし、オリジナルのアクセサリーを作成できるARTIDA OUD、個々人の好みに合わせたおやつを毎月アップデートしつつ、お届けしているスナックミーなど、自社サイトでしかできないことを多種多様な展開で構築しているEC企業が近年目立ちます。

トレンドを超えビッグワードへ知らないでは済まされないD2C

ここ最近、界隈で注目されているD2Cという言葉。Direct to Consumerの略語です。消費者に直接商品を販売する形式のことを指し示す言葉で、今活躍しているD2Cブランドは商品を自社生産し、販売まで一気通貫して自社でサプライチェーンを構築しています。

その為、一度アマゾンや楽天市場を介して商品を販売する形態はD2C形態ではない、とも言えます。しかし、D2Cモデルの特徴は多岐に渡ります。そして研究者や有識者によって様々な定義がなされています。逆に言えば、何を満たせばD2Cブランドとするか、D2Cブランドとしないかによっては人によって考え方が分かれているのが現状です。

その中でも特徴的なことが、デジタル発のブランドであることです。従来、小売・ブランドは実店舗を構えることが一般的でした。しかし、ECの普及に伴いデジタル、つまりオンライン領域をスタートするブランドが多く現れるようになり、実店舗とは少し異なったブランド展開により急成長をしてきたのです。そのようなブランド達をD2Cと呼ぶことが多いです。

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