AWSを使ってECサイトを作りたい!メリットや注意点を紹介
ECサイトを運営する上で、さまざまなクラウドサービスが存在します。ビジネスを成功に導く上で欠かせないクラウドサービスですが、中でもAWS(Amazon Web Services)はメリットが多いと注目されています。一方、クラウドサービスを導入することで得られるメリットは多いものの、デメリットの存在や、導入する上での注意点なども気になるでしょう。ここでは、ECサイトの運営とAWSのメリットや注意点について説明します。
AWS(Amazon Web Services)とは?
AWS(Amazon Web Services)とはそもそもどういったサービスなのでしょうか。AWSを導入する前に、AWSの内容、さらにクラウドコンピューティングサービスについて知っておきましょう。
AWSとはAmazonのクラウドコンピューティングサービス
AWSとは、Amazon Web Servicesの略で、2006年7月から公開されているサービスです。Amazonという名が示すように、Amazonの子会社が提供するWEBサービスの総称で、世界で最も利用されているクラウドコンピューティングサービスと言っても過言ではありません。元々はAmazonのインフラを支えるために開発されたものでしたが、そのノウハウが他社にも公開され、今やクラウドコンピューティングサービスの代表格として存在感を放つまでに至っています。
では、そもそもAWSをはじめ、クラウドコンピューティングとはどういったものなのでしょうか。クラウドと短く呼ばれることの多いクラウドコンピューティングは、ECサイトなどを運営する上で不可欠なサーバーやデータベースといったITリソースを、インターネットを通じてオンデマンドで利用できるサービスを言います。ユーザーは自前でサーバーなどを持たなくても良く、必要な時に必要な分だけ利用できるのがクラウドの魅力でしょう。また、サーバーやデータベースといった基本的なインフラ環境の構築だけでなく、最先端のテクノロジーを活用した豊富な機能が利用できるのもクラウドの特徴です。AWSを始めとするクラウドコンピューティングを利用することで、利用者はサーバーやデータベース、セキュリティ対策などのインフラ構築に時間や手間をかけることなく、自社サービスにより集中できるようになるでしょう。
175以上のサービス
AWSでは、インターネット経由でAWSにアクセスすることで、さまざまなサービスを利用できるようになります。クラウドの基本的なサービスであるサーバーはもちろん、データベース、データの保存やバックアップ、さらには最新のテクノロジーなど、AWSが提供するサービスは175以上にも及びます。どんなサービスが提供されているのか、代表的なものを紹介しましょう。
仮想サーバー
まず、AWSの中でも最もメジャーなサービスである「Amazon EC2」です。Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)は、AWSが提供する「仮想サーバー」です。Amazon EC2を利用することで、仮想サーバーをすぐに実行できる環境を整えられます。さらに複数の仮想サーバーを立てられるのも特徴です。利用できるOSは、Linux、Windowsなどで、その他独自のOSをアップロードできます。AWSを用いれば、ECサイトを運営するにおいて不可欠なサーバーもすぐに用意できるでしょう。AWSクラウドに立てられた仮想サーバーは「Instance(インスタンス)」と呼ばれ、仮想サーバーを数える単位としても使用されます。
機械学習に関するサービス
次に紹介するのは、「機械学習」に適したサービスです。テクノロジーの進歩とともに、ビジネスにおいてもデジタル技術の必要性が増しています。そうした背景のもと、機械学習の重要性は増すばかりです。AIのしくみを知る上で欠かせない機械学習は、その名の通り機械(コンピュータ)がものごとを学習することを意味します。AWSではこれまでに培った機械学習に関するノウハウを元に、機械学習のサービスが多数提供されています。
AWSで提供されている機械学習のサービスの1つが、「SageMaker」です。機械学習を行う際、Jupyter notebookを使用するケースが多いですが、このJupyter notebookをAWS上の仮想サーバーで使用できるサービスがSageMakerです。加えてAWSオリジナルの機械学習に役立つ機能もSageMakerには付いています。AWSが提供するサービスを活用することで、ビジネスに機械学習を取り入れるのも容易になるでしょう。
IoTに関するサービス
最後に紹介するのが、「IoT」に関するサービスです。IoT(Internet of Things)は「モノのインターネット」と呼ばれ、モノがインターネットに接続され、通信機能を持つ仕組みのことです。かつてはインターネットに繋がっているデバイスと言えばコンピュータのみでしたが、現在ではスマートフォンを始め、テレビやオーディオ機器、冷蔵庫などの家電製品など、その裾野はますます広がりを見せています。
AWSには産業用や商用、コンシューマー用とそれぞれのニーズに合わせたIoTサービスが用意されています。サービス内容としては、デバイスを接続して操作するデバイスソフトウェアを始め、クラウドから通信・管理できるコントロールサービスも充実しており、手軽かつ安全に管理することが可能です。さらにIoTにより得られたデータを分析するサービスもあり、包括的なサービス内容が魅力でしょう。
AWSのメリット
豊富な機能と世界的な認知度の高いAWSは、非常に優れたサービスです。ここからはAWSを利用することで具体的にどういったメリットがあるのか、紹介していきましょう。
インフラ構築の手間とコストを省ける
AWSのサービスはすでに用意されているものを、こちらのニーズに合わせ選び取り、組み合わせて使用します。そのため、インフラを構築する手間やコストを削減できるというメリットが挙げられます。プラットフォームはすでに用意されているものを使用するため、オリジナルでイチから全て作り上げる必要がなく、スピード感を失わずにビジネスをスタートすることができるのは大きなポイントでしょう。さらに、初期費用は無料であることも大きなメリットです。コスト削減とスピード感を重視するビジネスにおいて、初期費用がかからないことは嬉しいポイントです。また、AWSはほとんどのサービスを1年間無料で利用できるため、気軽に試せるでしょう。
使った分だけお金を払えばいい
AWSは1年間は無料で利用できますが、その後はサービスに対して料金がかかります。この料金の計算は、使った分だけお金を支払う「従量課金型」です。サービス全体に対して料金を支払うわけではなく、自分が使った分だけを支払います。もちろん起動しない分のサーバー代はかからないため、余計なコストを抑えられることにも繋がります。無駄なく柔軟に事業を進めることが可能でしょう。
セキュリティのレベルが高い
クラウドコンピューティングサービスではサーバーやデータベースをクラウドで管理するため、セキュリティに不安を覚える人もいるでしょう。しかし、AWSはセキュリティレベルも高く、金融機関向けや医療機関向けなど、業界標準規格に準拠したコンプライアンスにも対応しています。クラウドセキュリティはAWSにおいて最優先事項とされ、重視されているのです。それは、AWSのセキュリティシステムが世界トップクラスの専門家が構築・運営していることからも明らかでしょう。また、サーバーなどを設置しているデータセンターは世界中にあり、それぞれが高い耐障害性を持っており、あらゆる観点から安全面において信頼が置けます。
続々と新しいサービスが登場!最先端技術を利用可能
AWSでは、ユーザーの要望を元に実装されたサービスが次々にリリースされています。新しいサービスは最先端のテクノロジーを活用したもので、リリースされた時点から全てのユーザーが利用できるようになっています。そのため、最新の技術を用いた新機能をいち早く実装することも可能です。AWSでは、豊富に用意されているサービスを好きなように組み合わせて利用できるため、どのようなニーズにも柔軟に対応できるのが魅力です。より高機能のものを、より手軽にスピーディに運用できることから、自社で新しく開発する手間やコストが省け、その分ビジネスに集中できるでしょう。
AWSのデメリット・注意点
メリットの多いAWSですが、デメリットも存在します。まず、料金が従量課金型であることです。従量課金であることは、無駄がなくメリットとも言えますが、その反面「どれくらい料金がかかるか読みづらい」というデメリットにも繋がります。システムの利用状況によって料金がどれくらいかかるか変わるためです。また、AWSの知識が必要であることもデメリットと言えるでしょう。AWSには特有の考え方や概念が存在します。それらを理解しなければ運用は難しいでしょう。また、サービスが次々に追加され、アップデートされるため、適切なものを常に選択し、最新情報についていく必要があります。
AWSでECサイトを始めるには?
AWSでECサイトを運用するには、ECサイト運営に必要な機能を備えたパッケージが必要です。AWSにはすでにECサイト運営用のアプリケーションが用意されています。「e コマースアプリケーション」がそれに当たります。AWS用のパッケージのため、運用だけでなくセキュリティやサポート面でも安心できるでしょう。他にも、「EC-CUBE on AWS」などのAWS用のECパッケージを載せることも可能ですが、AWSがアプリケーションとしてすでに用意している「e コマースアプリケーション」の利用を一度検討してみてはいかがでしょうか。
AWSでECサイトを始めよう!
AWSにはECサイトを始め、ビジネスにおけるさまざまな問題を解決してくれる機能が詰まっています。AWSを活用することで、ECビジネス開始のコストや手間を省けるようになるでしょう。また、常に新しい機能がリリースされるAWSであれば、最新のサービスを自由に使って運用することも実現できます。AWSにインフラ環境やセキュリティを任せることで、よりビジネスに集中でき、パフォーマンスが高められるでしょう。