【対策】ステルスマーケティングとは?定義や防止策まですべて教えます
「ステルスマーケティング」「ステマ」という言葉は、サクラ行為にあたるもので、SNSが普及した以降一気に広まったので、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。ステマに嫌悪感を抱いている人は多く、ブランド価値を下げるなどリスクがあるものの、気づかぬうちにステマの被害者・加害者になってしまうこともあります。そこでここでは、マーケティングをするうえで知っておきたいステマの基本情報と防止策を紹介します。
ステルスマーケティング(ステマ)とは
ステルスマーケティングは略して「ステマ」と呼ばれることも多く、これは、企業などがその身分や立場を隠して、消費者の商品に対するイメージを上げるような宣伝・プロモーションを行うことを言います。したがって、ステマは「やらせ」「サクラ」と同義と捉えて良いでしょう。ステマの方法は様々であり、昔からある方法だと、人を雇って店舗に長蛇の列を作るものが挙げられます。また、インターネットが普及した現在は、良い口コミを書いた人に報酬を支払うとして一般の消費者を装ってイメージアップの口コミを募ったり、芸能人が宣伝であることを明記せず、「この商品を使って10kg痩せました!」など商品を紹介して金銭を受け取ったりする方法も挙げられ、ステマの方法は多岐にわたると言えるでしょう。
ステマを行っている商品の中には、良い口コミばかりだけれども実際の効果とは違うというものもあります。このようなステマはモラルの観点から非難を受けることも多く、ステマをしているということがユーザーに知られてしまうとブランドの信用損失の可能性も高くなってしまいます。SNSが普及した現代では簡単にステマをしているという情報が拡散されるので、昔以上にステマには注意しなければいけません。
ステマがダメな理由は?
ステマがやってはいけない行為である理由は主に3つです。まず先ほど解説したように、ステマは嘘の情報を書き込むので、消費者を騙し、損させてしまうことになります。それにより、特に企業の規模が大きければ大きいほど、企業に対する信用も大きいことから、それを一気に損なうことに繋がってしまうでしょう。また、ステマを行った企業だけでなく、ステマに協力した企業や有名人の信頼も失う可能性が高いです。それに加え、ステマを行うと、業界全体にもステマに対する疑いの目が向けられるようになってしまうことも多いです。そうなると、業界そのものに対して消費者の不信感が募り、業界全体の売上低下に繋がってしまうこともあります。
現代ではSNSが普及したことで、ステマ疑惑がある企業の炎上が簡単に広がってしまいます。一度炎上が起こってしまうと、落ち着かせるのも難しいです。しかも、そこから新しい商品を開発した際に炎上したことを消費者に掘り返されてしまい、ステマによる炎上で反省して質の良い商品を開発したとしても、悪い口コミばかりが広がってしまうリスクも伴います。このようにステマは費用対効果が高いと言えるか不明であり、「ハイリスクローリターン」なものと言えるでしょう。
ステマと法律
アメリカやイギリスではステマが違法とされており、規制や取り締まりが行われています。それに対して日本ではステマに関して明確な基準が決まっていません。ただ、専門家の見解では法律違反という考え方で一致しています。具体的にステマが違反であるとされる法律には、景品表示法や不正競争防止法、医薬品・健康食品などに当てはまるものとしては、健康増進法・医薬品医療機器等法(旧薬事法)・医療法などが挙げられます。
不当景品類及び不当表示防止法には、「この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。」という記載があります。また、健康食品などでは、先ほど挙げた法律によって、「この商品には痩せられる効果がある!」と誰もが実感できる効果を広告に記載することは禁止されていますが、「ダイエット効果が期待できる」と濁せば法律には違反しないとされています。それに口コミも違反とされないので、このようなちょっとした抜け道がステマの原因と言えるでしょう。
過去にあったステマの事例
ステマでの炎上例はたくさん存在します。その中でも特に有名な事例を見てみましょう。まず世界的に話題となったのが世界最大のスーパーマーケットチェーンウォルマートのステマです。こちらでは、普通のカップルが書いた旅行ブログでウォルマートに訪れた感想を投稿していましたが、このブログが大手広告会社の社員が書いていたものと判明しました。このステマが行われた当時、ウォルマートの労働環境の悪さが問題となっており、イメージアップを目的として行われたと言われていますが、逆にイメージを下げてしまう結果となりました。
日本のステマの例だと、たくさんの芸能人を巻き込んだペニーオークション詐欺事件が有名です。この事件では、オークションサイト「ペニーオークション」を「高額な商品を安く購入できる」を売り文句にして運営していたものの、実態は入札される度に架空の自動入札が行われるように細工をしていたうえに、そもそも出品されているはずの商品すら存在していなかったというものでした。これによって関係者は逮捕され、ペニーオークションの運営会社だけでなく、紹介料を受け取ってステマに協力していた芸能人も炎上し、謝罪コメントを出したり、活動自粛をしたりすることとなってしまいました。
また、SNSを通した炎上だと、「アナと雪の女王2」も有名です。この事件では、7人の漫画家が一斉にアナ雪2の感想をPRであることを記載せずにTwitterに投稿したものの、同じハッシュタグかつ同じタイミングだったことからTwitterユーザーにステマではないかと指摘を受けたことをきっかけに炎上することとなります。この際、依頼元のウォルト・ディズニー・ジャパンが謝罪文を発表し、コミュニケーションが行き届かず抜け落ちてしまったと説明しました。ステマを行った広告代理店電通の担当者が、PRと記載する必要はないと説明していたことや、他のコンテンツでも同じステマ手法を取っていたことなどが後になって発覚し、炎上がさらに悪化する状況となってしまいました。
ステマを行わないために
故意的でなくても取引先との解釈違いでステマになってしまうこともあります。意図的なものでなくても炎上に繋がる可能性があることから、マーケティングを行うにあたってはステマ対策も重要です。そこで、ステマを防止するにはどんなことをすれば良いかを確認しましょう。まず、広告主・インフルエンサー・ユーザーの言葉の定義を理解し、特に広告主・インフルエンサーの関係性をはっきりさせましょう。そして金銭やものなどの報酬が発生しているかを確認し、万が一報酬が発生しているなら、ハッシュタグなどを利用して、PRであることを外部にわかるように明示します。基本的には「#PR」というハッシュタグが用いられることが多いです。
そして、ユーザーに対して発信する情報に嘘があってはいけません。万が一少しでも発信する情報に嘘があると、ユーザーはもちろん、非ユーザーとの信頼関係にもひびが入ってしまいます。必ず発信する情報は根拠に基づいたものにしましょう。
ステマに頼らない健全なマーケティングを!
この記事ではよく耳にするステルスマーケティングについて紹介しました。ステマは事例も多く、マーケティング方法としては珍しくはありませんが、ユーザーを騙す悪質なものであり、自社に関わった人に被害が及んだり、ユーザーとの信頼関係に傷が入ったりしてしまうため、絶対に行ってはいけません。ECのミカタではECサイト運営に役立つ情報を多数紹介しているので、様々なマーケティング手法を実践する際の参考にしてください。