「中国のコロナ終息後の各業界小売業の回復と消費者動向分析レポート」をエヌピーディー・ジャパンが公表

ECのミカタ編集部

外食・中食市場情報サービス『CREST(R)』、スポーツシューズ・アパレル市場情報サービス『Japan Sports Tracker』を提供するエヌピーディー・ジャパン株式会社(東京都港区、トーマス・リンチ代表)は、中国のコロナ終息後の各業界小売業の回復と消費者動向分析レポートを公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

消費者は支出を減らす傾向

消費者は支出を減らす傾向

中国の小売業が回復への道を歩み始めたとき、再開とリバウンドが完全に同義ではないことが明らかになりつつあるようだ。中国が再開段階に早い段階で開始したにもかかわらず、消費者は支出を増やそうとしていない。NPDが2020年5月に実施した消費者感情調査で、消費者がコロナ終息宣言後に、各業界の商品への支出を増やした(増やす予定)か、変わらないか、減らした(減らす予定)を調査した。

その結果、消費者の35%がアパレル製品への支出を減らした(減らす予定)で、支出を増やした(増やす予定)と回答したのはわずか19%だった。高級時計、高級革製品、宝飾品などの高額カテゴリーでは、半数以上の消費者が支出を減らした(減らす予定)と回答した。

ウィズコロナ時代のチャネルはオンラインへ

ウィズコロナ時代のチャネルはオンラインへ

消費者が支出に消極的であるため、営業再開したとしても、ブランドや小売業者は需要を刺激するために積極的な対策を講じる必要がありそうだ。新しい形式のデジタルエンゲージメントを活用し、プロモーションを発行し、COVID-19以降のコンシューマーのニーズを満たすために商品やサービス・コンテンツを工夫し、消費者との関わりを優先することが、国や地域にかかわらず、回復フェーズに重要な役割を果たしているとも言える。

中国でのCOVID-19危機の影響で、多くの業界で、消費者は支出をオンラインにシフトしたと回答した。例えば、化粧品では、消費者の58%がオンラインに移行したと回答している。eコマースショッピングを変革する1つの方法は、ライブストリーミングによるものだ。インフルエンサー、小売販売員、またはブランドアンバサダーが、さまざまな製品に関する質問をオンラインのリアルタイムで行っている。店舗が休業し始めると、ライブストリーミングが全国的に浸透した。消費者は期間限定で提供される特別なプレゼントや緊急性の高い取引を楽しんでおり主要ブランドが注目している。

ただし、すべての業界が同じスピード感でオンラインへシフトしているわけではないようだ。実際、同社が調査したすべての業界のうち、高級品については、コロナ後に支出をオンラインにシフトする比率が低く、逆にオフラインにシフトする可能性が最も高いという。 これは回復が進むにつれて、どの業界がオンライン競争に対してより回復力があるかを示唆しているとも言えそうだ。贅沢品の場合、将来のオフライン店舗での堅牢なエクスペリエンスに投資することの重要性を示しているかもしれない。近年では、中国からの旅行者向けにヨーロッパや北米での高級品の店内販売を強化していることを考えると、中国国内だけにとどまらない事象の可能性もある。

品質と健康が最優先事項に

品質と健康が最優先事項に

中国の消費者はCOVID-19期間の直後の余波で支出を削減しているが、ブランドと小売業者は長期的な見方をする必要がありそうだ。消費者は、景気動向を注視する中でさえ、価格を基準に購入を決定するのではなく、品質や健康を最も重要な要素とみなして購入を決定している。またCRESTによると、消費者が外食・中食時の店舗選択理由について、昨年と比較して、健康が最大の変動要因であったことがわかったとしている。

まとめ

このようにNPDが2020年5月に中国で実施した消費者感情調査で、消費者がコロナ終息宣言後に、各業界の商品への支出を増やした(増やす予定)か、変わらないか、減らした(減らす予定)が調査された。その結果、多くの製品カテゴリーで消費者が支出を減らす傾向があることが分かった。

調査に際して同社では次のように述べている。

「消費者が支出に消極的であるので、回復への道は単なる待っているだけのゲームではないことは明らかです。その代わりに、企業は業界の回復のための条件を積極的に作成する必要があります。 COVID-19以降の消費者は間違いなく変化しました。彼らのニーズを満たすためには、拡張されたデジタル機能を作成することが重要です。ライブストリーミングショーの場合のように、デジタルおよびソーシャルショッピングのトレンドを常に把握することです。デジタルおよびその他のプロモーション戦略に加えて、製品とコンテンツのイノベーションも重要です。世界中のブランドと小売業者は、経済が再開するときに回復を計画するために、これら中国からのインサイトを自社の市場にあてはめて考えてくことに意味があるでしょう」

消費市場におけるECシフトは、ことあるごとに指摘されてきた。それが新型コロナウイルスによる感染拡大の影響によって、結果として一気に加速している状況が見てとれる。もちろん業種や扱うアイテムの性質によって、その度合いは異なるが、ウィズコロナ時代におけるビジネス戦略としてEC化を筆頭としたデジタルシフトを進めることは、各事業体において引き続き喫緊の課題となりそうだ。

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