ShopifyがJCB・PayPayと連携 新機能も発表

ECのミカタ編集部

世界175か国で使われているECプラットフォーム「Shopify」を展開するShopify Japanは29日、Shopifyの決済サービス「Shopify ペイメント」に同日からJCBが対応すると発表した。またPayPay、Webコンビニ決済、Pay-easy決済も利用できるようになったと併せて発表。支払いの選択肢が増えたことで、消費者・EC事業者双方にとって大きな利便性向上につながりそうだ。

対応開始に合わせたキャンペーンも実施

JCBは日本発の国際カードブランドで、国内に1億人以上の会員がいる。またPayPayは3000万人以上の登録ユーザーを抱えており、国内の多くの利用者にとって、使いたい決済が存在しないストレスを軽減することができる。キャリア決済では、ソフトバンクまとめて支払い、ドコモ払い、auかんたん決済に対応する。

また、決済サービスを担うSBペイメントサービス株式会社(以下「SBPS」)は事業者向けの導入キャンペーンも実施する。今年12月25日までに専用フォームからPayPayやキャリア決済、クレジットカード決済のいずれかを初めて導入して「Shopify」を活用する事業者に対し、SBPS決済サービスの初期費用と月額費用を無料にする。さらに10月31日までにPayPayを申し込むと、決済手数料が通常3.5%のところ永年で2.99%になるという。

Shopify新機能 実店舗とネットショップを連携へ

POSサービスのShopify POSの日本でのサービスを正式に始める。アプリで実店舗やポップアップショップとネットショップを連携し、在庫や売上を一元管理できるようになる。商品検索、注文処理、支払い回収、レシート発行をモバイル機器で管理することができる。

さらに既存サイトからShopifyストアへ移行しやすくするサービスも始める。特にネットショップ作成サービス「BASE」を利用している事業者が既存のECサイトから商品情報を容易に移行できるツールを提供。「既存サイトでの売上向上に悩む事業者が、Shopifyに移行しマーケティング機能をフル活用することで更なる事業拡大を後押しする」としている。

「ZOZOTOWN」と自社ECサイトでの受注、在庫、出荷を一貫して管理することができる機能を追加した。複数の海外ドメインにも新たに対応し、地域や国ごとに複数のサブドメインを持つことができるようになる。越境販売を計画する事業者にとっては後押しとなりそうだ。

フリーランス向け人材育成プログラム EC構築ノウハウ提供

Shopify Japanは、クラウドソーシング仕事依頼サイト「ランサーズ」やフラクタと連携し、ランサーズに登録しているフリーランスに対し、教育プログラムの提供を始める。Shopifyを活用したECサイトの構築や導入支援、運用やアプリ開発ができる人材を育成するほか、一般社団法人ウェブ解析士協会と東京フリーランス合同会社とも連携し、Shopifyで学ぶEC講座を開設する。

講師は「EC業界のプロ」が務める。講座では座学や演習を通して学び、基礎編から実践編まで幅広く学べるコンテンツを展開する。

フラクタ 代表取締役の河野貴伸氏は「新型コロナウイルスの感染拡大を機にEコマースのニーズは急増していますが、リソース不足に悩む中小企業やスタートアップの事業者、特に地方企業においてはその状況が顕著」とし、「一方で、フリーランスのクリエイターもECの構築などに参入したいけどどうやって仕事を進めたら良いかわからない、技術的な観点だけでなく、ビジネス的な観点でも進め方について知りたい、というお声も届いていました」。

「一番不幸な状況は、マーチャントさんも、クリエイターの方も、お互いに大変な状況になってしまい、結果『ECなんて、こんな大変なこともう嫌だ」となってしまうこと」としつつ、「多くのフリーランスさんが安心してShopifyを使ったEC構築に専念できる状況を支援し、事業者さんにとっても今後のビジネスを支える根幹となるECが健全に構築できるように様々な情報を提供し、お互いに良好な関係を築けることを支援していきたいと考えています」とコメントしている。

河野貴伸氏note→https://note.com/kounotakanobu/n/n486547d84044

カントリー・マネージャー「小規模事業者を支援」

新機能発表のオンライン会見で、日本カントリー・マネージャーのマーク・ワング氏は「我々のミッションは小規模事業者が事業を立ち上げ、グローバルに活躍することを支援すること」と訴えた。Shopifyの導入で「小規模事業者が大手とも戦える環境になる」と語り、他社と比べた導入コストの低さなどを強調した。

Shopifyが日本語に対応したのが2018年。国内では、新規ストア開設の成長率が2019年上半期と20年同期で175%、2019年第一四半期と20年同期では事業者の売上が242%に達するなど急速に存在感を増している。

新サービスを一気に発表したり、別サービスからの「乗り換え」を勧めたりする姿勢は、日本市場でのプレゼンスをさらに高めようとする意図が見える。競合他社にとっては脅威だが、EC事業者にとっては利便性向上がさらに進むことになる。先進他国に劣る日本のEC業界の活性化が加速するか注目が集まる。

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