アリババグループが2020年7-9⽉期の決算を公表 売上⾼は前年⽐30%増の約2.4兆円を達成

ECのミカタ編集部

アリババグループ・ホールディング・リミテッド(以下「アリババ」「アリババグループ」「グループ」)は、2020年7-9⽉期(2021会計年度第2四半期または当期)の決算を発表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

コアコマースの売上は29%増の約2兆293億円に

当期は、中国⼩売事業をはじめとするコアコマース事業及びクラウドコンピューティング事業の売上が好調に推移したことで、グループ全体の売上⾼は前年同期⽐30%増の1,550.59億元(約2兆4,034億円)に達した。

コアコマース事業の売上⾼が前年同期⽐29%増の1,309.22億元(約2兆293億円)、中国⼩売事業の売上⾼が前年同期⽐26%増の954.70億元(約1兆4,798億円)、クラウドコンピューティング事業の売上⾼は前年同期⽐60%増の148.99億元(約2,309億円)となった。

2020年7-9⽉期ハイライト

2020年7-9⽉期ハイライト

•アリババグループ全体の売上⾼は前年⽐30%増の1,550.59億元(約2兆 4,034 億円)となった。

•中国⼩売市場における年間アクティブ・コンシューマー数は7.57億⼈に達し、2020年6⽉末時点より1,500 万⼈増加した。

•中国⼩売市場における⽉間モバイルアクティブユーザー数は8.81億⼈に達し、2020年6⽉末時点より700万⼈増加した。

•営業利益は136.34億元(約2,113億円)となった。

各事業のハイライト

天猫(Tモール)における現物商品の取引によるGMV(未払い注⽂を除く)は前年同期⽐ 21%増となった。これは主に⾷品・飲料、健康、美容・セルフケア分野の⼒強い牽引によるもので、FMCG(⼀般消費財)は当期においても天猫(Tモール)で最も成⻑が著しいカテゴリーとなっているとしている。このほか、天猫服飾の成⻑速度は新型コロナウイルス流⾏前の最⾼⽔準まで回復しているようだ。タオバオのオンラインにおける現物商品の取引による GMVは前年同期⽐ 10%以上の増加となった。

また輸⼊製品、新製品、パーソナライズ(個別最適化)された製品や限定製品に対する市場のニーズは⾼まり続けているという。越境ECプラットフォームの天猫国際(Tモール・グローバル)は、豊富で⾼品質な商品を提供することで新たな消費ニーズを満たすことに成功しているとしている。天猫国際のGMV(未払い注⽂を除く)は前年同期⽐37%増となった。2020年9⽉30⽇現在、同プラットフォーム上のブランド及びマーチャント数は前年⽐2桁の成⻑率で増加している。

ライブコマースサービスのタオバオライブは、マーチャント、ブランド、インフルエンサー(KOL)、ジュファサン(聚划算)を含むアリババ各サービスにとって、ユーザーとの双⽅向コミュニケーションを⾏うための重要なマーケティングツールと販売チャネルとなっているようだ。タオバオライブを通じて⾏われた GMV は 2020年9⽉末時点での年間 GMV3,500億元(約5兆4,250億円)を超えている。タオバオは 2020年9⽉からインターフェースを⼀新し、より没⼊感のあるユーザー体験を提供できるようしている。

例として、タオバオアプリのトップページではレコメンデーションフィードの範囲を拡張し、商品をよりダイナミックに表⽰しています。このような新たなインターフェースがユーザーエンゲージメントを⾼め、消費者の購買率向上につながると確信しているとしている。タオバオ特価版は、価格に敏感な消費者をターゲットとしており、新興地域での新たなユーザーと消費者を獲得するためのカギでもあるようだ。

当期は⼯業地帯で輸出製品を扱っている⼯場やBtoB向けECサイト1688.comのマーチャントを取り込むなどの⽅法で、商品供給の差別化とオリジナル製品を増やすことに注⼒した。タオバオ特価版は2020年3⽉に新バージョンをリリースして以来、⼒強い成⻑を遂げており、⽉間アクティブユーザー数は2020年9 ⽉現在7,000万⼈を突破している。同時に、タオバオとタオバオ特価版の両⽅を利⽤している消費者は、タオバオのみを使⽤する消費者よりも購⼊頻度や平均消費額の増加スピードが早くなっているという。

さらに2020年10⽉21⽇、同社は第12回天猫ダブルイレブンショッピングフェスティバルを開始した。25万以上のブランドが参加し、200万以上の新製品が登場する予定だという。例年とは異なり、今年は11⽉1⽇〜3 ⽇及び11⽉11⽇当⽇と販売期間を2回設けているため、消費者が⼈気の製品だけでなく、中⼩企業の製品を⽬にする機会も増たとしている。

また越境及びグローバル⼩売事業の売上⾼は前年同期⽐30%増の77.89億元(約 1,207億円)となった。Lazada(ラザダ、同社の東南アジアECプラットフォーム)はマーチャント数、コンシューマー数ともに持続的な⼒強い成⻑を⾒せているようだ。主に東南アジア市場のデジタル化が加速していることで恩恵を享受し、今期のLazadaプラットフォームにおける注⽂数は前年同期⽐100%増となった。

越境及びグローバル卸売業の売上⾼は前年同期⽐44%増の35.10億元(約 544 億円)だった。これは主に Alibaba.com(アリババドットコム)の有料会員増加と、越境サービスに関する付加価値サービスの売上増加によるものだとしている。

3つの⻑期的な成⻑エンジンにフォーカス

各キーパーソンからは次のようなコメントが出されている。

アリババグループ会⻑兼 CEO ダニエル・チャン(張勇)氏

「当期も素晴らしい業績となりました。新型コロナウイルス感染症の流⾏以来、当社は事業の回復に尽⼒し、デジタル化によって新たな成⻑のチャンスを模索してきました。お客様のための価値創造への継続的な注⼒は、コアコマース事業における着実なパフォーマンスやアリババクラウドの⼒強い成⻑の中に存分に反映されています。引き続き中国国内需要、クラウドコンピューティング及びビッグデータ、グローバル化という3つの⻑期的な成⻑エンジンにフォーカスすることで、常に変化する消費者のニーズを把握し、アリババのデジタルエコシステムにおける各ビジネスのデジタル化を加速させ、チャンスをより効果的に捉えていきます」

アリババグループ最⾼財務責任者(CFO)マギー・ウー(武衛)氏

「売上⾼は前年同期⽐30%増、調整後 EBITDAは28%増と、今期も堅調な成⻑を遂げた四半期でした。中国がポストコロナ時代に移⾏している中、消費者の購⼊頻度と平均消費⽀出増加に伴い、中国市場における当社のコアコマース事業も、安定した成⻑を続けています。同時に、中国の各業界がデジタル化を推進することにより、クラウドコンピューティングサービスによる売上⾼が前年同期⽐ 60%増となりました。戦略的投資によって経営効率が向上し、⼤きな効果を⽣み始めていることを⼤変嬉しく思います」

一早くコロナ禍を経験した中国市場。同国におけるEC需要は、落ち着きを見せつつある中においても堅調さを保っており、同社の好調な決算内容にも表れているようだ。徐々に世界がポストコロナ時代を見据える中で、3つの⻑期的な成⻑エンジンにフォーカスする同社の今後にも注目と言えるだろう。

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