ECサイト専門のコンサルティング会社について徹底解説
ECサイトの形態は、ECモールと自社サイトの2つに大きく分けられます。いろいろな違いはありますが、いずれにせよ専門知識にもとづいて適切に運営していくことが大事です。ECサイト専門のコンサルティング会社は多くのノウハウを持っており、依頼すると課題の解決や売上アップにつながる提案を受けられます。この記事では、ECサイト専門のコンサルティング会社について詳しく解説していきます。
ECサイト専門のコンサルティング会社とは?他と異なる点も押さえよう
コンサルティング会社の仕事は、クライアントが抱えている経営上の課題を客観的な立場から分析して解決に導くことです。EC事業者の代表的な課題としては、ECサイトのアクセス数が増えないことや売上の伸び悩みが挙げられます。ライバルのECサイトが多くて困っているケースや、外国から受注する方法が分からなくて困っているケースなども少なくありません。ECサイト専門のコンサルティング会社とは、このようなECモールや自社ECサイトの課題について、効果的に解決するためのアドバイスをする会社を指します。
他のコンサルティング会社と異なる点は、対象の事業領域をEC関連だけに絞って取り組んでいることです。基本的にコンサルティング会社には得意分野があり、クライアントにとっては依頼の際にそれを見極めることがポイントになります。依頼を受けたコンサルティング会社は、案件ごとにプロジェクトチームを組んで対応していくのが一般的です。プロジェクトチームには案件の分野に強い人材をそろえて早期の解決を図るのですが、そもそもコンサルティング会社の中に適任の人材が存在しない場合もあります。これは対象の事業領域を広く設定しているケースにありがちで、EC関連のように特殊なノウハウが必要な案件は対処できないことも多いので要注意です。
ECサイト専門のコンサルティング会社には、ECサイトの運営に精通した人材がそろっています。具体的には、大手ECモールのアドバイザーを務めていた人や有名なEC事業者のスタートアップを支援した人などです。そのような優れた実績にもとづいて、実情に合った的確な戦略を生み出せることが大きな強みとなっています。事業領域を絞って注力しているからこそ可能であり、初出店のサポートから老舗サイトのブランド力アップまで、対応する案件のバリエーションは豊富です。EC関連の課題にはさまざまな要因が絡んでいるため、ECシステムやECマーケティングをはじめとした多角的な視点でアプローチしていきます。
どのような種類があるのか?分類の観点をチェック!
一口にEC専門のコンサルティング会社といっても、いろいろな特徴を持つ会社が存在します。以下に挙げる4つの観点によって種類の分類が可能です。
ECモール専門かどうか
「Amazon」「楽天市場」のようなECモールを専門に取り扱っているコンサルティング会社もあります。ECモールへの出店は、自社でECサイトを立ち上げるわけではないため、ECビジネスとしてのハードルは高くありません。しかし、その分だけ専門知識を持ち合わせずに始めて困ってしまうケースがよくあります。このようなクライアントにも、ECモールの特性に合わせた集客方法や、ECモールが開催するイベントの活用方法などを細かく提案してくれることが特徴です。
自社EC専門かどうか
EC用の自社サイトを立ち上げるには時間や資金、ノウハウが必要になります。運営を始めてからも、自社の責任によって保守を続けなければなりません。それらのバックアップを得意とする自社EC専門のコンサルティング会社も存在します。たとえば、Webコンテンツの製作会社と提携しており、立ち上げの相談をすれば紹介してくれるところも多いです。また、ECサイトのトレンドは時代とともに変わるため、長期のコンサルティング契約を締結して、継続的にアップデートを支援していくケースもよく見られます。
ターゲットの年商規模
受注の目安として、EC事業者の年商を設定しているコンサルティング会社も少なくありません。年商1億円以上や年商1000万円以下というように区切っており、その範囲に該当する場合のみ引き受けて、規模に見合ったサポートを提供します。大手企業と個人店舗のEC事業などは、売上アップのような同じ目標であっても、達成するためのアプローチがまったく異なるからです。
扱う商材のカテゴリ
文房具や食料品、自動車など、ECサイトで扱う商材は多岐にわたります。今後も多様化していく一方であり、画一的なセールスの仕方だと最大の利益を得ることは容易ではありません。商材の特性を考慮しながら、適した方法でマーケティングをしていく必要があります。そのため、ECサイトの商材ごとに特化するコンサルティング会社も増えてきました。たとえば、住宅の分野に特化している場合、不動産業界の優れた情報網を持っているなどの特徴があります。
どのような料金体系になっているの?依頼する場合の費用!
EC専門のコンサルティング会社に依頼すると、その料金の分だけECサイトの運営にかかる費用は増えることになります。そのため、コンサルティングを受けるなら、支払いのルールやタイミングなどを把握しておくことが大事です。以下の3つが一般的な料金体系なので確認しておきましょう。
月額固定
1カ月の料金が定められており、契約から解約まで毎月その金額を支払っていく方式です。契約月と解約月に関しては、日割り計算して請求するコンサルティング会社もあります。定額の支出であるため、ECの事業計画を検討する際に予算を組みやすいです。一方、売上が少ない月でも料金が発生するため、ECサイトの集客にばらつきがある場合は、支払いが滞らないように注意しなければなりません。金額はコンサルティング会社や依頼の内容などによって異なりますが、10万円前後のところが多いです。また、クレーム発生のたびにアドバイスをするなど、手厚いサポートを提供している場合は、20万円以上であるケースも珍しくありません。
成果報酬
目標の達成時に料金を支払う方式で、目標として設定されるのはアクセス数や売上など客観的に判定できる数値です。売上が少ない月の出費を抑えられるため、成果が出るまでに時間がかかりそうな場合に向いています。ただし、目標達成時に一気に支払いが増える点に気を付けましょう。金額については具体的に決めておくケースもありますが、「売上の10%」のように割合を定めるケースが一般的となっています。成果の大きさを予想しにくい場合でも、実情に見合った金額になりやすいからです。なお、割合に関しても一律ではなく、売上が一定額以上になった場合に変動させるタイプの契約もあります。
月額固定+成果報酬
上記の2つを合わせた方式であり、月々の出費に加えて、目標達成の際にも支払わなければなりません。ただし、一般的に1カ月の料金は月額固定の方式より安く、目標達成時の料金も成果報酬の方式より安く設定されています。したがって、こちらの方式だからといって、トータルの金額が極端に高くなることは基本的にありません。
依頼するメリットとデメリットも知っておこう!
"コンサルティング会社の利用には、メリットだけでなくデメリットもあります。どちらも把握したうえで、依頼するかどうか判断しなければなりません。以下に代表的なメリットとデメリットを紹介します。
依頼するメリット
知識やスキルの不足をカバー
最も大きなメリットとして、自社が持ち合わせていない知識やスキルの活用が挙げられます。それらを学ぶことに時間をかけていたのでは、移り変わりの早いEC業界で取り残されてしまうリスクがあるのです。そのリスクはコンサルティング会社のノウハウによって払拭できますし、自社のケースに似たEC事業者の成功事例なども紹介してもらえます。これにより成功に向けて効率的なロードマップを描けるようになるでしょう。
複数のサイト運営に向けた施策
大きな利益をあげているEC事業者は、いくつものECサイトを運営しているのが一般的です。自社サイトを持っているだけでなく、いくつものECモールに出店しています。消費者ごとにネットショッピングの仕方が異なるため、できるだけ広く手がけていくことが大事です。コンサルティング会社は、先を見据えてECサイトを増やす事業展開も提案してくれます。障害となる課題があれば、それを分析して解決するための施策もアドバイスしてくれるのです。
依頼するデメリット
費用の発生が長期化
ECサイトの立ち上げを相談するだけの予定だけだったのに、その後の運営に関しても頼るようになるなど、コンサルティング会社との関係が長期化していくケースもあります。そうなると、当初の予算だけでは足りなくなることがあるので気を付けましょう。契約延長や再契約の可能性を見越したうえで、無理のない範囲で依頼することが重要です。
人材育成の機会損失
コンサルティング会社が有能であるほど、自社の人材が育ちにくくなるケースも見受けられます。提案どおりに実行することが多くなり、試行錯誤の機会が減ってしまうからです。契約終了の際に、ECサイトを運営するレベルが一気に下がりかねないリスクがあります。したがって、コンサルティング会社の提案に従うだけでなく、そのノウハウを吸収しようとする積極性も必要です。
必要な情報を把握したうえで依頼を検討!
ECサイト専門のコンサルティング会社は、EC事業者にとって頼もしい存在です。しかし、どのようなサービスを提供しているのか理解していないと、十分な恩恵は受けにくいので注意しましょう。種類や料金体系を知っておくことも大事ですし、メリットとデメリットの把握も欠かせません。そのような情報をチェックしたうえで、最適と思えるコンサルティング会社への依頼を検討しましょう。