経済産業省のEC市場調査、12年度国内BtoC・市場規模9兆5000億円

日本の消費者向けEC市場が依然、拡大を続けている。経済産業省が9月27日に公表した2012年度の電子商取引に関する市場調査によると、同年度における国内のBtoC―EC市場規模は9兆5130億円、前年比12・5%増と2桁の伸びを示した。全業種が前年を上回っており、特に小売分野では、衣料・アクセサリー小売事業が20%超の高伸。また、ECの浸透度合いを示すEC化率も3・1%と、前年比で0・3ポイント上昇した。BtoC―ECは、入小売やメーカーなど有力事業者の参入が続き、取り組みも強化の方向にあり、市場の成長は当面続きそうだ。

12年度の国内BtoC―EC市場の業種別状況としては、総合通販や百貨店、GMSなど「総合小売業」の売り上げ規模が最も大きく、1兆8910億円。前年比6・1%増と順調な伸びで、これに「自動車・パーツ、家具・家庭用品・電気製品小売業」の1兆4260億円(同14・4%増)、「食品小売業」の6050億円(同13・7%増)が続いた。

「総合小売業」では、総合通販事業者の間でネット経由の売り上げが拡大傾向にあり、特に衣料品では、気候などに応じ、よりタイムリーな情報提供や商品提案ができるECの取り組みを強化。さらに百貨店なGMSなど小売事業者の間でも、新たな販路としてEC部門の育成を進めていることも売り上げ規模の拡大を後押ししている。

「自動車・パーツ、家具・家庭用品、家電製品小売業」では、家電製品で、11年3月の家電エコポイントの終了、同年7月の地デジ完全移行に伴い、それまでの特需の反動で苦戦する傾向も見られたが、大手量販店を中心に売り上げ規模を拡大。「食品小売業」は、ネットスーパーの展開拡大などを背景に順調な伸びを見せた。

また、今回の調査で目立ったのは「衣料・アクセサリー小売業」の高伸。売り上げ規模は1750億円だが、前年比21・5%増と最も高い伸びで、同調査では「ゾゾタウン」など、ファッション系仮想モールの好調な推移、アパレルメーカーのネットを活用した販路拡大策の伸展などが高伸の要因と分析する。

このほかに、ドラッグストア等の「医薬化粧品小売業」が前年比19・3%増の5010億円、「スポーツ・本・音楽・玩具小売業」が同9・0%増の4000億円となっており、小売分野全業種で売り上げ規模が前年をクリア。サービス分野でも、「宿泊・旅行、飲食業」が同17・8%増の1兆4960億円、「娯楽業」が同12・2%増の1470億円だった。

国内のBtoB―ECも市場規模が拡大しており、12年度は同4・1%増の178兆円。EC化率は17・5%で、前年比1・4ポイントの上昇となった。

一方、同調査では、日米中の3カ国における消費者の越境ECの利用状況についても調べている。それによると、日本消費者の米中越境ECの購入額は155億円(米国150億円、中国5億円)、米国消費者の日中越境EC購入額は757億円(日本385億円、中国372億円)、中国消費者の日米越境EC購入金額が2868億円(日本1199億円、米国1669億円)。中国消費者の購入金額が突出しているが、商品の品質やブランドを求め、越境ECを利用しているためのようだ。

12年度における日米中間の越境EC市場規模は3780億円(3カ国消費者の越境EC購入金額の合計)だが、同調査では、2020年に最大で2兆3000億円にまで拡大する可能性があると予測する。