インターブランドジャパンがブランド価値ランキング「Best Japan Brands 2021」を発表

ECのミカタ編集部

日本最大のブランディング会社、株式会社インターブランドジャパン(本社:東京都渋谷区、代表:並木将仁)は、ブランドの持つ価値を金額換算する独自のブランド価値評価(Brand Valuation™️)手法を用いて、日本発のブランドを対象としたブランド価値ランキング「Best Japan Brands 2021」を発表した。

日本ブランド全体の対前年成長率は−3.9%

新型コロナウイルス感染症拡大によるパンデミックは、世界中の人々に大きな影響を与え、社会環境は変化を続けている。顧客自体の価値軸が大きく変容する時代を迎え、ブランディングやビジネスそのものが変容する時代を迎え、ターニングポイントと言える。

「Best Japan Brands 2021」にランクインした全100ブランドの対前年成長率は−3.9%となった。2020年の秋に発表したグローバルブランド・ランキングBest Global Brands2020が全体で+9%成長したことと比較して、対照的な結果と言える。ランクインした100ブランドのうち47ブランドが価値を減少させる結果となり、初めて全ての自動車ブランドがマイナス成長となるなど、コロナ禍の影響が明らかとなった。一方で「パーソナルケア」や「リテール」などの業種では、同カテゴリー内のブランド間で結果が分かれた。

前年比ブランド価値成長率Top10

■WORKMAN(78位、前年比+57%)
「高機能で低価格なプロ向けの作業着」というブランドのDNAを基盤に、アウトドアやアスリージャーファッションを楽しむ人々にターゲットを拡大するというWORKMANにしか出来ない独自のブランドポジョンを確立。インフルエンサーではなく、WORKMANの熱いファンであるブロガーと「製品開発アンバサダー」として契約、共創することで顧客視点のユニークな商品を開発。

■NItori(69位、前年比+39%)
事業会社とニトリホールディングスの社長の兼務を解消し、各課題における専任役員を定め、意思決定のスピードと制度を高める組織体制を構築。商品企画から、製造、物流、販売まで自社でプロデュースすることで顧客ニーズに合った商品をスピーディーに開発。海外市場においても現地の環境や市場ニーズを踏まえ、「お、ねだん以上。」の魅力の実現を図る。

■Fujifilm(38位、前年比+21%)
フィルム事業で培った技術を基盤に、ヘルスケア、記録メディア、光学・電子映像、イメージング領域へと展開。新型コロナウイルス感染症に対する効果が期待されている「アビガン錠」の増産体制をスピーディーに構築したほか、AI技術を用いた新型コロナウイルス肺炎の診断技術開発を開始するなど社会課題に迅速に対応。

■Rakuten(15位、前年比+20%)
楽天会員を中心としたメンバーシップを軸に、他にはない独自の「楽天エコシステム」を形成。楽天モバイルの完全仮想化ネットワークやECコマースに新たな可能性をもたらすShopifyとの提携、SDGsに貢献するECモール、新型コロナ検査キットの販売、楽天メディカルなど時代の一歩先のニーズを捉えながら革新的な事業に挑戦。

■BANDAI NAMCO(55位、前年比+19%)
中期計画として掲げている「IP戦略軸」の実現に向けて、社内外公募システムを活用し、従業員や顧客を巻き込んだ取り組みを積極的に展開。体験型エンターテインメント施設や、ゲームの期間限定無償展開など、様々な施策を展開。

■Ajinomoto(43位、前年比+19%)
2030年ビジョン「食と健康の課題解決企業」実現のためにあらゆる経営資源を集中し、「コーポレートブランド価値」「従業員エンゲージメント」「時価総額」を高めることで企業価値向上を目指す。食の情報サイト「AJINOMOTO PARK」をレシピサイトから食の体験提供の場へリニューアルするなど、顧客とのエンゲージメントを深める施策を展開。

■Mercari(94位、前年比+19%)
誰もが安心して参加できるマーケットプレイスを創るため「安全であること」「信頼できること」「人道的であること」の3つを柱に「マーケットプレイスの基本原則」を策定し、信頼性の向上に努める。新宿マルイ本館に初となる旗艦店「メルカリステーション」をオープンするなど、様々な独自サービスを展開。

■Daikin(26位、前年比+18%)
コロナ禍で「空気で答えを出す会社」として、各種メディアで迅速かつ継続的にメッセージを展開した結果、「換気ならダイキン」というポジションを獲得。「空気と環境の新しい価値を創るグローバル企業」を目指す。

■Lion(86位、前年比+18%)
「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニー」として健康、快適、清潔、衛生を通じた新たな顧客体験価値の創造により、「心と身体のヘルスケア」の実現に取り組む。コロナ禍では「キレイキレイ」を「手洗いブランド」から「衛生ブランド」へ進化させ、「日本国民に選ばれる清潔衛生の絶対的ブランド」を目指す。

新たにランキング入りしたブランド

■FANCL(97位)
「正義感を持って、世の中の「不」を解消しよう」という創業理念のもと、「独自の商品価値」と「お客様との信頼・絆の強さ」を重視。一方的な発信ではなく、お客様同士の情報交換も自然にできるコミュニティを展開。2020年8月にはFANCLブランドの旗艦店「ファンケル銀座スクエア」を刷新し、「美も、健康も、新しい体験。」をテーマにグランドオープン。「顧客体験価値ランキング2020」においても2年連続で20位圏内へのランクインを果たすなど、顧客体験価値につながるブランド体験提供を強化。

■Rinnai(99位)
2020年に創業100周年を迎え、グローバルブランドとしての価値向上を目指し、ブランドイメージの強化、ビジュアルの統制、リンナイブランドの社内浸透・社外展開を実行し、選ばれるブランドになるためのブランディング推進も中期経営計画の重要テーマとして掲げる。

■MORINAGA(100位)
「おいしく、たのしく、すこやかに」をビジョンに、世界の人々の豊かで安全な食生活の実現と健康の増進に貢献するため、感動と価値のある商品・サービス・情報を提供することをミッションとしている。

ブランドに求められているものとは

社会の情報化やデジタル化が進み、顧客は自分たちの価値観に照らし合わせて「良いもの」を見定める洞察力と発信力を持つようになっている。そんな中、強いブランドに求められる要件は下記3点であると考察されている。

1、Leadership  :強く対応力のあるブランドを構築する
2、Engagement :企業と顧客との相互の関係を形作る
3、Relevance   :顧客との絆を強化しロイヤリティを生み出す

評価について

■評価対象基準
グローバルに展開される日本発のブランドを対象に、「世界共通の尺度」でそのポジョンを相対比較することを目的に以下の基準を満たすブランドを抽出し、評価。

・日本の企業によって生み出されたコーポレートおよび事業ブランドであること
・2020年10月30日時点で上場しており、アナリストによる業績予測が入手可能な企業であること
・「Best Japan Brands 2020」ランクインブランドは2020年度のブランド価値を適用
・日本で一般に認知されていること

■評価手法
1、「財務分析」企業が生み出す利益の将来予測を行う
2、「ブランドの役割分析」利益のうち、ブランドの貢献分を抽出
3、「ブランド強度分析」ブランドによる利益の将来の確実性を評価

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