[doda調査]アパレル業界のECスタッフ求人数が過去最高 職種によって大きな濃淡も

ECのミカタ編集部

転職サービス「doda(デューダ)」などを提供するパーソルキャリア株式会社が運営する、アパレル・ファッション業界専門の転職支援サービス「クリーデンス」は、アパレル・ファッション業界の最新版「業界動向」を公表した。なお2019年6月〜2021年2月までに「クリーデンス」が受領した求人データをもとに算出されている。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

<求人数の推移全体>業界全体の求人数は横ばい

<求人数の推移全体>業界全体の求人数は横ばい

求人数の推移を見ると2020年6月を境に回復傾向にあった求人数は、2021年に入り、横ばいになっている。新型コロナウイルスの影響下において、注力すべき取り組みが各社で明確になってきたため、今まで控えていた契約社員の採用を職種によって再開させる企業が増加した。

そのため契約社員の求人数は前期の67.9%から13.3ポイント上昇した。職種ごとに増減の変化はあるものの、1月の緊急事態宣言発令においては、採用活動への影響はほとんど見られなかった。

<デザイナー>正社員・契約社員の求人数は減少

<デザイナー>正社員・契約社員の求人数は減少

2020年9月~11月期で急増した「デザイナー」の求人数は、採用活動がひと段落した企業が増えたため、減少した。最近では、「デザイナー」を業務委託で採用する企業が増加している。その背景には、他社の商品を製造するOEM企業や商社がコロナ禍での販路拡大に注力し、それにともなうデザイナー需要の高まりがあるようだ。

また、より顧客目線に立った商品をデザインするため、内製だけでなく、外部の人材登用に力を入れているメーカーが増えていることも要因になっている。この動きは今後も続くため、直接雇用の求人数は横ばい、もしくは微増に留まり、業務委託の求人数が増加することも考えられる。

<パタンナー>外部委託が多く、求人数の回復は見受けられず

<パタンナー>外部委託が多く、求人数の回復は見受けられず

デザイナーが制作したデザイン画を型におこす「パタンナー」の求人数は、昨年大幅に減少。2021年に入ってもその動きに変化はなく、2019年9月~11月と比較をしても、未だ半数以下に留まっている。その要因としては、以前から続いているパタンナー業務を海外へ外注する流れが続き、企業の採用意欲が低下傾向にあることがあげられるとしている。

また、企業が求めるパタンナー像も変化してきている。従来は、スキルと経験を持つ人材の採用意向が高かったのに対し、現在は組織の若返りを図るため、若手を求める声が高まっている。それに加え、”3Dモデリング”などの新しい技術によるパタンナーの仕事の需要が増えていくことが見込まれるため、今後はテクノロジーを掛け合わせた新しい求人が増加すると考えられそうだ。

<生産管理>余剰在庫の削減を企図する企業が増加、求人数も上昇傾向に

<生産管理>余剰在庫の削減を企図する企業が増加、求人数も上昇傾向に

「生産管理」の求人数は、引き続き高い水準を保っている。業績をプラスに転じさせるには、余剰在庫の削減、生産コストの見直しを行う生産管理が重要なカギを担っている。

そのため、即戦力となる人材を求める企業が多く、採用ニーズが高まっている。さらに、海外から素材の調達を行う企業や、生産工場を海外に構える企業が多いため、最近では外国語のスキルを持つ人材のニーズも高まっている。

また、2021年に入ってからは、即戦力となる正社員を求めるだけでなく、そういった社員のアシスタントを行う若手人材の契約社員採用も活発化している。そのため、契約社員の求人数は前期比+35.9ポイントと大きく増加した。

<MD・バイヤー>求人数は微減の一方、ECに関わるニーズは上昇

<MD・バイヤー>求人数は微減の一方、ECに関わるニーズは上昇

特に海外渡航が難しい昨今にあっては、「バイヤー」の求人は微減傾向にある。一方、「MD」のニーズは、引き続き高いものの、求められるMD像は変化している。これまでのMDは、売れる商品をつくるための市場予測や商品開発、適切な販売予測を立て商品の製造量を決めるなど、モノづくりに関わる知識やスキルを持つ人材が求められる傾向にあった。

しかし、コロナ禍においては、ECでいかに売上基盤をつくれるかが重要視されるようになり、顧客や販売データの分析、ECサイトのアクセス解析を行う数値分析やデジタルスキルに長けている人材のニーズが顕著に高まっている。この動きは今後ますます加速していくと考えられ、「MD」採用においては、デジタルに関する知識が求められそうだ。

<プレス・販売促進>EC基盤が整い、契約社員採用を再開する企業が増加

<プレス・販売促進>EC基盤が整い、契約社員採用を再開する企業が増加

「プレス・販売促進」の求人数は、正社員は微減したものの、契約社員が増加したため、結果、前期と比較して+25.3ポイントと大幅に増加した。デジタルマーケティングやECに特化した販売促進を担うポジションでの採用需要は引き続き高い状況にある。

また、ECでの売上が好調に推移し、業績が回復している企業では、EC基盤の拡充に注力することで、さらなる売上向上を目指す動きをみせている。そのため、即戦力となる正社員の採用だけでなく、ECサイトのプロモーションを強化するアシスタントや、ECで購入した顧客に対してカスタマーサービスを行うスタッフを契約社員で募集するようになった。その結果、契約社員の求人数は前期比で+121.5ポイントと大幅に上昇している。

<営業>OEM企業や化粧品メーカーは販路拡大のため採用強化

<営業>OEM企業や化粧品メーカーは販路拡大のため採用強化

「営業」の求人数は前期とほぼ同様に高い水準を保っている。特に採用が活発なのがOEM企業と化粧品を扱う企業だ。OEM企業は、アパレルメーカーやセレクトショップだけでなく、D2C企業などへ販路を拡大するための営業職へのニーズが高まった。

また、コロナ禍で“おうち時間”が増えたことによりスキンケアなどの需要が高まった。それにより業績が好調に推移している化粧品メーカーは、アパレルショップで製品を取り扱ってもらうなど、自社以外の販路拡大に注力する傾向にあることから、営業職を求める声が強まっている。

さらに、今までは業界経験者を求める化粧品メーカーが多かったのに対し、最近では販路の広がりにともない、アパレルメーカーでの経験を求める企業も増加し、異業種からの転職が叶いやすくなっている。

<店長・販売>求人が鈍いなか、オフプライスやコスメ企業は採用強化

<店長・販売>求人が鈍いなか、オフプライスやコスメ企業は採用強化

「店長・販売」の求人数は、2020年4月以降停滞した状態が続いている。1回目の緊急事態宣言を境に採用活動を停止し、現在もその状況が続いていることが顕著に表れている。一方で、根強いファンを持つラグジュアリーブランドやコロナ禍においてニーズが高まったオフプライスやリユースを取り扱う企業、およびアパレルメーカーが立ち上げたコスメブランドにおける採用は増加傾向にある。

また、化粧品を扱う企業は製品需要が堅調に高まりつつも、従来の接客が出来ない状態が続いている。そこで、より洗練されたスキルを持つ販売員を採用し、販売力を強化しようとする動きが出てきている。さらに、オフプライスや化粧品の領域では、今後も店舗出店の動きが加速すると考えられるため、求人数は緩やかに回復すると見込まれる。

<EC・通販関連>ECに関わる求人は過去最高の求人数に

<EC・通販関連>ECに関わる求人は過去最高の求人数に

「EC・通販関連」の採用ニーズは依然として高く、求人数は前期より12.3ポイント増加し過去最高となった。今までは、自社のEC基盤を固めるために即戦力となるハイクラス人材を求める企業がほとんどだったが、現在は、育成を見越して、未経験でも挑戦できる求人も増加しており、求人は二極化傾向にある。

また、アパレル業界では、Webやデジタルに精通するスキルを持つ人材が少ないため、「EC・通販関連」は、唯一求人数が転職希望者数を上回った。しかし、アパレル業界は他の業界よりも年収が低い傾向にあるため、人事制度や条件などを見直し、自社のニーズに合う人材をいかにスピーディーに採用できるかが、今後業界にとって重要な課題となりそうだ。

<人事・総務・経理・財務>専門人材を求める企業が増加

<人事・総務・経理・財務>専門人材を求める企業が増加

企業の根幹を担う「人事・総務・経理・財務」の求人数は、他の職種と比較して新型コロナウイルスの影響による落ち込みはなかった。さらに2020年9月以降求人数が大きく伸び、2020年12月~2月期では前年の2倍以上の求人数になっている。

その背景には、この1年で財務状況が激変し、資金調達の重要性やコスト削減のためにコスト管理の必要性が以前にも増し、財務の専門人材を求める企業が増加していることがあるようだ。

また、新たにSNSやオンラインツールを活用した接客に取り組む企業が増えたため販売員の評価制度の見直しをはかる企業が多く、人事の求人も増加した。今後も管理部門を強化させる企業は多く、求人数は増加しそうだ。

職種によって求人状況に大きな濃淡

調査結果にあるように、業界全体の求人数は、1月の緊急事態宣言の影響はほぼ受けず、横ばいで、求人数は、前年同期比で正社員97.2%、契約社員62.2%、全体で87.4%と回復傾向にあった。

また「EC・通販関連」の求人数(クリーデンス調べ)は過去最高に。即戦力採用に加え、未経験者の採用も増加し、・人事・総務・財務・経理の求人は前年比220%に増加していた。

調査に際して同社では次のように述べている。

「業界の求人数は前年同期比で、正社員が97.2%、契約社員が62.2%、全体で87.4%へと回復。特に正社員の求人は新型コロナウイルス流行以前の数値にまで戻りつつあります。前年よりも求人数が増加した職種は、『生産管理』『プレス・販売促進』『EC・通販関連』『人事・総務・経理・財務』でした。これには、業界全体のデジタル化やEC化、余剰在庫を生まないための生産管理など、長年抱えてきた業界の課題を、コロナを契機に解消しようとする流れが生まれてきたことが要因にあげられます。一方、『店長・販売』は前年同期比で50%を下回り、海外の工場への外注が進む『パタンナー』とともに依然として厳しい状況が続いています」

このように、従来から激しい競争にさらされているアパレル・ファッション業界だが、新型コロナウイルスによる感染拡大の影響によって、そのビジネス基盤の構造変化が加速しているようだ。職種によって大きく求人ニーズに濃淡があるものの、そうした構造変化を迫られる中でEC関連職種の求人が過去最高となっている。今後もデジタル化が求められる中で、こうした傾向も続きそうだ。

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