サムライインキュベート、イスラエルスタートアップ「FUGU」へ出資 EC事業者に正確なリスク分析と決済後プロセスの自動化ができるSaaSを提供
創業期のスタートアップから出資・インキュベーションを行う株式会社サムライインキュベートは、運営する「Samurai Incubate Fund6号投資事業有限責任組合」より、イスラエルに本拠を置くFugu Risk Ltd.への出資を決定したと発表した。同社は今後もイスラエルのスタートアップ支援を継続していくという。
サムライインキュベート、「FUGU」へ出資
創業期のスタートアップから出資・インキュベーションを行う株式会社サムライインキュベート(本社:東京都港区、代表取締役:榊原 健太郎、以下「サムライインキュベート」)は、運営する「Samurai Incubate Fund6号投資事業有限責任組合」(以下「サムライ6号ファンド」)より、Fugu Risk Ltd.(本社:イスラエル・テルアビブ、CEO:Amir Meir Sadras、以下「FUGU」)へ出資・成長支援することを決定した。
イスラエルのスタートアップ「FUGU」
FUGUは、EC事業者向けに購入後に購入者の信用調査を行うことで正確なリスク分析ができ、また購入者の情報を自動管理することでクレーム対応などのプロセスを自動化することができるSaaSを提供するイスラエルのスタートアップだ。
昨今の新型コロナウイルスの影響やD2C(Direct to Consumer)の拡大により、EC市場は年々成長している一方、様々な課題も顕著になってきている。
例えば、自前のブランドを運営する個人事業主や中小企業では、全ての取引対応においてマニュアル作業で行いながら配送にかかるオペレーションやロイヤルティーフィーを減らす努力を地道に続けているため、非効率であるケースが多く存在する。
また、決済時に本当は支払い能力がある顧客にもかかわらず、リスク分析が不十分なために不要に排除しているケースが取引全体の2.5%程度あると言われている。
FUGUが提供する「FUGU」は、返品やクレーム対応などのエビデンス収集を自動で行い、作業効率化を支援するだけではなく、POS(Point of Sale)時点での情報を基に支払い能力を推測するサービスと比べ、購入者の決済後のアクションなどをトラッキングすることでより正確なリスク分析をすることができるサービスだ。
基本無料で提供する「フリーミアムプラン」を用意しているほか、ECプラットフォームの「Shopify」「Magento」「Wix」との統合も完了しており、現時点でのべ140万以上の事業者が簡単にセルフオンボーディングできる設計を実現している。
イスラエルの家電量販店ELIASと実施したPoC(実証実験)では、月間売上が4.3%増加する結果となり、本契約締結(有料顧客化)している。
今後FUGUでは、2021年末までに更なるECプラットフォーマーとの統合を進め、のべ560万以上の事業者にリーチできるようにすることで、タッチポイントを拡大していく構えだ。
FUGUのCEO、Amir Meir Sadras氏は次のように述べる。
「FUGUは、決済後にお客様から自発的に開示された情報を利用して、決済前に断られたり、放棄されたりしている取引を改善することができる、EC市場をディスラプトするサービスです。
グローバルなEC企業による競争の激化は、オンライン決済の世界を大きく変えようとしています。FUGUは、決済後の消費者の行動を追跡する初めてのサービスであり、支払いのライフタイムを通じて継続的なリスク分析を提供します。
サムライとの提携は、イスラエルや米国以外の地域への進出を支援してくれるユニークな機会です。また、私たちの価値観を信じ、私たちの長期的な目標を共有してくれる投資家と一緒に働けることに感謝し、共に仕事ができることを楽しみにしています。」
イスラエルのスタートアップを継続支援
サムライインキュベートは、2014年にイスラエルへ進出してから継続してイスラエルスタートアップの支援を行っている。
また、2030年に向けて10年かけて実現を目指す「SAMURAI VISION 2030」の一つとして、日本と組みたい起業家支援を掲げており、イスラエルの起業家も含めてとらえている。
イスラエルにはグローバルで再現性が高い技術を持ったスタートアップが多数おり、同社は今後も継続したイスラエルスタートアップの成長支援を進めていく構えだ。
イスラエルは世界屈指のスタートアップ大国だ。テルアビブ市周辺の「シリコン・ワディ(バレー)」には、スタートアップ企業が7000社以上集まっており、その規模はアメリカに次いで世界第2位とも言われる。
今回のサムライインキュベートの出資・支援によりイスラエルで新たなイノベーションが生まれ、それが日本企業にも好影響をもたらすことを期待したい。