AppierがBotBonnieの提供を開始 会話型マーケティング領域の強化を目指す

ECのミカタ編集部

Appier(エイピア、代表取締役兼CEO:チハン・ユー、以下Appier)は、オムニチャネル対応のチャットボットプラットフォームBotBonnieの提供を開始した。

会話型マーケティング分野へ進出

AI SaaS企業のAppierは、オムニチャネル対応のチャットボットプラットフォームBotBonnieの提供を開始し、メッセンジャーサービスにおける複雑なカスタマージャーニーをスマートにナビゲートするために設計されたAppierのAI搭載ソリューション群を強化することを公表した。

同社は、これによりAppierが会話型マーケティング分野への進出を果たすことになり、同社の顧客中心のフルファネル・マーケティング戦略をさらに推進するとしている。なお日本でも利用が可能だ。

BotBonnieは日用消費財、チェーンストア、金融、教育、自動車、Eコマース分野で、すでに導入実績があることから、これらの業界におけるAppierのビジネス拡大を強化するものとみられる。

Appierは、BotBonnieの買収を完了した。これによりBotBonnieの従業員はAppierの従業員として業務を継続するとしている。ロイ・ロー氏は、引き続きBotBonnieのチームを率い、Appierのチームと協力し、製品の連携を進め、相乗効果をもたらすソリューションの構築を担うとのことだ。

ECとリアル双方でカスタマージャーニー管理が可能に

ECとリアル双方でカスタマージャーニー管理が可能に

ガートナーによれば、顧客サービスでのやり取りは、顧客のロイヤリティレベルを左右する鍵となるという。企業が顧客の問題解決を支援することで顧客のロイヤリティが生まれる。同時に、やり方を間違えれば、顧客サービスでのやり取りがロイヤルティを向上させるどころか、顧客の不信感につながる可能性が約4倍もあるとしている。

さらに、ガートナーは、カスタマーサービス担当者の時間をより重要な問題解決に充てることが可能になるなど、顧客がセルフサービスで問題を解決できるようなデジタル・コンテインメント性を高めるための戦略のひとつとして、チャットボットの導入を挙げている。

オムニチャネルに対応する会話型チャットボット・プラットフォームであるBotBonnieは、マーケティングシナリオを見極めることに長けており、顧客が複数のメッセージング・チャネルを使っている場合でも、チャットソリューションをワンストップで実装できる柔軟性を備えている。そのため、企業は、売上を伸ばし、顧客ロイヤルティを構築することが可能だ。

BotBonnieをAppierのAI搭載ソリューション群に加えることで、日本でAppierのソリューションを導入している企業は、AI搭載プラットフォームと分析機能をフルに活用し、オフラインとオンライン両方の環境でシームレスにカスタマージャーニーを管理することが可能となる。技術面においては、AIがBotBonnieが収集する会話データの分析を行うことで、AIモデルに学習させ、さらに精度の高い顧客行動の予測ができるため、企業はパーソナライズしたサービスを拡充させることにつながる。

また、BotBonnieは、見込み顧客獲得、維持(リテンション)、関係構築から取引増加までを包括するAppier製品のシナジー強化に寄与するものとみられる。例えば、会話型AIチャットボットであるBotBonnieを活用することで、Appierの顧客企業は、広告ソリューション「CrossX(クロスエックス)」がLTV(生涯価値)の高い顧客を特定してリターゲティングした後、FacebookやLINEのメッセンジャー機能、さらにはGoogle Business Messagesなどのソーシャルメディアチャネルに顧客を誘導し、顧客とのコミュニケーションを継続することが可能だ。

BotBonnieを活用して顧客と企業とのやり取りのデータを分析し、顧客のニーズを把握すれば、カスタマーエンゲージメントプラットフォーム「AIQUA(アイコア)」を使ってパーソナライズされたウェブ/アプリのプッシュ通知を送ることができる。さらにウェブ接客ツール「AiDeal(アイディール)」からその顧客の購買行動を踏まえて、適切なクーポンを配信すれば、新規の訪問客を顧客に変えることが可能だ。

さらに、会話データの分析により、企業は顧客の興味・関心の傾向をよりよく理解し、あらゆるタッチポイントでパーソナライゼーションのレベルを調整することができる。例えば、データサイエンスプラットフォーム「AIXON(アイソン)」を活用することで、会話のような非構造化データから価値あるビジネスインサイトを抽出し、顧客行動の予測精度を高めることが可能になる。

日本企業の成功を支援

AppierのCEO兼共同創業者のチハン・ユー氏は、次のように述べている。

「LINEのようなメッセージングアプリは日本で非常に人気があり、小売業者やEC企業は会話型コマースの成熟に貢献しています。AIチャットボットは、顧客がメッセンジャーを使って商品を購入する際、より自然な会話が可能になります。BotBonnieを当社の製品ラインアップに加えることで、メッセンジャーを通じて顧客とのエンゲージメントにも対応できるようになるため、企業はカスタマージャーニーのあらゆる側面で当社のソリュ―ションをご利用いただけるようになります。Appierは、顧客中心のアプローチと先進的な会話型マーケティングをお手伝いすることで、日本企業の今後の成功を支援していきます」

BotBonnieのCEO兼共同設立者であるロイ・ロー氏は、次のように述べている。

「BotBonnieとAppierとの組み合わせにより、様々な相乗効果が期待できます。Appierに参加することで、BotBonnieのサービスをアジア太平洋地域で提供できることをうれしく思います。Appierは、これから消費者に対してオフラインでもオンラインでも、パーソナライズされた、完全なオムニチャネル体験を提供していきます。Appierの強力なAIおよびデータ分析能力とBotBonnieの会話型コマースの経験を組み合わせることで、顧客企業がコロナ禍による変化に対応し、成功、繁栄できるよう努力していきます」

会話型コマース(LINEやFacebookメッセンジャーといったチャット(=会話)ができるアプリやサービスを利用し、企業・ショップがユーザーとの会話を通じておすすめ商品を紹介したり、問い合わせに対応したりするサービスのこと)は世界的に増えている。

2021年に410億米ドルだった会話型コマースチャネルの総支出額は、2025年には2,900億米ドルに達すると予測されており、今後4年間で590%の増加が期待されている。

商品の検索から購入にいたる販売プロセス全体をチャットボットで処理することができるようになると考えられており、ジュニパーリサーチの調査では、2025年までに日本、中国、韓国の3カ国でチャットボットの支出の90%以上を占めるようになると予測されている。

こうした市場動向をとらえて、今回のBotBonnieに至ったことになる。今後、日本での展開を通して、EC事業者のビジネス、そしてカスタマージャーニー施策を力強く支援することになりそうだ。


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