Shopify、「史上最大規模」のアップデート“オンラインストア2.0”を公表

ECのミカタ編集部

Shopify Unite 2021において、同社が「Shopifyの歴史上最大規模のプラットフォーム投資」とする内容について公表された。同社はまた、「私たちはすべての事業者がよりユニークでカスタマイズされた方法で販売できるようになる、まったく新しい体験を提供します」と述べている。

オンラインストア2.0

オンラインストア2.0

同社がShopify Uniteで「歴史で最大級の発表」を行った。それがオンラインストア2.0だ。オンラインストア2.0とは、新しい機能と機能改善のコンビネーションで、ストアのカスタマイズの可能性を劇的に拡張するとしている。

◆ストアのレイアウトとデザインをより豊かに

オンラインストア2.0では、ストアのレイアウトとデザインのコントロールがこれまで以上に手軽になり、より多くのデータにアクセスする自由性が拡大するという。セクションとブロックでは、ストアのすべてのページのパーソナライズが可能になり、コンテンツの追加や編集、削除が、コードの編集なしでできるようになる。

8月より、事業者はShopify テーマストアにおいて新たなテーマを見ることができるようになるという。これらのテーマは新しいオンラインストア2.0のプラットフォーム上に建てられたもので、今回のUniteで紹介されたパワフルな機能が備わっている。技術的な知識を持っていたら、LiquidファイルをJSONテンプレートファイルに更新し、セクションやブロックを使ってストアをカスタマイズすることが可能だ。

◆フレキシブルなストアのコンテンツを表示

メタフィールドとは、商品、顧客、注文、その他のオブジェクトに付けることができる追加データのことだ。メタフィールドは、Shopifyの管理画面にない情報を保存するために作られている。例えば、生地の手入れ方法、配送期間、バックオーダーの日付などだ。

8月から、管理画面で直接メタフィールドを定義・編集したり、メタフィールドをアプリやテーマに接続したり、チーム内の誰もがアクセスできるようになる。また、メタフィールドを利用することで、商品ページ上で商品やバリエーションの設定を簡単に行うことが可能だ。例えば、特定のベンダーに適したサイズチャートを表示することができるようになる。

◆テーマストアでのテーマ提供の高速化

顧客体験の向上は優れたテーマから始まる。今回、紹介された新テーマのDawnは、コンバージョンのために構築された美しく高速なストアフロントという、同社の取り組みの結晶だ。

Dawnは、あらゆるブランドを表現するために使用できる柔軟なデザインで、豊かな購買体験が提供される。画像を中心とした商品ページ、美しい商品グリッド、スマートなカラーシステムなど、美しさを考慮して作られている。

さらに、Dawnは高速だ。Dawnは最も人気のあるテーマよりも35%も速く読み込れる。Dawnは、テーマの新しい基準となることだろう。今年はさらに多くのテーマがテーマストアに登場予定だが、どれも顧客の体験を向上させるスピードとパフォーマンスで作られている。

コンバージョンのための新機能

コンバージョンのための新機能

◆Shopify メールでコンバージョン、リピーター、リテンションを促進

Shopify メールは、顧客の獲得、エンゲージメント、再活性化を可能にするメールマーケティングツールだ。Shopify メールではすぐに使えるテンプレートが用意されているので、商品の再入荷や新商品の発売、セールのお知らせなどに利用できる。テンプレートには、ロゴ、割引、商品画像、説明、価格などが自動的に表示される。

8月には、カスタムフィールドを使ってメールをパーソナライズし、メールキャンペーンを改善できるようになる。Shopify メールはオンラインストアと直接統合されているので、メールのエンゲージメント指標、カートへの追加、コンバージョンなどをすべて管理画面の1つの場所で確認することができる。

◆顧客に決済方法の選択肢を増やす

世界中の買い物客が好む決済方法は様々だ。例えば、アメリカではクレジットカードが最も一般的な支払い方法だが、ブラジルではオンラインショッピングをする人の52%がQRコードを使って購入している。

購入者がどこから来ているかに関わらず、適切な決済方法を利用することで、よりローカライズされた購入者体験を提供し、チェックアウトのコンバージョンを高めることができる。

同社は、Shopifyのペイメントプラットフォームを立ち上げ、新しい市場や業界での成長の機会を広げていくとしている。決済サービスプロバイダーがShopifyに新しい統合機能を構築できるようにすることで、ニッチな機能を提供するゲートウェイの幅広いエコシステムを構築することができるという。これにより、より多くの場所で、より多くの商品を販売できるようになり、マーチャントに新たなビジネス価値をもたらすとしている。

◆後払いを使って注文単価を高める(米国限定)

高額商品を購入する顧客のために決済方法の柔軟性を与えると、コンバージョンが50%も上がり、注文単価も増加する。Shop Pay Installmentsを使うと、注文を4回に分け、0%の手数料で顧客に後払いを提供することができる。現在は50ドル〜1,000ドルまで(税と送料を含む)の注文で利用できる。

◆世界が見たことない購買体験を提供

Shopifyは、アイデアや技術力の成長に合わせて、ビジネスのあらゆるステージをサポートする。ヘッドレスアーキテクチャを含む技術スタックとビジネスロジックでブランドを際立たせるユニークな購買体験の創出を支援する。

ShopifyのストアフロントAPIを使用すると、カスタムストアフロントを構築できる。このAPIでは、世界中の顧客のための国際価格設定、店頭受取、定期購買など、コマース機能がさらに強化さる。

既存のデベロッパーフレームワークや技術スタックを使ってShopifyにLiquid以外のカスタムストアフロントを構築することで、Webページやモバイルアプリ、スマートデバイスなど、あらゆるスクリーンを販売チャネルにすることがでる。

◆Shopifyチェックアウトの速度と能力が大幅に向上

Shopifyチェックアウトはさらに高速になり、どのショップも1分間で数万件の購入を処理できる。このような性能向上によって、Shopifyは1つのマーチャントが8分で30万足のスニーカーを販売できる能力が得られることを目指す。また、個々のショップが2020年のブラックフライデー・サンデーマンデーのピーク時にShopify全体で扱ったのと同程度の販売数を処理できるようになることを目標としている。

◆商品の受取体験をシームレスに最適化

複数のロケーションで在庫を管理していたら、発送処理や在庫管理の難しさがわかるだろう。Shopifyを使っている事業者は受取専用ロケーションを指定することで、商品の受け取り体験をレベルアップさせることができる。

受取専用ロケーションで顧客に商品を受け取ってもらうことで、オンライン注文をその店舗から発送する必要がなくなり、時間とコストのかかるミスを防ぐことができる。受取専用の小売店の在庫は、オンライン出荷の注文に「利用可能」として含まれない。

例えば、顧客の倉庫では26cmの靴の在庫がないが、受取専用の小売店には在庫がある場合、その靴は在庫があるものとして扱われ、受取は可能だが、発送はできないといったことも可能だ。

◆卸売をより簡単に(米国限定)

Shopifyが新しく構築する卸売のマーケットプレイスであるHandshakeで卸売販売を始めることで商品をより多くのオーディエンスに届けられる。Handshakeのすべての商品はShopifyを使っているブランドからのものだ。Shopifyの管理画面から登録をして、価格を決め、そしてカタログが公開できる。

他のマーケットプレイスとは異なり、登録や注文ごとにかかる手数料はない。またすでに卸売の関係を持っていたら、Handshakeを使うことで既存の取引をShopify上に移すことができる。すべてのサプライヤーはShopifyによる審査を通過する必要があり、すべてのバイヤーもリセラーIDの提出が必要となる。

◆販売する新商品の調達(米国限定)

小売店、オンラインキュレーター、実店舗のオーナーは、Handshakeを利用して、Shopifyが運営する個人ビジネスからのユニークな商品を提供することで、販売を強化することができる。さらに、Handshakeのパーソナライズされた商品レコメンデーションにより、メンバーは常に新しい商品を発見することができる。

Shopify パートナー・開発者向けのその他の発表

◆チェックアウト拡張機能が登場

チェックアウト拡張機能を使うと、Shopifyチェックアウトのカスタマイズがはるかに簡単になる。これは開発者がチェックアウトにアプリを安全に構築できるようにするShopifyの新しいアプローチだという。

購入後のチェックアウト拡張機能は現在利用可能なので、開発者はチェックアウト後にレンダリングされるアップセルや寄付リクエストといった体験を構築することができる。今年後半には、さらに多くのチェックアウト拡張機能が展開される予定だ。

◆Shopifyスクリプトはより強力かつ構築がより手軽に

Shopifyスクリプトを再構築しました。Shopify Plusを利用しているマーチャントのために作業している開発者は、ブランド特有のカスタムロジックを書いて、アプリを使って複数のストアにデプロイ可能だ。

またスクリプトはShopifyで実行されるため、ボリュームに応じてスケールアップできます。たとえば、マーチャントはShopifyが提供する配送オプションをカスタマイズでき、二酸化炭素排出量に基づいてオプションをソートするスクリプトを書けば、消費者はもっとも環境に優しいオプションを選択できる。

新たに改良されたShopifyスクリプトによって、Shopifyのビジネスロジックを拡張してユニークなチェックアウト体験を構築することが、今まで以上に手軽になった。

◆HydrogenとOxygenが登場

カスタムストアフロントの構築を簡素化するReactフレームワーク「Hydrogen」を発表した。「Hydrogen」には、カート、バリエーションピッカー、メディアギャラリーなどのコマース特化型のコンポーネントが含まれ、カスタムストアフロント構築の複雑な部分を解消する。開発者は、ブランドを際立たせる体験の構築に集中できるようになる。同時に「Oxygen」も発表された。これは、「Hydrogen」をShopifyで高速かつグローバルに直接ホストするため方法で、eコマース用に最適化されている。

今年後半にはさらに多くのツールや機能を追加

公表に際して同社では次のように述べている。

「Shopifyのミッションは『すべての人のためにコマースをより良くする』ことですが、私たちだけの力では達成できません。私たちは、Shopifyでスモールビジネスの可能性を広げるために必要なツールを開発者に提供しています。つまり、重要なことはシンプルにして、その他のことは開発者が構築できるようにしています。ここでは、Shopifyのマーチャントエクスペリエンスを強化するShopify Unite 2021での事業者向けの主な発表をご紹介します。これらの変更により、あらゆる規模のビジネスのためのパワフルでカスタマイズされたコマースソリューションが可能になり、今年後半にはさらに多くのツールや機能が追加されます。皆さまのストアにお届けするのが待ちきれません!」

このようにオンラインストア2.0は、新しい機能と機能改善のコンビネーションで、ストアのカスタマイズの可能性を劇的に拡張する、まさに「Shopifyの歴史上最大規模」のプラットフォーム・アップデートとなっているようだ。一部機能は、米国限定となっており、今後、日本をはじめとした各国でどのような適用がされていくかも気になる。今年後半には、さらなるツールや機能も追加されるとしており、その進捗からも目が離せそうにない。

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