【ヤマト×アルフレッサ】AI活用で合理的かつ安全な配送スキームを構築
アルフレッサホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:荒川隆治)傘下のアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:福神雄介、以下「アルフレッサ」)と、ヤマトホールディングス株式会社傘下のヤマト運輸株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:長尾裕、以下「ヤマト運輸」)は、2020年7月21日に「ヘルスケア商品」の共同配送スキームの構築に向けた業務提携を実施。
業務提携の第一弾として、ビッグデータとAIを活用した、配送業務量を予測するシステムと適正配車を行うシステムを開発し、導入を開始したことを公表した。
AI活用で、より合理的な配送が可能に
◆配送業務量予測システム
アルフレッサがこれまでに蓄積した「販売」「物流」「商品」「需要トレンド」などのビッグデータをAIで分析し、顧客毎の配送業務量(例. 注文数、配送発生確率、納品時の滞在時間など)を予測。AIが学習することで各種予測の精度が向上し、より効率的な配車計画の作成が可能となる。
◆配車計画システム
配送業務量予測システムで得られた情報を基に配車計画を自動的に作成。これまでにヤマト運輸が蓄積した物流や配車に関するノウハウに加え、渋滞などの道路情報を活用することで、効率的かつ安定的な配車計画を作成することができる。また配送の業務量が多い時には、ヤマトグループの保有する配送リソースも機動的に活用することが可能であり、これまで以上に安定した配送を行うことが可能だ。
◆パッケージ納品
医療機関へ医薬品を納品する際、アルフレッサの配送員と医療機関の医療従事者が対面で検品作業を行っているが、納品するアイテム数が多い場合は対面作業の時間が長くなることがある。アルフレッサはこれまで納品時に検品作業が不要な、「パッケージ納品」を展開してきたが、今回導入するシステムに加えて、デジタル機能の活用による事前検品を増やすことで、医療機関における対面作業の時間を大幅に短縮することが可能となる。
配送と作業の効率化を実現
◆配送生産性の向上(最大20%向上)]
配送業務量予測システムと配車計画システムを導入・活用することで、従来以上に効率的な配送が可能となる。
◆走行距離およびCO2排出量の削減(最大25%削減)
配車計画システムを導入・活用することで、従来の固定化された配送ルートではなく、日々の業務量に応じた最適な配送コースを設定することが可能。これにより車両の走行距離を短縮しCO2排出量を削減することで、環境負荷を低減する。
◆医療機関における対面作業時間の削減(最大20%減)
従来の対面による検品作業から、デジタル機能を活用した事前検品も踏まえた「パッケージ納品」へシフトすることで、医療機関における対面での作業時間を大幅に削減することが可能となる。
新たな日常でのECへのフィードバックに期待
公表に際してヤマト運輸では次のように述べている。
「世界に先駆けて超高齢社会に突入した日本は、様々な社会的課題を抱えた課題先進国と言われています。社会全体では、高齢者人口の増加と生産年齢人口の減少に伴って、社会保障費の増加とその財源確保が社会的課題の 1つとなっています。また物流分野では、長距離ドライバーの不足に象徴される労働力不足が深刻化しており、一方、医療分野では、新型コロナウイルス感染拡大の影響が医療提供体制に大きな負荷を与え、医療機関の対面業務における感染リスクの低減や医療従事者の業務の軽減が課題となっています。
さらに気候変動リスクへの対応として、医薬品の配送車両におけるCO2削減への取り組みも重要であり、安心・安全で確実な医薬品流通ネットワークを今後も持続可能な状態にするための課題が数多く存在しています。アルフレッサとヤマト運輸はこれらの課題の解決に向けて、2020年7月に『ヘルスケア商品』の共同配送スキームの構築に向けた業務提携を発表いたしました。第一弾として、ビッグデータとAIを活用して、顧客毎に日々の配送業務量を予測する配送業務量予測システムと適正な配車を行う配車計画システムを開発し、このたび導入を開始いたします」
また展開スケジュールについては、 2021年8月からアルフレッサの首都圏の支店を対象に導入を開始。その後、アルフレッサの全国の支店へ順次、拡大していく予定だとしている。また並行して同スキームのブラッシュアップを行い、業務提携の第二弾、第三弾を両社で推進する方針とのことだ。
今回は、新型コロナウイルスによる感染拡大という喫緊の社会的課題に、物流大手企業としてのノウハウとリソースを惜しげもなく投入する形となっているが、コロナ禍が新たな日常となる中でECにおける物流網においてもフィードバックされることが期待される。