【LINE活用セミナーレポート】スナックミーはなぜ“CV数8.4倍”を実現できたのか?

ECのミカタ編集部

7月21日、LINE株式会社とECのミカタの共催で、「 ”CV数8.4倍”を実現したスナックミーのLINE活用セミナー」を開催した。

スナックミーは、おやつのサブスクリプションサービスを提供している企業。おやつ診断やユーザーからのリクエスト、評価などのデータから、お届けするおやつをパーソナライズしている点に特徴がある。

LINE活用セミナーには、株式会社スナックミーの尾﨑敬祐氏、LINE株式会社 松田一樹氏が登壇。ECマーケティングにおける効果的なLINEの活用法を披露した。

CS・獲得・認知の3軸でLINEを活用

CS・獲得・認知の3軸でLINEを活用株式会社スナックミー 尾﨑敬祐氏
LINE株式会社 松田一樹氏
MIKATA株式会社 森田春香

スナックミーがマーケティングツールとしてLINEを選んだのは「ユーザーが普段使っているツールであること」「ユーザー数が多いこと」が理由だ。ユーザーが普段使っているということは、問い合わせがしやすいなどCS(顧客満足度)につながる。また、主要SNSの利用率を比べると、LINEの利用率は全年代でトップであり、幅広い年代にリーチできるのが利点だ。

スナックミーでは、大きく「CS=LINE公式アカウント」「獲得=LINE広告」「認知=LINEプロモーションスタンプ」の3つの役割に分けてLINEを活用している。

「LINE公式アカウント」とは、事業者がLINE上にアカウントを作成し、友だちとして登録されているユーザーにさまざまな情報を届けることができるサービス。事業者は、「タイムライン」「リッチメッセージ」「LINEチャット」といった機能を通して、ユーザーとコミュニケーションを取ることができる。

スナックミーでは現在、問い合わせの60%をLINE経由が占めるまでになっている。「LINEは問い合わせの障壁が低いため、ユーザーの小さな不満も随時キャッチアップして解消できる結果として、LTVの向上も見込める」とスナックミーの尾﨑氏は語る。

顧客データを活用したコミュニケーション

顧客データを活用したコミュニケーション

LINEのマーケティングに活用するには、「ID連携」がポイントとなる。ID連携とは、友だちのLINEのユーザーIDと自社サービスのアカウントを紐づけることだ。

それによって購入に対するサンクスメッセージを送ったり、お気に入り商品の再入荷をお知らせしたりと、顧客データを活かしたさまざまなコミュニケーションが可能となる。

スナックミーでは、公式サイトからの注文後に表示されるサンクスページでID連携を促しており、収納ボックスのプレゼントをフックに連携率向上に取り組んでいる。

また、過去に特定の商品を高く評価したユーザーに対し、当該商品の大容量サイズをプッシュ通知で紹介するアップセル施策も行っている。「購入してくれる見込みの高いユーザーにピンポイントで配信できるのは、ID連携をしているからこそのメリット」だという。

LINE公式アカウントは目的を明確に

LINE公式アカウントは目的を明確に

LINEが推奨するLINE公式アカウントの活用法として、「既存顧客に対するCRMとしての活用」、そして、「新規獲得を目的としたリターゲティングの代替施策としての活用」がある。

「LINE公式アカウントをマーケティングに活用する際は、LINE公式アカウントを既存顧客向けに活用するのか新規顧客獲得のために活用するのか、目的を明確にし、棲み分けを行ってから始めてほしい」とLINEの松田氏は説く。

LINE公式アカウントを新規獲得に活用するには、一斉配信したメッセージの反応に応じて、その先のコミュニケーションを変えていくという方法がある。

独自のアルゴリズムで最適な掲載面に広告を配信

独自のアルゴリズムで最適な掲載面に広告を配信

LINE広告は少額からスタートできるLINEの運用型広告で、LINEのトークリスト上部やタイムライン、LINE NEWSやウォレット、LINEマンガ等に広告配信が可能。LINE独自のアルゴリズムに基づいて、最適な掲載面に広告が配信される。

LINE広告のターゲティングには、大きく分けて「LINEターゲティング配信」「オーディエンス配信」「類似配信」の3種類がある。

① LINEターゲティング配信
LINEが保持しているユーザーのみなし属性(エリア・年齢・性別・興味関心など)に基づいたターゲティング。

※これらのオーディエンスデータはLINEファミリーサービスにおいて、LINEユーザーが登録した性別、年代、エリア情報とそれらのユーザーの行動履歴(スタンプ購入履歴、LINE公式アカウントの友だち登録履歴など)、
LINE内コンテンツの閲覧傾向やLINE内の広告接触情報をもとに分類した「みなし属性」および、実購買の発生した購買場所を「購買経験」として個人を特定しない形で参考としているものです(「みなし属性」には携帯
キャリア・OSは含まない)。「みなし属性」とは、ユーザーが「LINE」上で購入・使用したスタンプや興味のあるコンテンツのほか、どのようなLINE公式アカウントと友だちになっているかといった傾向をもとに分析
(電話番号、メールアドレス、アドレス帳、トーク内容等の機微情報は含まない)したものです。なお、属性情報の推定は統計的に実施され、特定の個人の識別は行っておりません。また、特定の個人を識別可能な情報の
第三者(広告主等)の提供は実施しておりません。


② オーディエンス配信
いわゆるリターゲティングのようなもの。例えば初回購入をしたユーザーを対象に再度広告を配信することができる。

③ 類似配信
元となるオーディエンスの属性を設定すると、それに類似した新規のユーザーをLINE内で探して配信する方法。

広告配信開始から半年でCV数8.4倍

広告配信開始から半年でCV数8.4倍

スナックミーでは、まず「LINEターゲティング配信」からスタートし、その後「オーディエンス配信」「類似配信」も活用している。

尾﨑氏は、「類似配信の活用により、効率良く確度の高いユーザーにアプローチできていると感じている」という。

LINE広告の配信開始直後と比較して、半年後にはコンバージョン数が8.4倍に。現在は、新規獲得件数の3分の1程度がLINE広告経由となっている。LINE広告の活用により、他媒体ではアプローチしにくい高年齢層のユーザー獲得にもつながっているそうだ。年齢層が高いユーザーはLTVが高い傾向があるため、LTV向上にも寄与している。

尾﨑氏は、「他媒体に比べ、LINE広告は、広めのターゲティングでも十分に費用対効果が合う。年齢や性別などで属性を区切るだけでも、効率良く獲得ができるため、広告運用工数の削減にもつながる」とLINE広告のメリットを語る。

スナックミーが、LINE広告の配信開始から半年間でコンバージョン数8.4倍を実現した背景には、キャンペーン構造の見直しやクリエイティブの改善、記事LPの改善を行ったことがある。

キャンペーン構造を見直したことで、ターゲティングの質がクリアになり、コンバージョン率が上がっただけでなく、ムダなクリックが減りCPAも改善。さらに、A/Bテストでクリエイティブの改善を行ったことで、クリック率が向上。遷移先の記事LPを改善して、離脱を減らす取り組みも行ったことも成果につながった。

ベネフィットを訴求するタイトルでCVR2.0倍

ベネフィットを訴求するタイトルでCVR2.0倍

LINE広告には静止画と動画がある。「フォーマットによって掲載面が変わるため、静止画と動画を織り混ぜたり、異なるフォーマットの静止画を複数用意したりして組み合わせを検証してほしい」とLINEの松田氏はアドバイスする。

クリエイティブの改善に取り組むうえで、優先すべきがタイトルの検証だ。同じデザインでもタイトルが違うだけで広告効果に大きな差が出るため、複数のタイトルを用意して検証を重ねるのが望ましい。「LINE限定」「当たる・もらえる」「40代のあなたへ」など、反応の良い表現を取り入れてみるのも効果的だという。

スナックミーでは、タイトルを機能訴求(「毎月届く自分専用おやつの定期便」)からベネフィット訴求(「私がコンビニのおやつを買わなくなった理由」)に変えることで、コンバージョン率が約2.0倍に。尾﨑氏は、「ユーザーの潜在的な課題や意識を顕在化したことで、得られるベネフィットがイメージしやすくなった」と分析する。

松田氏は、「広告クリエイティブの疲弊は避けられないため、プロモーションを継続的に成功させるには、継続的な配信と検証を行い、常に新しいクリエイティブを生み出し続けることが不可欠」と語る。

LINEスタンプで認知拡大

LINEスタンプで認知拡大

「LINEプロモーションスタンプ」とは企業がマーケティングにLINEスタンプを活用できる仕組みで、中でも「CPDスタンプ」と呼ばれるものは、「ダウンロード数×ダウンロード単価」で実施できる従量課金形式のスタンプだ。

スナックミーでは、2020年後半に2回に分けてCPDスタンプ施策を行っている。同社におけるCPDスタンプ施策の主目的は、ユーザーに同社のマスコットキャラクターのスタンプを使ってもらい、認知拡大につなげることだ。スタンプを通して、オリジナルキャラクターに愛着を持ってもらうことで、ロイヤリティの向上も期待できる。

既存顧客が日頃LINEでやりとりしている友人・知人は、趣味嗜好が似ている傾向があり、広告ではないものの「類似配信」のような効果がある。定量的には、同社の指名検索数が伸びる効果があったという。

スタンプの制作時は、企業色を出すよりも、使われやすいものにすることが重要だ。「OK」「ありがとう」など、日常的に使えるスタンプのほうが圧倒的に利用者数が増え、プロモーション効果が高まるからだ。

ダウンロード数の上限が設定可能であるため、「先着キャンペーン」として打ち出すことも可能。スタンプをダウンロードするユーザーに、「友だち追加」だけでなく、ID連携やアンケート回答などその他のミッションを付加することもできる。

新規顧客獲得からファン化までを一気通貫で

新規顧客獲得からファン化までを一気通貫で

スナックミーでは今後、新規顧客向けのLINE公式アカウントの活用や、LINE広告の新機能活用、Talk Head Viewなど認知施策の実施などを考えているという。「Talk Head View」とは、LINEのトークリスト最上部に1日1社限定で静止画/動画が掲載できるメニューで、1日で5,500万以上のユーザーにリーチできる。
*月2020年2月実績を参考

ECビジネスにおいては、購買フェーズのどこに課題があるかによってLINEの活用法も変わってくる。認知に課題がある場合は、LINE広告やTalk Head View、LINEプロモーションスタンプが適している。一方、LTVに課題がある場合は、LINE公式アカウントを活用しミドルカスタマーをロイヤルカスタマーに引き上げていくような施策が有効だ。

LINEの松田氏は、「新規顧客獲得からファン化まで、一気通貫で活用されるサービスを目指したい」と締めくくった。


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