J-WAVEがデジタルデータをもとに独自のマーケティングソリューションを展開
ラジオ局J-WAVE(81.3FM)は、CDP(Customer Data Platform)をもとに、ユーザーごとに最適化したコミュニケーションを実現する独自のプラットフォーム「CCP(Customer Communication Platform)」を構築し、昨年より自局の基幹マーケティングシステムとして様々な施策に活用してきた。
リスナーの趣味趣向を分析
CCPは、radikoの聴取データをはじめ、イベントへの参加・チケット購買情報、WEBでの行動履歴、さらにはJ-WAVEのリスナー会員サービス「J-me(ジェイミー)」などの1st Partyデータをもとに、リスナーの趣味趣向を分析し、それぞれのリスナーに最適なタイミングで最適なコンテンツを最適な手段で届けるコミュニケーションプラットフォームだ。
このCCPを活用することで、オンエアと連携しながらリスナーに対して高頻度に、かつ低コストでデジタル上でのコミュニケーションを実現し、CX(Customer Experience)の改善を図っている。
CCPの機能の中で重要な役割を担うイベント機能は、昨年のイベント「INNOVATION WORLD FESTA 2020」で実施したPoCの結果をもとに開発し、今年7月に開催されたライブイベント「J-WAVE LIVE 2021」にて本格稼働をスタートさせた。
メールやLINEのコミュニケーションを最適化
同社はまた、そのCCP上の膨大なデータを活用することで、どのリスナーがJ-WAVE LIVEのどの出演者に強く関心があるかを事前に把握し、それぞれの関心クラスター毎にメールやLINEのコミュニケーションを最適化するという施策を実施している。
アーティストクラスターに分類できなかったリスナーには、従来通り年齢、性別、趣味趣向を無視して全く同一のメールを配信し、両者を比較した。その結果、CCPによるコミュニケーション最適化施策によって効果が認められたとしている。結果としてセグメント配信は、通常の配信に比べて開封率は74%増、クリック率は166%増と高い値を記録した。
さらに、CCPでは購入者のデータをイベントの前に把握することが可能だ。性別、年齢層をはじめ、これまでに同イベントに参加したことがあるかどうか(リピーター率)が把握できる。このため今回のJ-WAVE LIVEと、その前日に同会場で開催された「THE KINGS PLACE LIVE Vol.20」での観客の属性情報の違いを事前に把握し、当日の会場内でのアトラクションの手法を変える施策を行った。
また、CCPではJ-WAVE LIVE参加者がこれまで他のどんなイベントに参加しているか、J-WAVE LIVE出演者以外ではどんなアーティストに興味がある層なのかを把握することで、イベント会場での演出や、次回イベントの企画やブッキングに活かしていくとしている。
それに加えて、券売からイベントまでの間やイベント終了後も、CCPによって最適化されたデジタルコミュニケーションを通じて、リピーター獲得やファン作りに寄与することが可能とのことだ。
クライアントの課題解決にもCCPを活用
それにとどまらず、J-WAVEではリスナーだけでなく、クライアントの課題解決にもCCPを活用しているという。広告ターゲットに対してオンエアだけでなく、CCPの中から対象となる興味関心のセグメントを作成し、直接コミュニケーションを実施したり、radiko上でラジオCMを聴取したリスナーを抽出したりして、SNS等でリターゲティングすることも可能だという。
J-WAVEは今後もCCPを中心に様々なデータを連携して、リスナーおよび広告主のCX向上を図っていくとしており、ECにおける広告施策を考える上でも、さらに有力な選択肢となっていきそうだ。