コロナ禍で加速するキャッシュレス利用・消費動向には世代差も【MMD研究所レポート】

ECのミカタ編集部

MMD研究所は、ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:スティーブン・カーピン、以下Visa)と共同で、2021年8月17日~8月19日の期間で「コロナ禍での支払いやお金の管理に関する調査」を実施し、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

調査概要

調査期間:2021年8月17日~8月19日
有効回答:50,000人
調査方法:インターネット調査
調査対象:15~69歳の男女

コロナ禍で「キャッシュレス利用が増えた」

コロナ禍で「キャッシュレス利用が増えた」

全国15~69歳の男女50,000人を対象に、新型コロナウイルスの感染拡大前後で普段の生活様式の変化について聞いたところ(複数回答可)、「キャッシュレス決済で支払うことが増えた」が19.4%と最も多く、次いで「テレビやネットニュースを以前よりも確認するようになった」が17.6%、「オンラインでの買い物が増えた」と「公共交通機関を利用することが減った」が17.1%となった。

これを世代別で見ると、どの世代も「キャッシュレス決済で支払うことが増えた」という回答がランクインしているが、Z世代は「オンラインでの買い物が増えた」「自宅内でする趣味・娯楽の支出が増えた」、ミレニアル世代は、「オンラインでの買い物が増えた」「公共交通機関を利用することが減った」、60代は「テレビやネットニュースを以前よりも確認するようになった」が上位にランクインする結果となった。

世代ごとに生活様式の変化の項目は異なるものの、全世代で「キャッシュレス決済で支払うことが増えた」という回答が上位にランクインしており、コロナ禍がキャッシュレス決済の普及が加速した一因と考えられるとしている。

求めるもの「ポイント・セキュリティ・素早さ」

求めるもの「ポイント・セキュリティ・素早さ」

全国15~69歳の男女50,000人を対象に、キャッシュレス決済全体に求めるものを聞いたところ(複数回答可)、「ポイントが貯まりやすいこと」が41.5%と最も多く、次いで「セキュリティ面で安心して利用できること」が32.9%、「素早く会計できること」が32.2%となった。

これを世代別で見ると、Z世代、ミレニアル世代は「ポイントが貯まりやすいこと」「素早く会計できること」「利用できる場所が多いこと」の3項目が上位にランクインし、40代は「ポイントが貯まりやすいこと」「セキュリティ面で安心して利用できること」「素早く会計できること」がランクイン、50代~60代は「ポイントが貯まりやすいこと」と「セキュリティ面で安心して利用できること」「利用できる場所が多いこと」となった。

コロナ禍でキャッシュレスを利用している理由は?

コロナ禍でキャッシュレスを利用している理由は?

新型コロナウイルス感染拡大後に現金以外の支払い方法をしている人を対象に、新型コロナウイルス感染拡大後にキャッシュレス決済を利用している理由を聞いたところ(複数回答可)、各支払い方法で最も多かった理由は、クレジットカード利用者(n=35,149)とQRコード決済利用者(n=25,224)では「ポイント還元率が良いから」、デビットカード利用者(n=7,337)、プリペイドカード利用者(n=6,590)、カード型電子マネー利用者(n=22,901)、タッチ式スマートフォン決済利用者(n=12,486)では「素早く会計したいから」となった。

クレジットカードとQRコード決済利用者はポイントや割引サービスに関する項目を重視するのに対し、デビットカード、プリペイドカード、カード型電子マネー、タッチ式スマートフォン決済利用者ではスピードを重視し、生活に親和性のある項目がランクインする結果となった。

消費、金銭管理への価値観や意識は?

消費、金銭管理への価値観や意識は?

全国15~69歳の男女50,000人を対象に、消費、金銭管理についての価値観や意識について聞いたところ(複数回答可)、「ポイントを意識して買い物をするようにしている」が30.3%と最も多く、次いで「お金を増やしたい」30.1%、「将来のお金が不安」が29.5%となった。一方で、「貯蓄が苦手」「たくさんお金を使いたい」「貯蓄はしていない」の項目の回答は少ない結果となった。

これを世代別で見ると、Z世代では「お金を増やしたい」「好きなこと以外は節約したい方だ」「将来のお金が不安」が上位にランクインし、「貯蓄が苦手」「たくさんお金を使いたい」「貯蓄はしていない」が下位にランクインする結果となった。

さらに60代では「身の丈に合った支出をしている」「現金より、キャッシュレス決済の方が便利だ」「ポイントを意識して買い物をするようにしている」が上位にランクインし、「好きなものにとことんお金を使いたい」「貯蓄はしていない」「たくさんお金を使いたい」が下位にランクインした。

全体では上位の回答には世代別の差異はみられないものの、下位の回答のうち「たくさんお金を使いたい」はZ世代が9.5%、全体は5.0%、「好きなものにとことんお金を使いたい」はZ世代が19.5%、全体は10.1%と約2倍の差があり、消費、金銭管理についての価値観や意識が異なる結果となった。

キャッシュレス利用の深化に注目

調査結果にあるように、コロナ禍で生活様式に変化があったことの全体トップは「キャッシュレス決済で支払うことが増えた」で、キャッシュレス決済全体に求めるものの上位は「ポイント」「セキュリティ」「素早い会計」だった。

Z世代、ミレニアル世代は「ポイント」「素早い会計」「利用できる場所が多い」、40代は「ポイント」「セキュリティ」「素早い会計」、50代~60代は「ポイント」「セキュリティ」「利用できる場所が多い」と世代によって求めることに差があると回答した。

またコロナ禍で、キャッシュレス決済を利用している理由は、クレジットカードとQRコード決済利用者は「ポイント還元率が良いから」、デビットカード、プリペイドカード、カード型電子マネー、タッチ式スマートフォン決済利用者は「素早く会計したいから」と回答した。

さらに消費、金銭管理への価値観や意識、「ポイントを意識して買い物」「お金を増やしたい」「将来のお金が不安」が上位にランクインし、下位にランクインした項目のうち、「たくさんお金を使いたい」「好きなものにお金を使いたい」はZ世代が全体の約2倍の回答になった。

政府の後押しもありコロナ禍以前からキャッシュレスは浸透してきたが、コロナ禍の長期化により、その流れも加速しているようだ。また依然として世代間でも利用動向には差があり、これからさらに浸透が進むのかとともに、EC決済における利用度の変化や、今後、サービスの面でいかに質的な変容が起こるか、また手数料などの問題から小規模事業者にいかに受け入れられていくかにも注目と言えそうだ。

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