“フレキシブル消費”が台頭?メルペイが「消費と支払手段に関する調査」を実施

ECのミカタ編集部

株式会社メルペイは、18〜59歳の男女計800名を対象に「消費と支払手段に関する調査」を実施し、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

調査概要

調査時期:2021年9月25日(土)~9月26日(日)
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国、18〜59歳、男女800名
※「後払い決済サービス」とは、「メルペイスマート払い」、「Paidy」、「ZOZOツケ払い」等を指す。

31.1%が後払い決済の利用経験あり

31.1%が後払い決済の利用経験あり

直近1年間を振り返って、後払い決済サービスを利用したことがある人は31.1%で、約3人に1人が利用したことがあることがわかった。20〜50代の幅広い世代で利用されているが、とくに20〜40代は30%以上となり、若年層になればなるほど利用率が上がっていた。

後払い決済の利用金額は増加傾向

後払い決済の利用金額は増加傾向

後払い決済サービス利用者の平均月間利用金額は、2021年3月から9月にかけて「1万円未満」が9.0%減少、「1万円以上3万円未満」「3万円以上5万円未満」「5万円以上10万円未満」では全てにおいて増加傾向にあった。直近半年間で、後払い決済サービスの平均月間利用金額が増加傾向にあることがわかる。

利用者のうち70.3%はクレジットカードを保有

利用者のうち70.3%はクレジットカードを保有

従来利用されてきた支払手段であるクレジットカードと新しい支払手段である後払い決済サービスの利用状況を確認したところ、後払い決済サービスを利用する人の70.3%はクレジットカードも保有していることがわかった。

20〜30代の半数は30分以内に購入を決断

20〜30代の半数は30分以内に購入を決断

20〜30代の半数以上(54.4%)が「モノ・サービス(3,000円未満)の購入を決断するまでの時間」について、「30分以内」と回答。また、約4人に1人(22.8%)は「5分以内」を選択している。また購入シーンでは、「自分が欲しいと感じる時に購入」(67.2%)する考えをもつ。

理由としては、「いち早く利用したいから」(42.8%)「時間が経つと欲しいものが購入できなくなるかもしれないから」(40.5%)と、”イマ購入したい”という時間軸を意識した回答が上位になった。

また欲しいモノやサービスと「SNS」で出会うと答えた割合は、40〜50代21.6%に対して20〜30代49.4%と2倍以上の差があった。欲しいモノやサービスを「SNS」「ECサイト」「ネット上のフリーマーケット/オークション」で探す理由としては、「いつでも探すことができるから」(60.2%)「モノ・サービスの種類が豊富だから」(53.0%)という回答が上位となり、オンライン上の情報が購買行動を喚起していることが明らかに。

若者層においてはSNSやECサイト、フリマアプリなどを通じて、日頃からオンライン上で買い物体験をしていることが顕著に表れていた。情報が豊富でいつでも探せて購入できることが選ばれる理由としてわかった。

利用者の4割が欲しいと感じた時に購入

利用者の4割が欲しいと感じた時に購入

後払い決済サービス利用者の約4割(39.8%)が、購入したいモノの金額がその月に使ってもよいと思える金額を超えていたとしても、それを欲しいと感じた時に購入している。理由としては、「収支の把握をきちんとできている自信がある」「支払いの見通しが立っている」が上位に。

後払い決済サービスを利用している理由としては、「支払うタイミングを調整できるから」(54.0%)「利用金額を把握しやすいから」(32.0%)「支払いの見通しを立てやすいから」(26.0%)が上位に入っており、利用と支払いの管理がしやすい後払い決済サービスを活用することで、欲しいと感じた時の購入を可能にしていると考えられるとしている。

また後払い決済サービス利用者の71.4%が、普段の家計管理において「家計簿やノートに記録している」「スマホアプリを利用している」など、収支を把握する工夫を試みている。非利用者に比べて16.4%高く、家計管理の意向が高い層が後払い決済サービスを利用していることが考えられるとしている。

フレキシブル消費が台頭か

調査を受けて同社では次のように述べている。

「昨今、コロナ禍のEC化伸長や、SNSやフリマサービスの利用拡大により消費行動にも変化が生じてきています。こうした変化にともない、支払手段も多様化しており、従来のクレジットカード等に加え、国内外でBNPL(Buy Now, Pay Later)・後払い決済サービスと呼ばれる新しい支払手段の利用が拡大しています。今後の国内の後払い決済サービス市場は、2020年度の8,820億円(見込)から、24年度には1兆8,800億円にまで拡大し、年平均成長率20%超と大きく成長することが予測されています。

メルペイにおいては、後払い決済サービスとして『メルペイスマート払い(翌月払い・定額払い)』を提供しており、20〜30代を中心に幅広い世代に利用いただいています。利用者の約半数が支払いに『メルカリ』の売上金を利用いただいており、さらに利用上限金額を設定されているお客さまも約6割いらっしゃるなど、利用と支払いの管理のしやすさに好評いただいています。

今回、こういった後払い決済サービス市場と利用の拡がりを受け、20〜30代の消費傾向から紐解く『消費と支払手段の実態』に関して、クレジットカードや後払い決済サービスの利用状況の調査を実施いたしました。

本調査結果から、20~30代の生活者はSNS等を見て『欲しいと思った商品はイマすぐ購入する』傾向が高い一方、後払い決済サービスの利用状況との関係では、後払い決済サービス利用者は家計や支払いの管理に対する意識が非利用者に比べて高いことがわかりました。このことから、後払い決済サービス利用拡大の背景に、“イマ購入したい”という消費傾向と、支払いをあとからコントロールする『フレキシブル消費』の存在がうかがえる結果となりました」

世代・トレンド評論家の牛窪恵氏は次のように述べている。

「コロナ禍で、日常的にECサイトやフリマアプリを使う人が増えたのは、周知の通り。そんな中、今回の調査では、20~30代の若者の約7割(67.2%)がモノやサービスを『自分が欲しいと感じるときに購入する』ことや、なんと同半数以上(54.4%)が『30分以内に購入を決断する』ことも分かりました。スピーディな決断の背景には、SNSの影響や、彼らを中心とした『タムパ(タイムパフォーマンス/時間対効果)』志向があるでしょう。興味ある情報に、リアルの口コミや“ググる(ブラウザ検索)”より遥かに速くたどり着けるSNSは、“ググる”より“タグる(SNSのハッシュタグ登録で検索する)”行動を促し、購入までのスピードを高めます。

一方で、彼らは物心ついたときからずっと不況の時代を生きてきた世代。多くは堅実に貯金するほか、衝動買いなどでお金を使い過ぎないよう、スマホで常に収支をチェックしています。買い物や月々の支払いも、スマホを見ながら、『今月はいくらまで(に留めよう)』や『今月はこの日に(支払おう)』など、自分なりにフレキシブルに考える傾向が強い。現代の消費者は若者を中心に、こうした『フレキシブル消費』が顕著なのです。

今回の調査では『後払い決済サービス』の利用が、20代で4割弱(35.6%)にも及びました。後払い決済サービスでは『手数料』がかかることもありますが、タムパ重視の若い世代は『手数料=フレキシブル消費を可能にする必要コスト』と捉える傾向もあります。また、アプリで管理できる後払い決済サービスの多くは、支払いタイミングを選べるうえ、月々の収支をクレジットカードのサイトより素早く、すなわちワンタッチで把握できる点も魅力のようです」

毎月、使える資金が限られる中で、後払い決済の登場により、若い世代の「フレキシブル消費」が後押しされ、ECにおいてもその傾向が表れているとも言えそうだ。

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