さらに強さを増すインスタ&Twitter、テレビ視聴もネットで【ヴァリューズ調査】
株式会社ヴァリューズは、消費者の生活実態を捉えるため、感染拡大前、コロナ禍1年目、そしてコロナ禍2年目の今と、時系列でどのような変化を辿ったのか、アンケート回答と独自のWeb行動ログを掛け合わせた調査分析をし、第二弾「メディア編」として公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。
調査概要
同社は、全国のヴァリューズモニター(20歳以上男女)を対象として、 2021年7月6日~7月13日にアンケート調査を実施(回答者25,401人)。アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっている。
Webサイトのユーザー数はPC及びスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。アプリのユーザー数は、Androidスマートフォンでの起動を集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
アプリのカテゴリはGoogle Playのアプリカテゴリより取得。メール、Google Chrome、YouTube、Googleマップ、Gmailなどプリインストールアプリは対象外としている。
「ネット利用増加した」45%、SNSが台頭
まず各メディアへの接触について、消費者が「増えた」/「変わらない・見ていない」/「減った」のか調査している。第1回 緊急事態宣言時と比較した現在、メディアごとの接触頻度が「増えた」をみると、「インターネット(スマートフォン、タブレット)」(45.5%)、「インターネット(PC)」(31.5%)が少々ポイントを下げたものの、高い数字を記録しました。一方、「電子書籍」(13.2%)、「ラジオ(インターネットラジオも含む)」(9.7%)、「新聞(電子版を含む)」(9.1%)、「雑誌・フリーペーパー」(5.4%)などはインターネットと比較するとかなり少ない。
また、「テレビ」(29.9%)が8.8ポイント下落した一方、「有料動画配信サービス」(21.9%)が2.5ポイント上昇しており、「テレビ」の利用者が「有料動画配信サービス」にシフトした可能性も考えられる。定点アンケートでみるとオフラインに限れば、新しい情報の入手先として「テレビ」の影響力は強く、「テレビCM」(41.2%)、「テレビ番組」(40.3%)と存在感を見せている。
次いで「新聞記事」(17.9%)、「新聞の折り込みチラシ」(12.6%)、「新聞広告」(11.7%)と新聞が追うが、インターネットの勢いに押されているのか、「雑誌」(9.6%)、「雑誌広告」(6.1%)、「フリーペーパー(HOT PEPPERなど)」(5.7%)といった媒体は全体的に少なかった。「雑誌広告」では、コロナ前(2020年1月)と比べても79.7%まで低下していた。
オンラインに関しては「SNS(LINE、Twitter、Facebookなど)」が情報の入手先として、コロナ前から現在にかけて、安定的かつ着実に浸透。その一方で、「インターネットの掲示板やブログの書き込み」はコロナ前比が75.5%と下がり幅が大きく、「SNS」が情報収集だけでなくコミュニケーションの場としても存在感を増している様子がうかがえる。
テレビ視聴もオンライン化
「テレビ」や「ラジオ」といった従来のメディアには特に変化がない一方で、「VODサービス」の「接触あり」は2020年1月(24.6%)から2021年1月(31.4%)と、この1年間で大きく上昇した。
また、「電子書籍」も2020年1月(24.8%)から2021年1月(26.8%)と微増ではあるが上昇した。インターネット関連のマスメディアが一般化したからなのか、「雑誌・フリーペーパー」は2020年1月(33.1%)から2021年1月(29.2%)、「新聞」は2020年1月(50.8%)から2021年1月(48.4%)とシェアを失いつつある。
ヴァリューズが独自保有する消費者行動ログで見逃し配信アプリのユーザー数推移をみると、「TVer」がユーザー数を約750万人抱えており、一人勝ちと言っても差し支えないほど驚異的な支持を集めている。フジテレビが運営する「FOD」も一時期は注目を集めたが、「TVer」でもフジテレビ制作の番組が視聴できるようになり、それ以降は伸びが落ち着いている。
インスタとTwitterは接触時間増、TikTokはユーザー増
次にSNSの接触時間についてだ。「LINE」の接触時間はコロナ前後も関係なく変化なしだった。「SNS」で接触回数を増やしつつあるのが「Instagram」と「Twitter」だ。2020年1月と比べて2021年1月には「Instagram」は3.7ポイント、「Twitter」は2.9ポイント増加した。
ヴァリューズが独自保有する消費者行動ログで各SNSのユーザー数推移をみると、「Twitter」と「Instagram」は第1回緊急事態宣言の約2か月間、大きくユーザー数を伸ばした。また、「TikTok」のユーザー数自体は各SNSに及ばないが、2020年3月(約264万人)から2021年9月(約521万人)と、1年半の間にユーザー数が約2倍になった。
またコロナ禍で利用アプリに変化があったのか定点アンケートでみてみると、多くはコロナの影響は受けていなかったが、「動画アプリ(YouTube/AbemaTV/TVerなど)」だけは2020年1月(66.1%)から2021年1月(70.1%)となり、接触時間を大きく伸ばしていた。
進むメディア視聴のオンライン化、強者はさらに強く
調査結果にあるように、コロナ禍2年目でのネット利用は45%以上が増加と回答し、テレビは1年目と比べ大幅に減少していた。オフラインの情報源はTV、紙媒体は軒並み低水準で、「VODサービス」の利用者数が継続伸長し、見逃し配信アプリはTVerの一強状態となっている。「Instagram」と「Twitter」は接触時間が増加し、コロナ禍でもアプリの利用時間は変化がなく、動画アプリのみが増加した。
今回の調査からも新型コロナウイルスによる感染拡大の影響によって、人々の生活に大きな変容をもたらし、メディアとの付き合い方もオンライン化が加速している様子がうかがえる。特に既存のマスメディアが退潮する一方で、動画配信サービスやSNSが台頭する流れは、より一層進んでいる。
また、それらのプラットフォームの中でも、勝者がさらに強くなる傾向が読み取れる。ECにおけるマーケティングやプロモーションを考える上でも、また中長期的な消費者動向を考察する上でも大いに参考になりそうだ。